2014年2月5日

2月5日 気仙沼地域エネルギー開発3

月曜日から3日間、宮城県・気仙沼市でスタートした再生可能エネルギーによる街づくりをお伝えしてきましたが、今日でラストです。

この計画では、まず気仙沼の7割を占める山林から出た間伐材を、企業が買い取ります。間伐材を燃料に電気と熱を作り、電気は電力会社に販売、熱は地元のホテルなどの空調に利用します。

こうすることで、エネルギーも、お金も地域を循環するようになり、さらに、手入れされた森は、海の環境も良くしてくれる・・・という風に、持続可能な町づくりを目指すのがこの計画です。

これを主導するのが『気仙沼地域エネルギー開発』の代表・高橋正樹さん。元々、気仙沼でガソリンスタンドなどを経営していた高橋さんは、この取り組みに、不思議な縁を感じると言います。

◆曽祖父から受け継いだもの
実は、僕自身は関係ないが僕の曽祖父、ひいじいさんは製材業をこの地で始めた人。うちの親父の代までは製材業で、僕が次ぐ前に(会社を)整理した。製材の需要が終わったんじゃないかと、うちの親父は製材所を畳んだんですが、山に行くと意外と「お前のひいじいさんには世話になった」とか「じいさんは知っているぞ」というのが結構あって、そういうDNA、運命はあったのかなと思っている。全く無縁のものではないと思っている。とはいえ木のことは全く素人で分かっていなかった。本当に目からウロコ、ウロコすらなかったくらい新しい発見ばかり。山に入ると疲れるが清々しい気持ちになるし、清々しいおじさん、おばさんもたくさんいる。そういう意味では新しい発見とともに石油にはない素晴らしさ、地域で消費され地域で豊かになる。石油をただ売っているよりは意義がものすごくあるな、という気持ちになっている。そして今回、買取制度で循環が上手くいけばそれなりに利益が残ると思う。今度はそれを次の持続可能な社会のために。超高齢化社会になっていき、こういう地方都市ほど少子高齢化が顕著だから、交通手段さえ公共のバスさえ運営できなくなっていく。そういうものにもどんどん森のエネルギーが利用されて、材が利用されてという街の循環になっていけばいい。全部に波及効果があるように仕掛けられると良いと思っている。

                                 
震災からもうすぐ4年目を迎える中、こうして、震災の教訓を活かした新しい町づくりが始まろうとしています。このような取り組みは全国でも珍しいとか。軌道に乗せて、全国にも広がることを期待します。



気仙沼地域エネルギー開発

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2014年2月4日

2月4日 気仙沼地域エネルギー開発2

引き続き宮城県・気仙沼市から、再生可能エネルギーを利用した街づくりをご紹介します。

市の復興計画をもとに、企業や住民が推し進めるこの計画は、町の7割を占める山林から切り出した「間伐材」を使います。まず間伐材を企業が買い取り、それを燃料に発電して電力会社に売電。さらにその過程で発生した熱は、地元のホテルの空調などに利用するというものです。

ここでキモになるのが、気仙沼の山林の所有者から、間伐材を「買い取る」システム。『気仙沼地域エネルギー開発』の代表・高橋正樹(まさき)さんに伺いました。

◆お金もエネルギーも海への養分も循環する!
木造建築がなくなったあたりから木材の単価が安くなり、だれも山に手を入れなくなった。そこの間伐をちゃんとできるような値段で発電事業で買えれば、山は豊かになる。モノはすぐ近くにある。地元の木材で発電をしてその電気を買ってもらい、できた熱は地元で利用する。お金は地元で利用する。お金が回り山が豊かになれば養分が海に流れる。お金もエネルギーも海への養分もまわる。循環する理想が今回の事業。

山から出た材を買い取るときにお金が発生する。市場価格で買うとだれも出さないので少し高めに買い取る。高くする分のひと工夫として、相場の値段は1トン=3000円を現金買い取り、それに加えて地域通貨・リネリアを出す。被災して仮設で営業しているような商店のためにも地域でつかえる通貨を発行、お金が地域で循環するようなひと工夫で、モノとエネルギーが流れる形になる。

高橋 というわけで、間伐材の買い取り価格を補うのが、地域通貨・リネリア。価格はおおまかに、1トンにつき現金3000円+リネリア3000円と想定されています。つまり市場価格のおよそ倍で買い取る形になるそうです。地域通貨なので、地元の商店街などにお金が回るというメリットもあります。



実は一昨年12月から、すでに買い取り事業はスタートしていて、説明会には、買い取りに関心のある方が多数 参加しています。


◆地元の方の声
(女性・山林所有者) 山があるんです。50年くらいは経つ。どうなっているか全然。最近は見ていない。
そのまんま放置してもったいない。だからこういう風にエネルギーに利用していただけるならと思っている。
(男性・林業経験者)2年弱森林組合に勤めた。切り捨て間伐という間伐方法があり、山の中に木を残してきてしまう。間伐材買取ということで、どういう形での買取になるのかというのが興味があって来た。


間伐材の買取りがスタートして、まる1年が経過。この間伐材は、チップに加工され、発電施設の燃料になります。その発電施設は、3月に稼働をはじめる予定! 現在、急ピッチで建設が進んでいるということです。

また間伐材をチェーンソーで切る人のためのチェーンソー講習会もやっているとか。つまり、林業関係の新たな「雇用」も生まれる! しかも森が手入れされれば、森から川を通じて栄養が海へと注ぎ自然環境にも良い影響を与えることになります。この計画が順調に進めば、被災地だけでなく各地のエネルギー行政や林業にも、大きなインパクトになるかも知れません。

明日も、気仙沼地域エネルギー開発・高橋さんのインタビューをお伝えします。



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パーソナリティ 鈴村健一

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