2016年4月18日

4月18日 災害時の心のケア 下條茂さん1

今週は熊本・大分地震を受け、「災害時の心のケア・身体のケア」についてお伝えします。

熊本・大分地震ではいまも余震が続き、避難生活が続く中でさまざまなストレスを抱えている方も多いのではないかと思います。そこで今日はお話を伺うのは、防災心理カウンセラーの下條茂さんです。
下條さんは新潟県柏崎市在住。2007年の中越沖地震で自ら被災しながらも、避難した住民の心のケアにあたり、東日本大震災の際もいち早く現地に駆けつけました。今回の熊本・大分地震を受け、まだまだ余震も続く中で、不安な気持ちとどう向き合えばいいのか。自身の被災経験と専門知識を交えて、アドバイスをいただきました。

◆辛かったら辛いときちんと自分の気持ちを表現すること
いまわたしのところにくる相談やお問い合わせに「フラッシュバック」がある。子どもさんたちが報道やテレビなどで熊本の震災の映像を見て、自分が被災したときのことを思い出して、赤ちゃんがえりをしたり、急に眠れなくなったりするという現象。子どもだけでなく高齢者の方にも広がっているように感じる。経験者でもそういうことが起きるので、大きな地震を経験したことがない地域の方はなおさら不安だろうと思う。緊張状態がずっと続いて、眠れない日が続いたり、物事が考えられなかったり頭が真っ白になってしまったり。皆さん、息をするのを忘れてしまったりしていないだろうか。ストレスがあるときは息が浅くなりがち。ちょっと自分の呼吸を意識して、ゆっくり鼻から吸ってゆっくり吐いてみる。ゆっくり呼吸をしていると、わたし大丈夫なんだなと思える。呼吸をまず落ち着けること。一人で抱え込まないでいい。この時期はわたしが頑張らなきゃとか、弱音を吐いちゃいけないと思っている人が多いので、できるだけ吐き出してほしい。つらかったらつらい、悲しかったら悲しいと言えばいい。素直な気持ちを出すことが大事。いま我慢をしてしまうと後で出てきてしまうこともある。まわりの人を頼って、まわりの人に話をしてほしい。僕もいろんなところで活動をしていて、不安だと思うし恐怖だと思うし。少し話が違うかもしれないが、今日お肉を食べたときにシャツに汚れがついてしまった。それを隠していると「あのひと何を隠しているんだろう」と怪しそうにみえる。でも「ほら、ソースをこぼしたんだよ」と言えばいい。でも隠そうとする。隠すと怪しそうに見える。きちんと表現をすること。隠さないこと、出していいんだよということ。弱い自分も認めてあげてほしい。大変なことが起きているんだから、大変だ、つらいというのは当たり前。それを隠すと後でどこかで爆発して、急に怒ったり、もっと大変なことになったりする。子どもも大人も弱い人も強い人も誰にも起こることなので、いまはきちんと自分の気持ちを表現すること、まわりの人に声をかけることが大事。声がかけにくかったら、手だけでも握ってあげれ。子どもたちはぎぎゅっと手を握ってあげるだけで、心が落ち着く子どもたちが多いので、ぜひそうやってスキンシップを保ってほしい。


今回直接被災していない地域の方の中でも、過去の被災経験がよみがえる「フラッシュバック」を起こしている場合がある。不安を感じるのは当たり前のことと、素直に受け止めることが大切、というお話でした。また今回被災された方に対しては、「一人で抱え込まず、不安を素直に口に出してほしい」と。「被災の最初の段階で我自分の気持ちを抑えこんでしまうと、後々フラッシュバックが起きたり、急に苦しくなったりすることがあるので、不安やつらい気持ちは素直に表現してほしい」ということです。

「LOVE&HOPE」明日も下條茂さんのお話をお届けします。

パーソナリティ 鈴村健一

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