2014年1月24日

1月24日 続・東北食べる通信5

東北の農業・漁業の生産者を取材した記事に、付録として生産物がついてくる、食べる情報誌「東北食べる通信」。

先日 発行されたばかりの12月号は、岩手県大槌町の新巻鮭と、その鮭をとる「定置網漁」を特集。漁を取り仕切る「大謀(だいぼう)」、つまり漁船のリーダー・小石道夫さんの 震災後のストーリーが掲載されています。

東北食べる通信 編集長の高橋博之さんは、この号を手にした読者に、知って欲しいことがあると話します。

◆大槌の「希望」
12月号でもう一つ伝えたかったことは漁師の減少。これは震災に関わらず全国各地の問題で、漁師の数は右肩下がりで減っている。そんななか、「漁師が憧れの仕事だ」と、中学3年生で将来漁師になると言う少年がいる。彼になぜ漁師になりたいかを聞きに行ったところ、じいちゃんが漁師で、震災と津波で亡くなってしまったそうだが、じいちゃんに舟に乗っけてもらってしょっちゅう釣りに行っていたらしい。
「じいちゃんもまだまだやりたいこともあっただろうし、だけど流されてしまった。自分は海に背を向けていきたくない。海と一緒に生きていきたい。とにかく漁師になりたい」と言っている。

この中学3年生は希望。読者には、漁師が高齢化で減っていることを知って欲しい。大謀さんも後継者がいなくて悩んでおり、次のリーダーが見つかるまでは定年を過ぎてもやめられないと話している。その現状を知ってもらい、一方で漁師を目指す若い人がいるし、こうした若い世代を都市の消費者に支えてもらいたい、応援してもらいたいと言うことを伝えたくてこのページを作った。
菅野柚樹 くん。勉強はあんまり好きじゃないけど魚のことを質問すると目をキラキラさせて答える。「高校に行ったら釣り部を作る」と言っていました。自分のところにあるものが好きだというのは、そこに残り生きていく動機づけになる。僕もそうだが、何もないと思って東京に出てくるが、逆に東京にはないけど田舎にあるものを、この中学生は気づいている。今も夜中12時に起きて港に行って漁師さんの手伝いをして、朝5時くらいに家に戻りシャワーを浴びて一眠りして朝飯食ってから学校に行くという修業を始めている。



東北食べる通信12月号には、その中学3年生・菅野柚樹くんの写真が、大きく掲載されています。柚樹くんは本当に海と魚と釣りが好きで、修学旅行で行ったお台場でも、「釣りがしたい」と思ったそうです。

最後に、「食べ物と人を情報でつなぐ」。東北食べる通信が掲げるこのテーマは、意外な形で、全国に広がり始めています。

◆食べる通信が全国に!
全国各地に食べる通信カルチャーが広がり、去年の暮あたりから四国、中国、北海道などで「食べる通信を自分のところでもやりたい」というお声を頂いている。そしてまず今年4月に、四国食べる通信が誕生する。創刊号は、高知のカツオの一本釣りを特集すると言ってました。ヤバイ、負ける(笑)


東北食べる通信、最新号・2014年1月号は「いわき市の寒中野菜」の特集となっています。


来週は、作家・渡辺一枝さんによる、トークイベント「福島の声を聞こう」の模様をお伝えします。


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2014年1月23日

1月23日 続・東北食べる通信4

引き続き、『東北 食べる通信』の続報です。

東北の、農業・漁業の生産者を取材した記事に付録として生産物がついてくる、食べる情報誌「東北食べる通信」。去年7月の創刊以来、毎月、様々な生産者の方のストーリーが、写真とともに紹介されています。先日 発行されたばかりの12月号の特集について、編集長の高橋博之さんに伺いました。


◆不撓不屈の海の鬼
12月号は岩手県大槌町のしゃけ。新巻鮭。大槌のソウルフードを特集。定置網という漁法で獲るのだがそこのリーダーの小石道夫さん、「大謀(だいぼう)」という定置網のリーダーにスポットを当てた。小石さんの物語とともに新巻鮭を届ける。特集の見出しは「不撓不屈の海の鬼」。震災にあい津波で壊滅し、港も船も流され、 自身も被災し漁師をやめようとしていた。年齢も還暦を超えあきらめ鬱になり、引きこもっていたが復活した。海に戻り、海は戦場だと言い、鬼のような形相で指示を出す。大槌の海を知り尽くしている。この場所の深さ、地形、塩の時間帯ごとの流れが頭の中に入っている。海の中はしかけが見えないが大謀さんには見えている。35年かけないとできないこと。


ということで東北食べる通信12月号は、大槌町の定置網漁師、小石道夫さんのストーリーです。小石さんは漁師歴35年、定置網漁の大謀という立場。定置網漁は命がけのチームプレー。そのすべてを支配する司令塔が、大謀です。

震災後、一度は漁師を辞めてしまった小石さんは、ボランティアの方々が募金を集め、漁船を寄付してくれたことに心を打たれ、恩返しをしなければと立ち上がり、漁師を再開したといいます。

そんな物語とともに、付録として送られてくる新巻鮭は、どんなものなんでしょうか。


◆大槌の冬の風物詩
新巻鮭は江戸時代に江戸に大土の酒を塩漬けにして寒風にさらし乾燥させ、江戸に運んでいた。江戸で超大ヒット。大槌では冬の風物詩として民家の軒先につるしている。鮭の口にひもを通し、腹を裂き、塩でもんで乾燥させてがちがちに硬くなっている。それを大槌ではお茶漬けにしたり。しょっぱいがアツアツの白いご飯にあう。ちょっと食べればごはん1杯いけます(笑)


大槌町では、新巻鮭は「買うもの」ではなく「作るもの」。町の家々には、冬になると、軒先に鮭がつるされます。寒風にさらすことで、旨みが増すのだそうです。その風景は仮設住宅の軒先にも見られるとのこと。



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LOVE&HOPE。明日も、東北食べる通信の情報をお伝えします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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