2016年7月19日

7月19日 陸前高田市 バンザイ・ファクトリー(1)

今朝は、東日本大震災をきっかけに、被災地に拠点を置き、ビジネスで地域に貢献するベンチャー企業についてお伝えします。お話を伺ったのは、「バンザイファクトリー」代表の高橋和良さん。岩手県陸前高田市に本社を置き、地元の特産品をブランディングした様々な商品を開発しています。震災前は、岩手・内陸部や秋田県に拠点があったこのベンチャー企業が、沿岸部・陸前高田に移転したきっかけ。それは代表・高橋さんの「恩返し」でした。

◆岩手県の大手スーパー「マイヤ」さんとの出会い
私は内陸出身で盛岡市周辺で生活してきたが社会人になって東京へ出て、サラリーマンをやって起業しました。25才の終わりくらいにゼロから会社を作ったんですが、当時のお客さんで陸前高田市の大船渡にスーパーマーケットを展開している「マイヤ」さんの当時専務だった米谷春夫さんにすごくかわいがってもらったんです。岩手出身ということもあって大事にしてもらった。その人に「独立したらどうだ」と言われ、お金も自信もないと言ったら、資本金を「ほれ使え」って出資してくれたんですよ。それで私はコンピューターシステムを開発していって、全国の大学病院の過半数以上に入るものを開発したんですが、そういう恩があって、励ましてくれて、起業するのを手伝ってくれたご縁でここに私が震災後にやってきたという感じなんです。


30代で医療関係のベンチャーを成功させた高橋さん。「純粋に人の役に立つ開発がしたい」と40代後半でこの会社の経営から退き、木工とITを組み合わせた“趣味のような”小さな会社を新たに起業。2006年ごろから、岩手県の漆、木材、南部鉄器を活用した商品開発をスタート。第二の人生を順調に築いていたといいます。


◆究極のユニバーサルデザインの追及
2009年に一人ひとりの手の握り方の「木のコップ」を作るというのを3次元コンピューターシステムを使って開発して、注文が来た中に「脳溢血で手に力が入らない、いつ死ぬかわからない親父にコップを作ってやりたい」というお客さんに納品して数カ月後に連絡が来たんです。「コップを親父が気に入って、朝は牛乳を飲んで夜はビールを飲むんです。究極のユニバーサルデザインじゃないですか」という手紙をもらって。それでお付き合いのあった三重大学でその話をしたところ、「そのユニバーサルデザインを大学で研究しませんか」という話になり、2010年に三重大学を受験。合格通知が2011年2月に届きました。米谷春夫さんも喜んでくれて。でもその1ヶ月後に震災が来たんです。だから自分は大学へ行かないつもりでしたが、会社も家族も被災している状況の米谷春夫さんから電話があり、「大学に行けばのちのち何か人の役に立つ商品を生み出すから、絶対に入学しろ」といわれ、震災2ヶ月後に入学。その成果が5年後、ユニバーサルデザインのスマートフォンケースの開発に成功したので。コツコツやっててよかったと思っています。


こうして高橋さん、秋田県にあったバンザイファクトリーの工場やご自宅を全て売却。2012年には住まいも工場も陸前高田に移転。起業家としてお世話になった恩人の地元で、腰を据えて新たなビジネスを生み出していこうと、挑戦を続けています。バンザイ・ファクトリーはお話に出てきた「握りやすいオーダーメイドの木のコップ、その名も「我杯」(わがはい)、同じく、握りやすいスマホケースほか、様々な商品を開発・販売などの展開をしています。

バンザイ・ファクトリー サイト

パーソナリティ 鈴村健一

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