2018年5月23日

5月23日 方言消滅の危機(5)

消滅の危機にあるという日本各地の『方言』 の問題、お伝えしています。

東北では、東日本大震災の影響で、岩手、三陸、福島などで方言の話者、つまり話し手が本当にいなくなってしまう可能性があると言われています。
そして、それよりも以前から、消滅の危機が指摘されているのが、沖縄や奄美の古くからの言葉、そして「方言」ではなく別の言語、北海道のアイヌ語です。

文化庁国語課 国語調査官の鈴木仁也さんに伺いました。

◆アイヌをテーマにした漫画が人気
アイヌ語は極めて深刻な状況にあるということになります。明治時代に同化政策と呼ばれる、事実上、アイヌ語を使うなという政策があった。家庭でもアイヌ語を使わないようにという形で、家庭内でのアイヌ語の継承が途絶えたというのが非常に大きなところです。現在アイヌ語の話者は、かろうじて80代後半の方で何人かいらっしゃるというのは聞いたことがあります。でもおそらくひとけたなんじゃないかと言っている学者の方もいらっしゃいます。だけど今アイヌ語は非常に注目されて、マンガ大賞を取った作品の影響が大きいですね。「ゴールデンカムイ」という漫画ですね。漫画の監修した大学の先生の講演会は札幌では抽選で倍率10倍以上、東京でやった時に座席数60のところに200人ぐらい来ていましたから非常に人気があります。言葉にも関心を持ってもらえますしアイヌの料理、儀式、文化的なものを幅広く関心を持ってもらえていることがきっかけで、アイヌの施設に足を運んだ若い方が多いと最近聞きました。


ケリー・アンはこの「ゴールデンカムイ」もアニメ版を以前から観ています。さすがアニヲタ!ちなみにこのアニメ、アイヌ語の発音も アイヌ語研究者が監修、徹底的にこだわった作品になっているそうです。

最後に、我々が方言をもっと身近に、親しむための方法、教えていただきました。

◆方言に触れる旅をしよう!
日本の方言、アイヌ語を守っていくことを考えたときに、沖縄や奄美であれば島唄というのがあります。あの中に出てくること言葉と言うのは、当然その地域の言葉です。島唄なんかは特によく耳にする。それを聞きに行くと言うことも多くの方がされているので観光に非常に深く結びついているツールがあるわけですね。2020年に白老に国立アイヌ民族博物館を含む民族共生象徴空間というのができます。その中では積極的にアイヌ語を使おうということで今まで以上にアイヌ語が聞けるのではないかと。さらに、バスの車内放送でもアイヌ語使おうという動きがこの4月から始まっているんです。ですから探してみるといろいろなところで、消滅の危機にある言葉を聞くことができます。多分東北であれば民謡だとかいろんな伝統行事の中の言葉、そして物にも生きているはずですし、そうした地方の、生の、その地域の言葉が、いかに生き生きとした力強いものかと感じて、良いぞと思ってくださると言うのが多分これから方言と言うものを残していく上においては1番大切なんではないかと思います。


明日も、方言をめぐる問題、考えます。

パーソナリティ 鈴村健一

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