2018年5月21日
5月21日 方言消滅の危機(3)
いま、消滅の危機にあるという日本各地の『方言』 、「お国言葉」の問題を考えます。
世界に6000ある言語のうち、およそ3000が消滅の危機にあり、日本でも沖縄や奄美の古くからの言葉、北海道のアイヌ語、さらに東京都・八丈島の八丈語などが「消滅の危機にある」。また近年は、東日本大震災の影響で岩手、三陸、福島でも同じことが起きています。
そんな状況を受け、国・行政、そして地域の大学などが連携して、方言を守る取り組みを続けています。
お話を伺ったのは文化庁国語課 国語調査官の鈴木仁也さんです。
◆「残したい」という気持ちが必要
消滅の危機にあるという警告がユネスコが出ており、方言が記録として残されていない地域もあります。そういう地域でもし本当に方言が無くなったら、その地域で話されていた言葉は何を調べても出てこなくなってしまう。それはさすがに良くないだろうということで文化庁では研究者に入ってもらって、この地域で、この島ではどんな言葉が使われているのかということを音声や文字で記録してもらう調査をしてもらっている。
東日本大震災の被災地もそれぞれの地域で、主に大学にお願いをして記録を取り、各地域で方言を使って活動している方々と一緒に方言に触れてもらう場を設けることをやっていただいています。岩手県の田老第一中学校では、地元の歴史上の人物を題材にした創作劇を作る時に、子どもたちの発想で「これは方言を入れないとリアリティがない」という話があったらしく、岩手大学の先生方が中心となって、震災の時に見つかった昭和初期の方言の記録文書などを参考、どういう方言を当時は使っていたかという監修で関わった例があります。方言に係る取り組みは、当然その言葉が継承されることがいちばん大切なポイントです。ただこれは国が「継承してくださいね」とお願いするものではないわけです。その土地の人達が「自分たちの言葉っていいよね、だから伝えていこうよ」と考えてくれないと意味がない。(国や行政、研究機関に)どこまでやれるかというと、学びたい時に学べるテキストや辞書などを整えること。自分たちの言葉がどれだけ良いものか表現をしてみることが大切で、共通語でアフレコをするのと方言でアフレコをするのでは、子どもたちは断然 方言のアフレコを楽しいという感覚を持つんですね。その楽しさを感じてもらいたい。そこがきっかけで、そのあとは自分たちでこういうふうにしたいと言う相談があれば、こういうことができるんじゃないかと相談に乗る。「残って欲しい」であって「残しなさい」ではないと考えています。
また、方言が消滅の危機となった理由の一つに、かつて年配の方の中には「子どもや孫には方言を使ってほしくない」など、継承を望まない人が多かった時期があったことが指摘されています。これは戦前・戦後を通じて共通語教育が重視され方言の価値が否定されてきたことが背景にあると考えられていますが、現在は、方言を「残したい、残って欲しい」と考える人は増えているといいます。
あしたも「日本の方言」をめぐる問題と対策についてお伝えしていきます。
世界に6000ある言語のうち、およそ3000が消滅の危機にあり、日本でも沖縄や奄美の古くからの言葉、北海道のアイヌ語、さらに東京都・八丈島の八丈語などが「消滅の危機にある」。また近年は、東日本大震災の影響で岩手、三陸、福島でも同じことが起きています。
そんな状況を受け、国・行政、そして地域の大学などが連携して、方言を守る取り組みを続けています。
お話を伺ったのは文化庁国語課 国語調査官の鈴木仁也さんです。
◆「残したい」という気持ちが必要
消滅の危機にあるという警告がユネスコが出ており、方言が記録として残されていない地域もあります。そういう地域でもし本当に方言が無くなったら、その地域で話されていた言葉は何を調べても出てこなくなってしまう。それはさすがに良くないだろうということで文化庁では研究者に入ってもらって、この地域で、この島ではどんな言葉が使われているのかということを音声や文字で記録してもらう調査をしてもらっている。
東日本大震災の被災地もそれぞれの地域で、主に大学にお願いをして記録を取り、各地域で方言を使って活動している方々と一緒に方言に触れてもらう場を設けることをやっていただいています。岩手県の田老第一中学校では、地元の歴史上の人物を題材にした創作劇を作る時に、子どもたちの発想で「これは方言を入れないとリアリティがない」という話があったらしく、岩手大学の先生方が中心となって、震災の時に見つかった昭和初期の方言の記録文書などを参考、どういう方言を当時は使っていたかという監修で関わった例があります。方言に係る取り組みは、当然その言葉が継承されることがいちばん大切なポイントです。ただこれは国が「継承してくださいね」とお願いするものではないわけです。その土地の人達が「自分たちの言葉っていいよね、だから伝えていこうよ」と考えてくれないと意味がない。(国や行政、研究機関に)どこまでやれるかというと、学びたい時に学べるテキストや辞書などを整えること。自分たちの言葉がどれだけ良いものか表現をしてみることが大切で、共通語でアフレコをするのと方言でアフレコをするのでは、子どもたちは断然 方言のアフレコを楽しいという感覚を持つんですね。その楽しさを感じてもらいたい。そこがきっかけで、そのあとは自分たちでこういうふうにしたいと言う相談があれば、こういうことができるんじゃないかと相談に乗る。「残って欲しい」であって「残しなさい」ではないと考えています。
また、方言が消滅の危機となった理由の一つに、かつて年配の方の中には「子どもや孫には方言を使ってほしくない」など、継承を望まない人が多かった時期があったことが指摘されています。これは戦前・戦後を通じて共通語教育が重視され方言の価値が否定されてきたことが背景にあると考えられていますが、現在は、方言を「残したい、残って欲しい」と考える人は増えているといいます。
あしたも「日本の方言」をめぐる問題と対策についてお伝えしていきます。