2013年12月2日

12月2日 フクシマススムファンド

今朝は、番組で紹介してきた『東北サンさんプロジェクト』をはじめ、被災地支援に取り組む、サントリーの活動のレポートです。先月は、その一環として行われた「ツール・ド・東北2013(にせんじゅうさん)」と、
「サン・ファン・フェスティバル」というイベントの模様をお届けしましたが、サントリーは漁業の復興支援、未来を担う子どもたちの支援、    文化スポーツを通じた支援を柱に、様々な活動に取り組んでいます。これまでも漁業支援など総額88億円の復興支援を行っているんだそうです。番組では12月の1か月間、毎週月曜日に、これらの取り組みをご紹介していきます。

今朝ピックアップするのは、サントリーと、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが立ち上げた、
『フクシマススムファンド』です。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの梶英樹さんに伺いました。

◆フクシマススムファンドとは
東日本大震災によって、福島県内・県外に避難されている子どもたちを支援するために、地域に密着したNPOを助成金を通じて後押ししようということで実施している。

放射線の影響を考え県外に避難したり、県内でも自由に外遊びが出来ないなど、福島の子どもたちを取りまく環境は様々です。そうした背景から立ち上がったこのファンド。今年1月に15の団体を対象に支援がスタートしました。支援する中で分かった、福島の子どもたちの現状について伺いました。


◆県外・母子避難者のいま
県外に避難している方々というのが18才未満の子どもで言えば約3万人。現在も避難先で暮らしている状況がある。その事例の一つが『NPO法人やまがた育児サークルランド』。なぜ山形かというと、避難先の場所として当時最も多かったのが山形県。ピーク時に比べると避難者は減っているが、山形にはいまでも避難されている方、特に母子避難者が多いく子育てに関する悩み・不安も多い。この団体は避難された母子のための交流サロンというものを設置していて、多い時は日に200人の利用がある。避難先で定住して生活していこうと決意を持った方々もいれば、戻りたくても戻れないという方もいる。家庭家庭によって状況は多様化している。その中でも、小学生ママのサロンに参加していた母親から、サロンでのコミュニケーションが元気に繋がって、新しい職場でスタートを切る気持ちになったというお手紙を頂いた。その中にはこんな文章が添えてあった。


「先日お風呂場から転校先の小学校の校歌が聞こえてきました。三年生のおねえちゃんが一年生の弟に校歌を教えていた。震災や原発に振り回されてきて、戸惑いながらの転校でしたが、いつの間にか立派な小3になっていたおねえちゃん。先生やお友達、上級生がしっかりサポートしてくれたんだろうとありがたく思いました」

子どもたちの成長のスピードは速く、一方、山形の中で暮らしていく親には戸惑いもある。しかし子どもはその中でしっかり成長していくといったエピソードが支援する中ではあった。

このファンドではその他、
・郡山市にある子どもの屋内遊び場の専門スタッフの養成、
・福島県内の児童養護施設の子どもたちの健康管理に関する事業
などにも支援をしています。
また、来年・2014年度は25の団体を支援することが決まっています。

フクシマススムプロジェクト(フクシマススムファンド)

サントリーの被災地支援の取り組み

2013年11月29日

11月29日 「震災遺構」を考える(4) 宮古市 たろう観光ホテル



岩手県宮古市の田老町は、高さ10mの防潮堤を建設するなど、津波に対して強い街づくりを進めてきましたが、東日本大震災ではその防潮堤を越える津波が発生し、多くの犠牲者が出ました。

そんな田老町に震災遺構として残されているのが、「たろう観光ホテル」です。
このホテルの保存に、復興庁が2億円余りを交付する方針を固めたというニュースが、昨日入ってきました。これは、震災遺構の保存を国が支援する、初めてのケースです。

これまでの経緯を、宮古市復興推進課、滝澤肇さんに伺いました。

◆5度目の正直
宮古市として遺そうと想定している震災遺構は「たろう観光ホテル」。田老地区はもともと、高さ10メートルの防潮堤が2本、2.4キロにわたって整備されていた。その2本の防潮堤のちょうど真ん中に位置して、6階建の建物だったが、4階まで被災し、5階と6階が残っていた。
津波の恐ろしさを後世に伝えるものとして、非常に保存する意義が高いと考えたが、市の独自の事業としては費用が掛かりすぎるということがあり、復興交付金でお願いしたいと国に支援のお願いをしていた。これまで、意義は認めるものの時期的な問題とか、様々な観点で、4回申請した中で4回とも認めていただけなかった。今回5回目にして、始めて保存の費用が認められた。やっと市として保存に取り組むことが可能になった。宮古市としては、「たろう観光ホテル」に付随する形で、破壊された防潮堤も同時に遺していきたいなと考えているところ。


田老地区では、「たろう観光ホテル」を拠点とした「学ぶ防災プログラム」が実施されています。これは、津波の恐ろしさを伝え、防災意識を高めるための取り組み。これまで、4万人を超える方が参加しています。

◆学ぶ防災プログラム
「学ぶ防災プログラム」が宮古観光協会を中心としてすすめられている。
「たろう観光ホテル」の社長さんが、津波のときに一人で留まって撮影したDVDを館内で上映。ツアーの皆さんはそのDVDで規模と被災の状況を実際に見ることで、始めて津波の恐ろしさを体験することができる。震災遺構を保存する意味というのは非常に大きいのではないかと考えている。


「たろう観光ホテル」は震災遺構に実際に立ち入ることができる、被災地の中でも珍しい場所。
また、保存について、地元で大きな反対の声は上がっていないとのこと。「ホテルで犠牲になった方がいないこと」「ホテルの保全が復興街づくりの障害にならないこと」など、いくつかの条件が重なった結果です。

地域ごとに状況が異なる「震災遺構」。震災の教訓を後世に伝えるためにも、時間をかけて取り組むことができるよう、被災地をバックアップする仕組みが必要です。

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パーソナリティ 鈴村健一

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