2014年5月28日

5月28日 福島県大熊町 木村紀夫さん(3)

木村紀夫さんは、原発事故の影響で「全町避難」が続く、福島県大熊町の出身。震災による津波で、父と妻を亡くし、次女汐凪ちゃんは、いまだに行方がわからないままです。

現在は長女と二人、長野県白馬村に移り住んで、ペンションのオープンに向けて、準備を進める毎日ですが、月に1度は大熊町に足を運び、自らの手で、汐凪ちゃんの捜索を続けています。

◆続く捜索活動
ずっと気になっていたのが、ガレキの片付け。去年の春から夏にかけて、いわきのガレキの中から遺体が2体ほど見つかっている。そういうことを聞くと、いくら自衛隊がきれいに片づけたといってももしかして見落としがあるかもしれないと。一人ではどうこうすることはできないが、やっとボランティアの方に入っていただけるという中で、皆で少しずつガレキを広げて探してみますかということに。去年の12月8日に、ガレキの中から自分のうちのものが大量に出てきて。汐凪の短パンも見つかった。それまでめぼしい成果がなかったが、それが見つかって、本当にやっててよかったなと。もしかしたらこの中にという気にもなる。


四月下旬、国は、原発事故で汚染された土などを保管する中間貯蔵施設を建設するため、大熊町と双葉町の住民から、土地を買い取る計画を明らかにしました。買い取りに応じれば、捜索はもちろん、ふるさとに自由に立ち入れることも難しくなります。

◆売る気はない
中間貯蔵施設をつくりたいという国に対して、町はそれを了承するだろという中で、自分は売る気にはなれない。もちろん故郷だからということもあるが、あそこは犠牲になった三人と繋がれる場所。それを国に取り上げられるのは許せない。強制的な話になるなら、いままで人と争ったことはないが戦わざるを得ない。


中間貯蔵施設について、環境省は5月31日から、福島県内外で住民説明会を始める予定。6月15日まで計16回開催される。国はできるだけ早く地元の同意を取りつけて、来年1月を目標としている施設の一部使用開始に間に合わせたい考え。
一方、木村さんはこの住民説明会で、自分の思いをぶつけたいと考えています。

明日は木村さんが、次女汐凪ちゃんに宛てた手紙をご紹介します。

2014年5月27日

5月27日 福島県大熊町 木村紀夫さん(2)

木村紀夫さんは「全町避難」が続く福島県大熊町出身。福島第一原発から3キロ南の海岸沿いに住んでいました。震災による津波で、父と妻を亡くし、次女汐凪ちゃんはいまだに行方がわからないまま。大熊町の行方不明者は、汐凪ちゃん、一人となりました。

現在木村さんは、長女と二人、長野県白馬村に移り住み、ペンションのオープンに向けて、準備を進める毎日です。宿は40人ほどが泊まれる広さで、2階建て、1階には薪を使った暖炉があります。

◆白馬で持続可能な宿を目指す理由
汐凪はまだ見つかっていないですね。妻が6月に亡くなったことがわかって、そこでやっと、長女と二人でどうやって生きていくかを考えるようになった。当時長女は、岡山にある妻の実家に預けていたが、やはり一緒にいたいと。放射能を気にしながら生きていくことは考えられなかったので、福島にも近く、放射能の心配をする必要がないところを捜し、行き着いたのが白馬だった。これからどうやって生きていくかと考えたときに、自分らしく生きたいというのがあった。宿泊業をやりながら、ゆとりを持って生きていくことができればと思い、白馬に移住した。持続可能な宿、化石エネルギーを極力使わないで、あるものを利用して生活していくことを実践し、それをお客さんに体験してもらえる宿にしたい。声を大にして原発反対という性格ではないが、そこにつながっていくものがあるんじゃないかと。


木村さんが白馬で目指すのは、「持続可能な宿」。山菜や野菜を収穫し、鹿などの動物は自ら解体して食べる「スローライフ」を体験してもらえる宿にしたい、ということです。

明日も木村紀夫さんのお話です。
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パーソナリティ 鈴村健一

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