2014年3月7日

3月7日 東北復興新聞&『3YEARS(スリーイヤーズ)』2

引き続き、東北で復興に取り組む人たちのための「業界紙」東北復興新聞がまとめた、「3YEARS」という本についてお伝えします。

本の冒頭には、こう書かれています。「東北の人々はいま、新しい町を作ろうとしている。それは以前からの数々の問題を一緒に解決する、クリエイティブな復興への取り組みだ」

その例として、「3YEARS」には15人の復興に関る人々が紹介されています。今朝 紹介するのは、その中のひとり、岩手県の仮設住宅で、新しいコミュニティ作りを推し進めた一人の男性です。

◆自治体の枠を飛び越えて
地域社会やNPOのあり方という意味で新しい取り組みとしては、菊池広人さんという人を紹介している。菊池さんは内陸の北上市でNPOをやっているのだが、震災後に岩手連携復興センターという岩手じゅうのNPOを連携する仕組みを作り、北上市の予算を使って沿岸の大船渡市の仮設住宅を運営する仕組みを作った。自治体が、他の自治体の仮設住宅のことをやるのがまず画期的で、さらにノウハウを貯めて、次に行政の枠を超えて釜石市にノウハウをそのまま移転し、コミュニティがそれぞれで作られていくということを実現した。行政の枠を超えて横で連携する枠組みを、なぜか内陸の、しかもNPOが作っているということも、NPOのあり方という意味でも新しいことが起きている。

伺ったのは3YEARSの著者で東北復興新聞・発行人の本間勇輝さん。話に出てきたNPOの名前は「いわてNPO NETサポート」です。この、岩手県・北上市と大船渡市をつなぐコミュニティ支援は、復興に取り組む関係者の“良いお手本”として、東北復興新聞の創刊号に掲載され、いま、各地から注目を集めていると言います。

◆仮設の町から生まれた仕組み
大船渡市の仮設住宅には4000名から5000名が住んでいた。これは“仮設”という新しい街ができたと思って良い。菊池さんの活動は、その町をどうやって運営するかということ。特に高齢者の多い地域なので、集会所、公民館の鍵をどう管理してイベントを設計するか。外からイベント支援の要望があった時に受け入れて仕組みに落とす。地味だが重要な役割。コミュニティを支える仕組みを、仮設住宅という1つの新しい街で菊池さんは作った。色んなマニュアルを作るり仕組み化された。コールセンターを作り住民の困り事を集めてノウハウする仕組みにしたり。その仮設住宅の運営モデルはコミュニティの作り方でもあるので、東北を超えて高齢化が進む中山間地域の自治体の方なんかがセミナーで来る。そこでノウハウを伝えて現地に研修に行き、町ごとの特性を活かしてコミュニティの作り方でノウハウ移転がどんどん進んでいる。


今朝は、東北復興新聞がまとめた「3YEARS」の中から、岩手県でコミュニティ支援に取り組む、菊池広人さんについてご紹介しました。

著者・本間さんは、単体の行政では限界があることも、NPOが入ることで、様々な企業、他府県の団体との連携がスムーズになると指摘しています。



東北復興新聞

2014年3月6日

3月6日 東北復興新聞&『3YEARS(スリーイヤーズ)』

今朝は、東北で復興に取り組む人たちのための業界紙、東北復興新聞がまとめた、「3YEARS」という本についてお伝えします。

まず東北復興新聞は一般向けの情報誌ではなく、東北で実際に復興に関わっている方のための
紙とウェブによる情報誌。創刊は2012年1月。発行部数4000部。産業の復興をはじめ、「隣の町の情報」を求める被災地のニーズにこたえる形で現地で取材した情報を発信しています。

その東北復興新聞のこれまでの取材をまとめた本が、先月出版された「3YEARS」。著者で東北復興新聞・発行人の本間勇輝さんに伺いました。

◆復興に関わる人々はめちゃめちゃ面白い!
本にしたいと思った一番の理由は、2年半東北に通い東京の人々が持つ「復興」、東北に関するイメージと僕が持つイメージにギャップを感じたから。東京で見ると復興予算が流用されているとかネガティブな報道が多く、「まだまだ大変です」という涙ストーリーが流れているが、僕が感じたのは、めちゃめちゃ面白い人たちがいっぱいいるし、全く新しい取り組みが進んでいる。これは東北の復興とかではなく、日本がこれからどう変わっていくかのヒントとなる取り組みがいっぱい起きている。東京や他の年からすごいビジネスマンが集結している。こんなに熱い土地はないと感じた。このギャップを何とか伝えたいと言うことで本にまとめるとともに、面白さカッコ良さを伝えたいと思って作った。


この『3YEARS』には、15人の復興に関わる人々が詳しく紹介されています。ジャンルは幅広く、農業、漁業、県職員や文科省の官僚、NPOの代表、地元の女子高校生…本当に多種多様。そんな中から一人、宮城県の、岩佐大輝さんについて教えて頂きました。

◆「マイナスをゼロに」の先へ
例えば宮城県山元町でいちごを作ってらっしゃる人がいるんですけど、温度や風、湿度などを完全にITで制御するビニールハウスを新しく作った。全くゼロになってしまった地域なので同じものを作り直してもしょうがないということで、最初からすごいものを作ろうと。先端ハウスを作り、完璧においしい、糖度何度以上というものをコントロールして作る。すべてはIT化しきれないので現地の昔からのイチゴ農家の匠の知恵、手作業を混ぜ合わせる。収穫の効率も良いし糖度も高いし美味しいイチゴを作る取り組みを始めた。「みがきいちご」というブランドを被災地を飛び越えて世界に進出している。インドの農村で日本の技術を転移してブランドイチゴを現地で作り現地の高級ホテルに流し始めている。産業復興でいうと壊れてしまったものを戻そうというのが最初の1年〜2年だが、3年目4年目はマイナスをゼロに戻すところの先の取り組みが始まっている。というのが岩佐さんがやっていることですね。


本間さんは、「一度ゼロになってしまったからこそ全く新しいチャレンジが出来るのが今の東北。外から専門スキルを持った人が入ってきて現地の人と何かを立ち上げるということも、たくさん起こっている」とも話しています。


明日も、この『3YEARS』で紹介されている、復興に関わる人々を紹介します。

東北復興新聞
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パーソナリティ 鈴村健一

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