2017年11月23日

11月23日「福島の声を聞こう」木村紀夫さん(4)

今週は、福島県大熊町出身、木村紀夫さんのお話です。

東日本大震災の津波で、父と妻を亡くし、当時7歳だった次女の汐凪ちゃんは行方不明に。捜索を続けた結果、昨年12月。5年9カ月ぶりに汐凪ちゃんの遺骨の一部が見つかりました。現在は長女とともに、長野県白馬村に暮らしながら故郷の大熊と白馬を行き来する日々です。
そんな木村さんが、いま大熊町で取り組んでいることがあります。
  
◆大熊で採れた菜種油を今後は売りたい。大熊の現状を知ってもらいたい
去年の春から大熊で自分の田んぼと知り合いの田んぼを借りて、菜の花を咲かせてて、咲かせるだけじゃなくて、その菜種油をとってそれを燃料にしてそこに火をつけたら、なんか大熊に繋がるなと。始めて今住んでいる白馬と故郷の大熊が繋がるなと思ったんです。ただやっぱり、放射能の問題があるので、実際に放射線量を測ってみたいということで、今年知り合った専門家にお願いしたところ、放射能はほぼでなかった。食用になるのが国の基準で100ベクレル以下。大熊で原発から3キロの場所で、線量が毎時1〜2マイクロシーベルトぐらいあるところだが、そこでとれた菜種油からはセシウム137が0.016だった。国の基準からすると全然食べられる範囲なんです。最初は燃料にしようと思って測っていたが、それで自分の頭のなかでまたちょっとした欲望が出てきて、だったらこれを食用として売るような形にできないかなと思っていて。なにも隠さず、これは大熊町でとれた菜種油で、原発から3キロのところでとれたもので、線量はこのくらいと明記して、それでもいいよ、という方がいればそれで十分だし、大熊がいまどういう状況にあるのかというのを知ってもらうことにもなる。売れなくてもいい、知ってもらえれば。もちろん売れたほうがいいけど。いろんなところと繋がって、もしかしたら実現するかもしれない、という状況まで来ています。
環境省のほうでも、一回捜索したところは砂利をまかれてアスファルトにするのかどうか。あそこにまだ汐凪がいると思うと、自分としては勘弁してほしい。だったら、来年いっぱいで長女が高校を卒業して家を出るので、福島にいれる時間も長く作れるので、毎日雑草が生えないように畑を耕運しているので。なんとかそのまま、土のままにしておいてほしいと思っています。そっちの理由のほうがでかいですかね、菜の花をやりたいっていうのは。


環境省では、福島県内の除染廃棄物を大熊町と双葉町の中間貯蔵施設に輸送する計画を進めています。中間貯蔵施設建設のための「用地取得」もその一環です。また大熊町は原発事故の影響でいまも全町避難が続いていあます。そんな中、木村さんは「捜索」という名目で大熊町に通っていることから、大熊でのその他の活動や情報発信は、まだまだ限られているというのが現状です。

明日も木村紀夫さんの声をお届けします。

パーソナリティ 鈴村健一

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