2017年2月9日

2月9日 自主避難者たちのいま4

引き続き、福島第一原発事故によって、自主避難という道を選ばざるを得なかった人たちの「いま」をお伝えします。

福島県による、自主避難者むけ借り上げ住宅の無償提供は来月3月いっぱいで打ち切りとなります。そしてその影響を受ける方の数は、去年10月現在で2万6600人。自主避難者の方々は、自分たちのお金で避難を続けるか、福島の元の町へ戻るか、来月までに決めなければいけない状況です。

そして、「子どものために念のため避難を継続したい」と考えるお母さんたちにとって、もっとも重要なのは、実際の放射線量です。今回お話を伺ったライター吉田千亜さんは、郡山市で 子どもたちの通学路などの放射線量の測定を定期的に続けています。

◆我が子の健康被害は確率では測れない
郡山のお母さんたちと測定させていただいています。打ち切り発表した頃に政府が言っていたのが「もう避難する状況にない」という言葉。ただ実態がそうであるかどうか。状況を見る限りもちろん全体的な数値は下がってきている。放射線の半減期があるので2年後からがくんと落ちている。子どもが生活する環境に関しては行政も真っ先に除染を始めたが、例えば通学路は除染されていなかった。実際に測ってみると未だにホットスポット、局所的な汚染はすごくあちこちに点在している状態で、それは測ってみないと分からない。たまたまマップ化して1秒毎に線量を測定する測定器があるから1歩歩くだけで放射線量が違うことは分かる。モニタリングポストが各所に置いてあって、それがそこ一体の放射線なのかと錯覚してしまう。でも実際はそこから1歩2歩動くだけで違う。全体が高いとはいいませんが子どもが生活する環境では、例えば水の集まる場所、こっちからの水とこっちからの水が流れてきて貯まるようなところは線量が高い所が点々とあって、一緒に測っているお母さんはそれを見つけると行政に報告して対応してもらうというのを繰り返している。本当はあってはいけない汚染があるのは事実。発信はしています。冊子にしたりしているし、SNSやブログで発表しています。元々の理由は被爆をできるだけ避けたいという想い。それは一緒に測定したお母さんも同じ思いで、被害を認定されていない地域でもやっぱり被害はあった。その被害からできるだけ子どもを遠ざけたいという思いなので、例えばもう一つは初期被爆がどれくらいかわからないということがある。当時、きっと線量が高かったであろう時期に子どもを外で水汲みに並ばせてしまったことを公開している方もいて、あの時の被曝量を考えたらもうこれ以上の追加被爆をさせたくないという、とにかく色んな放射線の健康影響は確率で言われるけど、どのお母さんにとっては、自分の子供に何かあったらそれは100%なんですよ。確率では語れない問題で、だからできるだけそれは避けたいという想いで、それは避難している方も私が関わっている住み続けている方も同じ思いなんだと思います。それを周囲に理解されずに責められるというのは本当に辛いと思います。


ライター吉田さんはこうもおっしゃっていました。「自主避難者の方たちは、故郷への愛着を捨てたわけじゃなくて、原発事故さえなければその土地が大好きで暮らしていて、むしろ逃げたことに罪悪感を感じていらっしゃる。でも今は子どものために念のために避難を継続したい。そしていずれは戻りたい。だからこそ“避難”を続けているんだと思います」

★ルポ 母子避難――消されゆく原発事故被害者

パーソナリティ 鈴村健一

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