2013年12月27日

12月27日 福島富岡町「おだがいさまFM」(2)

今回LOVE&HOPEのスタッフは、富岡町の臨時災害FM「おだがいさまFM」の取材に同行して、富岡町の居住制限区域に入りました。

冨岡の「除夜の鐘」を録音して、大みそかに放送しよう!というプロジェクトです。

取材に訪れたときの、富岡町の空間線量は、だいたい3〜20マイクロシーベルト。高いところでは、45マイクロシーベルトを記録しました。東京都内の空間線量0.04マイクロシーベルトに比較すると、やはり線量はかなり高いと言わざるをえない状況です。

そんな富岡町を今回案内してくれたのは、富岡町の社会福祉協議会、主幹兼事務課係長の吉田恵子さん。生まれも育ちも富岡の吉田さんは、「おだがいさまFM」の立ち上げにも奔走した人物です。吉田さんは現在、家族とともに、いわき市に住んでいます。人影のない富岡の町を車で走りながら、その想いを語ってくれました。

◆花好きの父が「花なんて見たくない」と言った
うちの父親が草木を育てるのが好きで、商売をやっていたので、店先に飾っていた。お店に来てくれたお客さんと「この花なんていうんですか、きれいですね」というところから会話が始まって、いろんな話ができるようになったりしていた。いろんな草花を育てるのが好きだったのに、震災後なんかの話から「もう花なんて見たくない」と父がいった。朝起きれば花のところにいって、夜寝る前に花を見て、という人だったのに、どういうこと?と思ったら、「花を育てられる環境じゃないことに気が付いたから、自分でもう考えるのをよそう」と思ったんだろうと。その時に、そんな寂しい想いをさせながら、残りの人生を送らせていいのかなと考えてしまって。本人にどうする?って聞いたら「もう富岡には帰らないよ」と言ったので、わたしはいわきに家を買った。放射能はあります、でも誰も帰ってきません、じゃそこで住みますか?と言われても、住みたくないよね。例えば、庭で畑でもやってとか、釣りにでもいってとか、そういう普通の生活はできないでしょう。


アンケートによると、町に帰りたいと答えた人は町民の12%。還らないが46%。残りはまだ迷っている、という回答でした。町民一人一人が、選択と決断を迫られている、というのが現実です。

スタッフが取材で訪れた富岡町は、人影もなく、田んぼや畑、駅や神社にも、草木が生い茂って、荒涼とした風景が広がっていました。

吉田さんは、原発事故の教訓として、この風景を遺しておくべきなのでは?とも考えています。

◆原発事故が残した風景
逆に、今年は木が生えました、来年になったらこれくらい伸びてましたとか。なんかそのままにしておきたいというか。こうふうになったらこういう町になっちゃうんだよ、というのを遺しておきたい、とも思う。


今朝は、福島県富岡町、社会福祉協議会の吉田恵子さんのお話でした。

パーソナリティ 鈴村健一

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