2017年6月26日

6月26日 開沼博(1) −福島に関するデマ−

今週は福島学のスペシャリスト、立命館大学准教授、開沼博さんのインタビューです。

開沼さんは福島県いわき市出身。2006年から福島第一原発周辺地域の社会学的調査を手掛け、東日本大震災以降は福島の復興に関する調査・研究を続けてきました。そんな開沼さんが中心となってこの春呼びかけを行ったのが、福島に関するクラウドファンディング「福島関連デマを撲滅する!」というプロジェクトです。

◆情報(デマや差別)による2度目の被災
福島に関するデマや偏見、差別的な物言いがかなり社会に出回っています。最近であれば、福島県浪江町で山林火災があったときに、ものすごい量の放射性物質が山に落ちていたものが火災によって巻き上げられて飛んでいる、というデマが流通しました。ちゃんとデータをとって、そんなことはないということが証明されたわけですが、ひとつはインターネット上でそういう事実に基づかない情報が恐怖をあおるような形で出回ってしまったということがある。それだけではなく非常に残念なのが、福島から非常に遠い地方紙で、あたかも福島がまた危険な状態になっているというような話が、科学的な根拠のないものが平然と掲載されてしまったということもありました。ここで感じることは、福島県内と県外に非常に情報ギャップがあるということ。福島県内であれば、なにかちょっとでも異常なことがあったらまずは事実関係を調べようとか、データをとろうとか、あるいはまだデータはとれないが判断は待っておこうとか、わかってからちゃんと冷静に議論していこうよという態度がたいぶできてきたと思うが、福島県外だと、2011年3月のような、あのときの雰囲気で福島をとらえようとしている。「なにかが隠蔽されているんじゃないか」「ほんとうは危ないんじゃないか」と。そういうふうに疑うことは重要ですが、事実とは異なるデマを広めてしまうようなことが実際に起こっているのです。現地の方は立ち上がろうとしているところなのに、ただでさえ被災している人をもう一度新たな「情報による被災」によって傷つけてしまうような、そういう2度目の被災をさせてしまうという例が福島には非常に多くあります。原発事故から5、6年経過して、そろそろそうしたことを乗り越えていかなければいけないと思って、そこで始めたのが「福島関連デマの撲滅」というプロジェクト。あまり知られていない部分でもあるので、これまで、また現在どういうデマや偏見が存在するのか、それがどういうふうに間違っているのかを科学的な根拠を示しながら提示していくというのがプロジェクトの内容です。


今週の『LOVE&HOPE』は開沼博さんのインタビューをお届けします。
そして今週は、このコーナーで、あなたからの感想、ご意見、メッセージも募集します。メッセージをいただいた方の中から抽選で5名様に「3000円分の図書カード」をお送りします。メッセージフォームからお待ちしています。(当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。)

パーソナリティ 鈴村健一

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