2018年1月17日

1月17日 やさしい日本語(3)

引き続き、災害が起きた時の外国人の方とのコミュニケーション方法、「やさしい日本語」についてお伝えします。

「避難所があります」 「高台に避難してください」 ではなく、 「あっちに逃げよう」。
こういう風に、やさしい日本語に言い換えるだけで、外国人の方に「伝わる」ことが数多くあります。日本在住外国人、およそ250万人のうち、英語が母国語の人の割合はたった1%。無理に英語を使うより、やさしい日本語のほうが通じるケースは本当に多いと言います。

23年前の阪神淡路大震災をきっかけに開発され、全国に広がっている「やさしい日本語」。これまでの災害経験から、様々な「言い換え例」が、インターネットにもアップされています。NPO「多文化共生リソースセンター東海」の土井佳彦さんに教えていただきました。

◆コミュニケーションが外国人との「共助」に繋がる
(※聞き手:高橋万里恵)
土井:災害があったときにはいろんな特別な言葉が出てくるんですね。避難してを、「にげて」と言い換えたり、災害で電気が止まったりガスが止まったりしますが、停電という言葉を使わず、「電気が止まる」と言い換えるとか。あとはそういうのをひっくるめてライフラインと呼びます。ライフラインがストップした、ライフラインが復旧したと言いますが、「電気、ガス、水が止まりました」と言い換えてあげるというのは覚えておいたほうが役に立つと思います。単純に言葉の言い換えだけじゃなくて、文化的な背景の違いもあります。地震が起きたときに、早く学校に避難してくださいという言い方をされます。日本人は学校の中に体育館があってそこが避難所になっていて、避難所に逃げると誰でも食べ物がもらえて寝泊まりできて、しかも無料だということは分かっている。だから学校に避難しろというのは「安全な場所に逃げようね」ということなんですが、そんな国はなかなかないんですね。災害が起きた時は、本当に屋外で着の身着のままで寝る感じだと思うんです。学校は外国人の方にとって多くの場合、子どもたちが勉強しに行くところなんですよね。だから「学校に避難しろ」と言われても、なんでこんな大変な時に学校に行って子どもでもないのに勉強するの、それどころじゃないよねと思うんです。。学校=避難所で安全です、と結びつかないと、地震が起きてもそもそも学校に避難しようということがないんですね。そこはやっぱり日本ならではの身の守り方なので、言葉と同時に文化的な背景も含めて共有していくのが大事かなと思いますね。

ーーーー例えばやさしい日本語を使うようになったとして、その行動が次のアクションにつながったり、そういう可能性もあるなと思ってらっしゃいますか。

やさしい日本語で情報が理解できれば、次の行動を自分たちで選択できるようになるというのがあります。東日本大震災では、やさしい日本語でコミュニケーションをとれた外国人の方々が、被災者というだけではなくて避難所の運営の中に関わる支援者にもなっていったんです。例えば避難所でボランティアが皆で炊き出しをしたり掃除をしたりしますよね。その時に「炊き出し」と言ってもわからない。でも「みんなでご飯作るよ」と言えば、僕も参加する、ということになる。「朝の一斉清掃の時間です」と言われても何だかわからない。「掃除するんだよ」とひとこと言えば、ああ手伝いますねと、外国人の方も一緒に活動することができます。救援物資の仕分けをする時も、「水とトイレットペーパー分けようね」と言い換えて、みんなで集まってやることができたそうです。外国人を支援するツールというだけじゃなくて、外国人の方々と一緒に何かをするためのツールとして、彼らをエンパワーメントしていくツールとしてもやさしい日本語は前よりももっと注目されているんじゃないかと思いますね。


ちなみに、日本は高齢化が続いていますが、日本で生活する「外国人の方」に限ると、平均年齢も若いといわれている。
つまり、若くて体力のある人たちが多いく、意思の疎通がとれれば、災害時はとても頼りになる助け合う関係ができると言います。大事なのは、災害が起きる前から、ご近所の外国の方とも、やさしい日本語も活用してコミュニケーションを取っておくことかもしれません。

やさしい日本語、いまはインターネットで検索すると様々な情報が出てきますし、自治体や各地のNPOなどが普及活動をしています。この機会にチェックしてみてください。
★多文化共生リソースセンター東海のサイト

あしたは仙台市荒浜からのレポートです。

パーソナリティ 鈴村健一

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