2017年7月17日

7月17日 災害時のSNS・法政大学 藤代裕之准教授1

先週に引き続き「災害時のSNSの役割」、考えていきます。
これまで、ユーザー数の多いSNS 3社にお話を伺ってきました。LINE、Facebookは身近な人の安否確認、支援する側・される側のマッチング、Twitterは災害現場に立ち入れない場合の、情報収集に力を発揮することが分かりました。
一方、SNSには拡散力が大変大きいため、様々な問題点もあります。これまでの災害を通じて分かって来た、今後SNSを活用するうえでの「課題」はどんなものがあるのか。

ソーシャルメディアに詳しい法政大学准教授 藤代裕之さんに伺いました。

◆SNSが招く混乱をどうすればよいか
SNSはたくさんの人が利用していて日常して日常的に使っているわけですが、災害時や緊急時に上手に利用するのは、かなりリテラシーが高い層に限定されてくると思います。簡単に発信できるんですが、一方でその現場の状況の把握・拡散と両方がセットにならないとトラブルが起きます。例えば東日本大震災の時だと、「助けてください」と物資を要求したのはいいんですが、それがずっと拡散し続けてどんどん(物資が)来てしまい捨てなければいけなくなったりとか。

一方、SNSを使う人が少ない集落ではそういうこともできず、ずっと物資が届かない。そうするとSNSでたくさん拡散した人の方が支援が来る、救助が来るという格差みたいなものに繋がるのじゃないかということがいま課題になっています。このSNSの発信力が格差を生むなら、2つ解決策があります。1つは「発信力を高めてもらう」。みんなが発信力を高めて自分たちの地域で困っていることをSNSで発信する。それによって物資が届きボランティアがやってくるというのは、ミスマッチがミスマッチを防ぐことができるし大変良いことだと思います。しかし、Twitterを非常によく使われていた熊本市長がおっしゃっていたんですが、「自治体の職員にも能力差がある。なのであまりTwitterでいろんなことをつぶやかれると職員がついていけないんです」。ということで使うのをセーブしたとおっしゃっていたんです。リテラシーの差があるものをある突出した人が使ってしまうと、支援者側のリテラシーが追いつかないというケースもあるわけなんですよね。そこで差がついてしまうと混乱が生じてしまうので、だとしたら自治体や支援団体のSNSの拡散力や発信力を高めるよりも、人々に自由に使ってもらいながら、様々な発信がまだらな状態を維持しつつ、どこかで専門家による情報のチェックをする。これを私は「情報トリアージ」と呼んでいるんですけれども、情報を選んで救助・出動の手前の部分で、情報トリアージチームが適切な情報を流すことで、「これは古い情報ですよ」「これも助けられました」と情報を選別する、ふるいにかける作業を入れることで被災現場の作業を減らしていこうという取り組みなんですね。ただ、情報トリアージが具体化しているかというとそうでは無い。研究は始まっていまして、国の方で最近流行の人工知能・AIを使って、情報が新しいか古いか、うそか本当かというものを確かめていきましょうというプロジェクトが始まったばっかりなんです。


明日は、いまの時点で私たちが、情報の拡散による「混乱」を防ぐためにどうしたらよいのか、藤代さんに伺います。

パーソナリティ 鈴村健一

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