2018年7月5日

南相馬市小高区「フルハウス」(4)

今週は、福島県南相馬市小高区に「フルハウス」という本屋さんを開いた、芥川賞作家、柳美里さんのインタビューをお届けしています。

4月にオープンした「フルハウス」は、小高駅から歩いて2分くらいの場所にあって一軒家を改築したぬくもりのある雰囲気の本屋さん。本棚には柳さんの友人である24人の著名な作家や映画監督などが推薦する本がメッセージのポップ付きで並んでいます。


そんなオープンしたばかりの「フルハウス」で、あらためて開店を迎えての思いを伺いました。

◆特別な場所づくり それが本棚
本も被災したんですね。津波で家が流され、家と一緒に本も流されたんです。あと警戒区域になった時に、家に動物が入り込んでしまった。そうすると地震で本棚倒れて本が散らばったうえに動物の糞尿のようなものがされてしまったお宅が多いんですね。やっぱり本に対して胸を痛めている方が多かったんですね。もう手に入らない本がこんなになってしまってもう廃棄せざるを得ないと。そういう方が開店前からふらっと訪ねてきて、“本屋さんまだ?”って。“本屋さん出来たらもう一度、空の本棚を、一冊一冊ゆっくり選んで家に持ち帰って読みたい”っておっしゃるお年寄りも多いわけですよね。だから私は特別な場所を作りたいと思ったんです。で、友人の角田光代さん、村山由佳さんとか、中村文則くんとか、いろんな小説家に声をかけて、誰も断らなかったですね。“20冊、選奨してください、手書きポップを掲示します”、で、みんなやっぱり本って憧れのまなざしで眺めますよね。そういうものがこの地域に必要だと思うんですよね。というのがやっぱり“汚染地帯”というふうに思われている中で、やっぱり私は美しい場所が必要だと思って、力を尽くして、心を尽くして、棚を作りました。



いま一軒家の一階の二間が本屋になっています。
夏の終わりには、坂茂さんデザインのブックカフェが完成予定、さらにそのあとは、子供たちが自由に使える「学習室」、「ギャラリー兼Bar」、「小劇場」も作る!と決意を語っていた柳さん。資金はまったく足りてないけど、とにかく「やる」と決めているんだそうで、「人口は増えなくても交流人口を増やしたい!そのきっかけの一つになれれば」と話してくださいました。

「フルハウス」は、常磐線「小高駅」から歩いて2分。火曜から金曜の午後1時から午後9時20分まで開店しています。
さらに毎週土曜日にはゲストを招いてのイベントも開催しています。
詳しくはコチラから。

パーソナリティ 鈴村健一

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