2017年5月1日

5月1日 南阿蘇村 地獄温泉の今(1)

今週は熊本地震により大きな被害を受けた南阿蘇村から、200年の歴史ある温泉宿の「再起にかける想い」をお伝えします。

阿蘇山の南山麓に位置する、鳥帽子岳に湧く「地獄温泉」。古くから湯治場として栄え、旅館【清風荘】は二百年も前から人々に愛されてきました。しかし、昨年の4月の熊本地震で宿に通じる道が閉ざされ、6月の豪雨で土石流が押し寄せ旅館を直撃しました。震災から1年経った今も、宿の再建のめどは立っていません。

あの日、何が起こったのか。地獄温泉「清風荘」の代表、河津誠さんに伺いました。

◆自衛隊のヘリから見た我が宿に「帰ってくるぞ!」
揺れた瞬間は動けなかった。この辺で6強だったと思います。部屋から出ようとしてもドアが開かない状態で、なんとか蹴破って出たらもうお客様が玄関の前におられて、ある車全て(駐車場に)おろしてみんなで夜を過ごしたという感じです。その間もひっきりなしに余震がきますので、その度に山が崩れるわけです、ガーーー!と音を立てながら。その度にお客さんはパニックですよね。すぐそばの垂玉温泉のそばも完全に山が崩れていましたのでそれを見た瞬間に、これは動き回っちゃいけないと思いまいした。「家に帰ることはまずあきらめてください。車で動き回るのもあきらめてください。とにかく避難所に行きましょう、これを1つの目標にしましょう。それ以外は考えないでください」と言って一晩明かしたんですね。ものすごく興奮状態の人をどうやっておさめようかと皆で話し合って、僕も料理人なんです実は、社長なんですけど。弟も料理人で、これは食べさせるしかないぞと、まだ冷凍庫にはカチカチの食材がたくさんありましたのでそれを引っ張り出してきて、炊き出しレベルではないのを食べてもらえれば落ち着くだろうと、旅館レベルのものを駐車場で作って食べてもらったら落ち着いてもらえました。食料はあったんですが、水が地震で濁ってしまって飲み水がなくて、備蓄していた水で夕方がギリギリだったんで水無しで大丈夫かなーと思ってたら、まず陸上自衛隊の方が無茶苦茶な道を下から歩いてこられて、地上隊として準備されて。そこにヘリが4機来て変わりばんこに乗って皆さん避難できました。僕が最後に乗ったのは16日の午後4時半ぐらい。自分の家を俯瞰して見たことがないので俯瞰してみると、ここの被害だけじゃないのが見えちゃったんですよね。阿蘇大橋の方が見えて、あぁ本当だったんだって。飛びながら不思議なんですけど思わず「帰ってくるぞー!」って叫んでました。なぜかわからないんですけど、泣けましたね、あの時は…。帰れないって感じたんでしょうね…。



地獄温泉「清風荘」への道は今なお閉鎖され、帰宅困難な地域となっています。建物は大きな被害を受けましたが、3つある源泉のうち「1つ」が今もコンコンと沸き旅行客の帰りを待っているそうです。復旧にかけた想い、明日も引き続きお伝えします。

パーソナリティ 鈴村健一

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