2018年4月16日

4月16日 熊本地震から2年 地獄温泉「清風荘」(1)

今朝は、熊本地震で大きな被害を受けた、南阿蘇村からのレポートです。

今回中西さんが訪ねたのは、熊本地震と豪雨災害によって甚大な被害を受けた阿蘇の地獄温泉、200年の歴史を誇る老舗旅館「清風荘」です。
もっとも被害を大きくさせたのが、震災から2ヶ月後に阿蘇地方を襲った豪雨による土石流。大量の土砂が旅館に流れ込み、一部(本館)を残して建物の解体を余儀なくされました。宿に通じる道は現在も閉鎖されたままで、土砂を運び出す作業が今なお遅れています。

昨年の風景


本館を残して建物の解体が進んだ2年目


そんな2重の災害にもめげず、一歩ずつ、“温泉の再開”に向けての活動が始まっています。「清風荘」の代表、河津誠さんに案内していただきました。

◆「壊したことでいろんな夢が見られるんです」
中)風も気持ちいい、鳥の鳴き声もするし、素晴らしいところですね。歩いているこの辺りすごく硫黄の香りがしますね
河)この辺りお湯も沸きますし、ガスもどんどん沸いている場所です。
熊本地震から2ヶ月後の6月20日の大雨による土石流で、あそこに自動販売機が何台か転がっていますが、流されちゃったんですね。川の音が聞こえると思いますけど、その川が土砂で堰き止められて溢れて、この宿を壊しながらこっちに流れて、地獄温泉の敷地内を川が流れている状態で。新館も旧館も泥だらけです。
これが本館です。明治の中期、およそ130年前ぐらいに建てたものですが、今回解体したことによって大昔の人のものすごい執念のこもったものが出てきました。ちょっと見にいきましょうか・・・


中)すごいしっかりしてますね、床もものすごい丁寧に作られている・・・ 
河)そうですね130年前は今車で来た道もなかった、歩いてしか来れなかった時代にこんなでかいのをこんな山の中に作ってるんです。
解体前は全くこれ見えなかったんです。

中)あ、(本館裏の床下に)石垣が。
河)この辺りは沼地なんです。制御しないとここに建物建てられないのでまず掘って石垣作って水を逃がしたんです。それをまだパワーシャベルもない頃に全部手でやってる。この石運んできたと思いますか?歩かないといけないのに絶対に運んでないですよね。ここから出てきた石をきれいに削ってのっけて。お城並みなんですよこれ。なぜこんなことしたかというと、歩いてしか来れないので日帰りで帰ってくれなんて言えないじゃないですか、お風呂入りに来た人に。だからどうしても泊めたいと思ったんでしょうね。ゆっくりしてもらいたい、痛みを治してもらいたい、傷を治したもらいたい。じゃ泊るところが必要。じゃここ基盤づくりから始めましょうと。というのを僕ら今回の地震ではじめて知ったわけです。「なにめそめそしているんだ、このぐらいのことで」と、そういうメッセージが伝わってきます。そのエネルギーはスゴイですよ。そうなると諦める理由にはならないでしょこの状況は。ま地震はあったけどこの先祖たちの苦労に比べれば全然楽だと。今度はこの沼地もロケーションとして活かしちゃおうと、水が出るんだったら水の庭にしようと、壊したことでいろんな夢が見られるんです。その夢はあと100年磨きましょうと、一生懸命この方たちがやったように。そうすれば新しい技術が次の伝統になっていませんか?というコンセプトです。


旅館の解体をして見えてきた老舗旅館の歴史。本館の裏、山の水をハケさせるための石垣は、河津さんや兄弟も知らなかったそうで、先月この石垣を発見した
ことで目標がクリアになり「この夢を100年磨くとすれば自分の代では完結しないので、思いっきりじっくり考えられる」ととても明るい表情で話してくれました。
そしてもう1つ、河津さんに元気を与えてくれているのが、今も変わらず沸き続けてくれている源泉です。復旧への想い、続きは明日お伝えします。

パーソナリティ 鈴村健一

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