2018年5月17日

5月17日 方言消滅の危機(1)

きょうは「ことば」をめぐり、東北だけでなく日本の各地で起きている問題を考えます。
いま、私達が使っている「日本語」に関する大きな問題、方言消滅危機です。

日本には、たくさんの「方言」がありますが、いま、その話者がいなくなる危機があるのをご存知ですか。

日本で、消滅の危機にある「方言」の調査研究を実施している文化庁国語課 国語調査官の鈴木仁也さんに伺いました。

◆消滅の危機にある8つの言語
ユネスコが2001年に「言語の体力測定」という尺度を示しました。いま言語がどのぐらい広く使われているか、それがどう継承されているか。それに基づいて、次につながっていかない状況にあるものが「消滅の危機にある危機的な言語」。ユネスコは、世界6,000言語の半分近くが消滅の危機にあると、2009年当時に発表しています。消滅の危機に陥る原因として一番大きいのは植民地支配などで現地の言葉を使わせない、自分達の支配下に置きたいから教育や何かを通して言語を学ばせちゃうわけです。日本も大陸に進出した時に日本語を教えていた歴史があります。国内で言えば日本語は多くの方が使っているんですが、「方言と共通語」の問題があり、方言の話者の減少ということになるわけです。そこに気づき出したことで「消滅の危機にある言語」が問題だ、となってきたわけです。それぞれの言語、方言もそうですけれど、その地域だからこそ捉えている、“モノの捉え方”がある。その言葉がなくなればその“捉え方”自体も、表現の仕方が無くなり文化が失われていく。伝統行事の言葉は大体その地域の言葉ですから、伝えられてきた文言の意味がどんどんわからなくなってくると、形だけやっているけど本来の趣旨がよくわからないということが起きてしまうことがあり得る。

ユネスコが2009年に発表したデータでは、日本の国内では8つ、消滅の危機にあると結果が出ています。1つは日本語とは全く違う言語ですけれども北海道を中心としたアイヌ語、これが非常に危機的な状況にある。危機の深刻度では最も高い。それ以外は八丈島の八丈語、奄美大島の奄美語、沖縄本島北部、与論、沖永良部を中心とした国頭語、沖縄の那覇、南部を中心とした沖縄語。それから宮古島を中心とした宮古語、石垣島の八重山語、そして与那国の与那国語の8つ。まだ同じ尺度で例えば鹿児島の甑島を調べてみると与那国と同じ危険度だというデータも出ました。さらには東日本大震災の被災地である岩手県の三陸地方も方言も、危機の状況であるという結果が出ているんですね。ですからそこ以外でも、もし同じ基準で調べてみれば、まだ消滅の危機にあるという結果がでるところは、可能性としてあると考えています。


明日以降も、この「日本の方言」をめぐる問題、対策をお伝えしていきます。

パーソナリティ 鈴村健一

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