2017年6月28日

6月28日 開沼博(3) −福島を知る−

今週は福島学のスペシャリスト、立命館大学准教授、開沼博さんのインタビューをお届けしています。開沼さんは、福島県いわき市出身。2006年から福島第一周辺の地域研究を手掛け、震災後は福島の復興の現状を調査、発信を続けています。

今週は開沼さんに、福島の復興の現状をわかりやすく解説いただいています。今日は「福島を知る」がテーマです。

◆「物差し」をもつこと
やはり福島の情報は県外ではアップされていないなあと感じることがあります。その一つが放射線量の問題。当初震災後計画を立てて除染をやっていこうとした、これを計画除染と言うが、この作業は昨年度終わっています。追加的なものはこれから随時やっていくことになりますが、多くの場所で除染は終わり震災直後に比べて放射線量も大幅に下がっているというのが現状です。
そうはいっても、いくら科学的なことを言われても信頼できないことは信頼できない、という気持ちを持っている方もいらっしゃると思います。そこにどういうふうに対応していくかは、答えは単純ではないが、一つは「リテラシーを持ちましょう」ということ。リテラシーというと難しくなってしまうので、「物差しを持とう」という言い方をしてもいいかもしれない。例えば福島県では「100超え」という言葉があります。なにかというと一キロ当たり100ベクレルを超える値になったということを示す業界用語。100超えとは100ベクレルを超えるような作物が出たら問題があるということ。ただし100超えをするような作物はここのところほとんどなくなったというのが一定の人の中では常識になっています。このように、「なんとかベクレル」と言われてもわからないではなく、その時に判断をする「物差し」を一つでも多く持っていることが情報の嵐の中でおぼれてしまわないための一つの方法だと思います。
もう一つはそれを整理する、キュレーター的な役割、編集者的役割、情報を整理してわかりやすくおいておく役割が必要だと思います。テレビで池上彰さんや林修さんがウケているのは、まさに彼らが情報の渦の中で、いまこの部分を見ればこのニュースがわかるよ、この社会現象の背景にはこういうことがあるんだよということを端的に説明してくれるから。福島の話だって、多くの人が「なるほどね」と知る喜びを感じられる状態に持っていくことが求められていると思います。


福島について考えるためのヒント、リテラシー=「物差しを持つこと」。そして「キュレーター的存在=情報を整理してわかりやすくする役割が必要」。

今週はこのコーナーで、あなたからの感想、ご意見、メッセージも募集しています。メッセージを送ってくださった方の中から抽選で5名様に、3000円分の図書カードをお送りします。メッセージはメッセージフォームからお寄せください。(当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。)

パーソナリティ 鈴村健一

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