2017年9月26日

9月26日 福島県楢葉町 鮭が遡上する木戸川(2)

今朝も引き続き、福島県楢葉町から木戸川の鮭の現状についてお伝えします。

町の面積のほとんどが、福島第一原発から20キロ圏内の楢葉町は、おととし2015年の秋に避難指示が解除となりましたが帰町した人の数は、震災前の町の人口の4分の1未満。今なお復興途上にあります。そんな楢葉町を流れる木戸川は、全国有数の、“鮭が遡上する川”として知られていますが、避難指示が解除されるまでの間、ふ化事業はほとんど手つかずとなっていました。2015年から事業を本格的に再開していますが、現状はどうなっているのでしょうか?
木戸川漁協 鮭 ふ化 場長の鈴木謙太郎さんのお話しです。

◆放流数はまだまだ
そこがですね、まだやはり例年の10分の1くらいしかできない状況で、今後もやはり、あと2年間くらいは厳しい状況が続くと思います。さらに専門家の声を聴くと、下手すると10年くらい、前の状態に戻るにはかかるんじゃないか、というのもあるので、その辺は不安もあるんですけど、とにかく一生懸命、前に進んで頑張るしかないと思ってますので、とにかく稚魚の放流を大事に、しっかりやっていきたいと思っています。


震災前、木戸川では年間7万匹から10万匹のサケを捕獲、1200万匹から1500万匹の稚魚を放流していましたが、原発事故の影響で町が避難指示となり事業は休止。2014年度に他の施設から購入した稚魚を試験的に放流して、2015年度から木戸川で採卵・ふ化させた稚魚を放流しています。放流から4〜5年後に戻って来るという鮭。去年あたりから戻ってきているのは、放流ではなく、自然産卵で生まれた鮭ということになります。

◆自然産卵で帰ってきた鮭、線量もND
人もつながりってあるんですけど、鮭もしっかりつながっていて、自分たちで自然産卵してちゃんと戻ってきて、その魚を見た時に、やはり自分らも勇気をもらったっていうか、力強く川の流れに逆らって遡上して来てる姿っていうのは、感動的で勇気づけられました。おととし再開した年っていうのは、例年の10分の1くらいで8443匹しか獲れなくて、昨年は7329匹ということで、徐々に減ってきてる状況なんで、今年なんかは予想だと、それの半分くらいしか来ないかなっていう予想なんで、不安はありますね。ほとんどが自然産卵のものが戻って来る年というのが、去年からだったんで、人工がすべて混ざって無くて、そういった意味では、少ないんですけど自然の力でそれだけ戻ってきてるっていうのは、ちゃんと鮭も自分たちをつなげてくれてっていうか、頑張って来てくれてるんで、自分たちもそれにつなげられるように、鮭も増やせられるように頑張っていきたいと思っています。2〜3年はほんとに厳しい状況つづくと思うんですけど、5年6年経てば、いま放流した稚魚が、ま、「回帰率」って言って戻って来る確率が0.5%くらいしかないんですけれども、1%以上帰ってくるように自分も育てたつもりなんで、それに期待してふ化事業に力を入れて頑張っていきたいと思っています。ある程度漁協でも津波の被害とか、川が形状が変わったりとか、あと瓦礫がひどかったので、瓦礫も撤去したりしたので、元の川に戻りつつあるんですけど、でもやはり一部、戻ってないところもあるので、今後はその辺も修正しながらやっていきたいと思ってます。鮭に関しては震災の次の年、2012年からモニタリング調査ということで放射性物質の調査をやったんですけど、すべて鮭はNDだったので、まあ生態もほとんど海洋の生活で、河川に居る時期も短いので当たり前の結果かなと思ってたんですけど、不安もあって、いざやってみたらそういう結果になって、ほんとにホッとはしてますね。


2014年度に試験的に放流した鮭が戻って来るのが、2018〜19年度、2015年度に再開した木戸川のふ化場で生まれて放流された鮭が戻って来るのが、2019〜20年度。ということは、今年はまったく自然産卵で生まれた鮭が帰ってくる年ということ。
2012年から行なっている放射性物質の調査では、木戸川の鮭はすべてND=検出下限値未満。

明日も、木戸川漁協 鮭 ふ化 場長の鈴木謙太郎さんのお話しお届けします。

パーソナリティ 鈴村健一

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