2012年5月9日

5月9日「南三陸町・和泉博文さん 子どもたちへの想い」

東日本大震災でトラック運転手の仕事を失い、この春から漁協の臨時職員として働き始めた宮城県南三陸町の和泉博文さん。
津波で自宅を流され、お父さまを亡くされました。
大切な家族、仕事、自宅、そして故郷をなくした和泉さんは、震災から一年を経て、いま大きな「喪失感」に包まれているといいます。

◆生きてきた足跡が無くなった
 無くなったものの中で一番残念だと思うのは、これまで生きてきた足跡が全部無くなったこと。写真も家も。
 最近の写真が見つからなくて、俺のちっちゃいころの写真なんかが出てきたり。ほんとは子供たちの成長過程の写真なんかが見つかればいいんだけど。本当は子供たちの足跡があればいいな、と思ってる。
 振り返ってみたくなる、やっぱり取り戻したいと思っている。震災前の生活を。



和泉さんは、小学生から高校生まで、3人の子供を抱えるシングルファーザー。
長男が小学生の時に離婚し、現在は和泉さんの母親と3人の子供たち、3世代5人で仮設住宅に暮らしています。

◆子どもたちへの想い
 子供たちに嫌な想いをいっぱいさせてきた。
 お母ちゃんがいなくなってしまったから、娘の卒園式では服だけ用意した。男親だから靴まで頭がまわらなかった。一人だけ汚い靴で卒園式にいた。悲しくて涙が出た。娘に申し訳ないと自分を責めた。
 実生活の上でも隔たりがある。今さら仮設住宅の小さい家や避難所で隣り合わせに寝たからって、家族の距離が縮まるかといえば、縮まらない。だからこそ親ともぶつかるし、ばあちゃんともぶつかる。いろんな面で子供たちも悩んでいると思う。でも、よくないこともかえって「いい状況」。こういった状況で生きてるから「どうでもいいや」と思えば適当になる。
 だけど子どもらはもっとちゃんとして、自分らしく生きたいと、よりいっそう真剣に取り組んできていると思う。自分の今後のことも考えて。だからこそ反発するんだと思う。だから俺との関係じゃなくて、人間的にもっとよくなると、俺は思ってる。
 苦労した分、絶対よくなる。それを信じてる。

2012年5月8日

5月8日「南三陸町・住民の気持ちと高台移転」

東日本大震災でトラック運転手の仕事を失い、この春から漁協の臨時職員として働き始めた宮城県南三陸町の和泉博文さん。
自宅は津波で流され、母親と小学生から高校生まで3人のお子さんと一緒に、仮設住宅に暮らしています。

いま町の中で議論が続いているのが、高台移転の問題です。
和泉さんはこの高台移転について、行政の出してきた素案は、町民の主張とは隔たりがあると感じています。

◆住民の気持ちを受け止めてもらいたい
 地区の区長を交えて、今後の高台移転の意見交換をした。被災地のみんなはいろんなことを話したい、わかってもらいたい。でも県や町では受け止めてくれない。
 5年先、10年先の住まいだけでなく、子孫が住んでいく高台移転。今後を見据えて、自分たちの孫、子孫が住んでよかったという魅力的な町でないと意味がない。
 町としては、高台移転をするにしても、管理しやすいところに居てもらいたい。ベイサイドアリーナ(仮庁舎などがあるところ)などに集中すれば、管理しやすい。でも地元の人は自分が住んでいたところに帰りたいけど帰れない。だから少しでも近くの高台に住みたい。
 町としては土地取得の面など、うまくいかない。でも時間をかけて、そういった住民の気持ちをちゃんと受け止めて、手順を踏んでやれば、もっといい町になると思う。
 だからこそ、自分達の夢みたいな構想であっても、ちょっと耳を傾けて動けないか。


◆みんな真剣に悩んでいる
 先祖代々住んできた土地を離れていいものかと思うし、おふくろもいる。でも、もしかして別なところに住めば、別な人生を送れるのかなと思う。
 逃げた方が得。だからこそみんな悩んでいる。別のところに行くほうが楽。みんなポーンと忘れて別な町、隣町に行った方が楽。
 だけどそうでなくて、何にも無くなったこの町で、もう一回、何百年も住めるような家に、土地にしたいから、みんな悩んでいる。
 逃げるのは簡単。今まで何十年と築きあげてきた家や財産が、一瞬にして何にも無くなった。先祖代々で築き上げてきたものが一瞬にして無くなった。金では買えない。だからみんな真剣に悩んでいる。




昨年度の第三次補正予算で、高台移転の費用を全額、国が負担することが決まりました。
町による住民への説明会も行われていますが、同意を得ることはできないでいます。
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