2016年6月24日

6月24日 千人仏プロジェクト

今日は、現在東京上野の「東京都美術館」で展示が行われている「千人仏プロジェクト」の話題です。

京都の三十三間堂などで知られる「千人仏」は、飢饉や災害で亡くなった方の霊をなぐさめるため、千体の仏を描いたり彫ったりする日本古来の供養の方法です。東日本大震災の被災地、岩手県大船渡市で「千人仏プロジェクト」がスタートしたのは震災翌年の2012年のこと。震災で被災し、仮設住宅で暮らす方たちのために「アートを通して元気を取り戻してほしい」とアート関係者やサポート企業が立ち上がりました。

参加者が描くのは、仏様の顔。お話はプロジェクトの中心となって被災地で絵の指導を行ってきた画家の三杉レンジさんです。

◆震災後1年で仏像を書くというには「重すぎないだろうか」とか、いろいろあったが、それでも一か所やってもいいよという許可がでてワークショップをやってみた。そのときはパワーポイントでいろいろな資料を見せながら、美大生はこういうふうにやっているよなど説明をして、最初15人ぐらい参加してくださって。その中には家も家族も流されたという方もいて、それでもみんな本当に集中してやってくれて、楽しかったという感想をいただけた。それで、いけるなという感じでそこから始まっていった。

経験のない人がゼロから絵を描くのは大変。そこでワークショップでは、仏様の顔の輪郭をかたどった紙に炭をのせたものを用意します。参加者は、指で炭に陰影をつけることで仏様に表情をつけていきます。これまで、およそ50か所でワークショップが行われ、描かれた木炭画は936枚に達しました。その936枚が現在、東京上野の「東京都美術館」で展示されています。

◆やっぱり最初からどんどん書いていく人もれば、なかなか書き進められないという方もいたが、書いているうちに震災で亡くなったご主人の顔を思い浮かべて書いていて、気づいたらご主人に似てきた、人の顔を書くときでも笑っている人の顔を書くと自分も穏やかな気持ちになっていくときがあると思うので、そういった気持ちになってもらえたらなあと。このあいだ僕がすごくうれしかったのは、参加してくれた被災地のおばあちゃんが「千人仏を書いていて、神様に守られているような気持ちになった」と言ってくれた。それはすごくうれしかった。写仏は心の交通整理と言われたりするが、まだまだ混乱してごちゃごちゃしている中で、心がすうっとしてくれたらまあ一番うれしいなと思っていた。同じ弥勒菩薩でも書く人によって本当に一つ一つ表情が違うので、それを一つ一つ味わっていただければと思う。

来場者コメント
〇すごい一つ一つ顔が違って個性があって、穏やかな顔のもあればかわいらしいものもあったりとか。東京にいるとほとんど報道がなくなってきているので、やはり引き込まれる〇一枚一枚の絵にも味わいがあるが、並べてみたときに書いた人の個性や年代やいろんなものが反映されていて興味深い。いつなんどき自分が被災者になるかわからないと思うと、いろいろ考えることがある。

★「千人仏プロジェクト」、東京都美術館「表装・内装作品展」での展示は6/27(月)までです。9月には1000枚に到達する見通し。来年は岩手県大船渡での展示も予定されています。

パーソナリティ 鈴村健一

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