2017年3月24日

3月23日 南三陸町・戸倉 未須藤帆さんの旅立ち

今朝は昨日に続いて、東北の若者から届いたメッセージです。

ご紹介するのは、この春、故郷を離れて仙台の大学に進学する、宮城県南三陸町・戸倉地区の須藤未帆さん。昨日お届けした、佐藤貴大くんとは、幼稚園から高校まで一緒でした。

震災当時は小学校6年生。津波で自宅は全壊し、無事だった親戚の家で生活。そして進学するはずだった戸倉中学校は被災して校舎がつかえず、登米市の廃校を間借りして送迎バスで通学をつづけました。そのあとは同じ南三陸町の志津川中学校の一部を借りて3年生までを過ごし、この年に閉校となった戸倉中学校の最後の卒業生となりました。

そして今年、志津川高校を卒業し、大学進学のために町を離れます。そんな須藤未帆さんに、あらためて6年前の震災当日のことを伺いました。

◆喘息の薬が全て流され・・・
私は小学校6年生で小学校に居て、地震が来たので五十鈴神社に逃げたんですけど、低学年の子とかもいて自分たちが支えなきゃって思いながらやっぱり怖くて、同級生の人に背中撫でて貰って「大丈夫だよ大丈夫だよ」って言われてる方で、自分本当に頼りないなって思いながら過ごしてたんです。(お母さんお父さんと会えるのは?)会えたのは次の次の日。父が先輩のお父さんと迎えに来てくれて一緒に帰ったんですけど、瓦礫でいっぱいの道路を歩いて避難所になってるところまで帰って、そこで初めて両親と祖父母と会えて、母が泣きながら「よかったよかった」って抱きしめてくれて、会えてよかったなというのと無事でよかったってすごい安心して忘れられないなって思います。で、まず津の宮荘が無事だったのでそこに避難して家族と2週間くらい一緒に居て。私は昔から喘息を持ってて薬がぜんぶ流されてしまっていつ発作が起きるか分からないので仙台の親せきにどうにか車とか用意してもらって迎えに来てもらって、私一人だけ仙台に移ったので、こっちの人たちがずっと大変な、電気もないし水もないしっていう苦労をしてた中で自分だけ少し違う生活をしてしまったっていうのが心に残ってたりしています。


体が弱かった未帆さん。そのために大変な時期を家族と過ごせなかったことが、未帆さんのそれからに大きな影響を与えることになります。

◆震災の経験がきっかけ「薬剤師になって医療の面で復興を支えたい」
(ミポリンも大学に進学)そうですね。自分は小さい頃から体が弱くてとにかく勉強が出来るようになってそれを武器にしないとほかの人と同じには生活できないんだろうなって思ってたので、とにかく勉強したいって考えてはいました、で、私元々小学生の時は、高校生になったらこの町を出て仙台行って早く勉強したいってずっと思ってたんですけど、震災があっていろんな人たちと出会って、地域の良さも知れて、そしたらまだこの町に居たいって思いがすごく強くなって、それで高校も志津川高校にして、大学も行ったらぜったい帰ってきてこっちで仕事しようって決めて、これからもいきたいってずっと思ってて、やっぱりいろんな人に支えられて、震災のおかげで皆さんとも出会えてほかにもたくさんいろんな人に出会えて、そういうことが自分を変えてくれて、だから震災をマイナスに考えないで、自分がどうしたいのか夢が明確に決まったのでやっぱり、うまく言えないんですけど・・・(大学はどういう学部?)薬学部で薬剤師になる勉強をしたいです。(なぜ薬剤師?)やっぱり震災の時にやっと家族に会えたのに、自分は薬が無くて仙台に行かなきゃいけなくなったので、私みたいに薬がないことで家族とバラバラになったり、人と一緒に生活できないっていう人はたくさん居たと思いますし、そういうことがあったから薬の大切さ、震災の時に医療がしっかりしていれば、家族と過ごせた人もいたんじゃないかって思ってたので、自分が薬について学んで、こっちに戻ってきて、復興を医療の面で支えられるようになりたいと思って、薬科大に行くことを決めました。


この春、故郷を離れて仙台の大学に進学する宮城県南三陸町・戸倉地区の須藤美帆さんの声をお届けしました。

医療の面で町に復興を支える人になりたい、と薬剤師を目指して仙台の大学に進学する須藤未帆さん。中学生の頃から何度も顔を合わせていますが、これほど強い思いを持っていたのは始めて知りました。昨日お届けした貴大くんもそうですが「震災の経験をしっかり受け止めて、町の未来のために何かできる大人になりたい」と言っている姿はほんとうに大きく見えました。また戸倉はそういった希望の光、子供たちを大人たちが優しい目で見守っている、そういった地域だなと今回の取材で改めて知りました。薬科大という事で卒業までは6年。戸倉の町で24歳になった美帆さんに会うのが本当に楽しみです。

パーソナリティ 鈴村健一

メッセージ、ご意見、プレゼントご応募はこちら

特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

TOKYO FM 特別番組 HANABI

「LOVE&HOPE~防災ハンドブック2015」PDF版ダウンロード配信中

アーカイブ

  • いのちの森
  • Support Our Kid's
  • TOKYO FM
  • JFN