2018年1月19日

1月19日 仙台市荒浜「海辺の図書館」(2)

今朝は引き続き、宮城県仙台市、荒浜地区で活動を続ける「海辺の図書館」のレポートです。

仙台市の中心部から車で20分程の距離にありながら、いまだ野ざらしの景色が広がる荒浜。もとは美しい浜辺と松林が広がる風光明媚な場所でした。
災害危険区域に指定され人が住むことは出来ませんが、この場所にふたたび人が集い、震災前の人の営みや文化を元の住民と交流しながら“本を読むように”体験するのが「海辺の図書館」です。図書館とはいえ、本が置いてあるわけではありません。2014年の立ち上げから数人のメンバーと共に、波の音が聴こえるベンチでの読書会やまちあるきイベント、音楽会やBBQイベントなどを開催しています。

そもそもこの荒浜がどんな町であったのか?館長の庄子隆弘さんに伺いました。

◆震災前の荒浜の暮らし
あそこは800世帯あって、それだけの人が住んでいたんですよね。海があって、海の恵みを受け、その手前にある松林で採れるキノコや松ぼっくりを燃料にして何かするとか、そういった暮らしに私も小さい頃から常に触れていた。なぜ触れられていたかというと、そこに住んでる人たちの顔が見えている。いまそういった部分が無くなっているところが多くて、コミュニティというものが見直されてる部分があるかと思うんですけど、それは決してユートピア的なものではなく、もちろん煩わしさとかもあるから今の都市生活をしてる人たちが捨ててきたものが、なにかいいバランスで私の時は残ってたなと思うんですね。あとは気候がいいってみんな言う、私もそう思うんです。震災後に訪れた私の友人なんかも“リゾートみたいだね”って言うんです。青空があって、広い土地が・・・下にある瓦礫さえ見なければ・・・本当にリゾート地に来てるような感じだという、まさにそうなんだよねという魅力があったかなと思います。


大手書店の図書館部門で責任者を務めながら、生まれ育った荒浜の魅力を伝えていこうと「海辺の図書館」の活動を続けている庄子館長。その背中を押している原動力についても伺ってみました。

◆そこの場所に自分が居たいと思い続けること
よく“なんでやってんの?”って言われるんですけど、今の原動力は、“荒浜に訪れている人の多さ”ですね。世間から言われているような「風化」であったり、“震災なんか忘れられてるよ”っていう声を感じられないんです私あそこに居て。みんな常に怒ってるし笑ってるし考えてるし。そういった人たちが集まっているところで、その場所に身を置くことが心地いいんですやっぱり。だから残しておきたいというところがあって、なによりそこの場所に自分が居たいって思い続けてることじたいが原動力になってますね。

やはり荒浜に人が来て欲しい。来てまずいちばん最初に行って欲しいのが、海ですね。震災遺構の荒浜小学校からバスで降りて、おそらく降り立った時に、“大変なことがあったんだな”って最初に思うかもしれないです。で、まだ基礎が遺ってる部分のところを歩きながら、堤防を上って、見える景色っていうのが、やっぱりすごい、ほかでは見られないかなって思います。広がりっていうか、荒浜の魅力と分かってもらえると思いますね。

荒浜地区は、今後、公園や商業、農業のエリアとして整備され、いまはまだ更地です。住民はすでに集団移転が進められています。間もなく7年が経つ仙台市、中心部のすぐ近くの町でもこの状態という現実があります。

海辺の図書館

パーソナリティ 鈴村健一

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