半径3mの「世界観」ライナーノーツ
このアルバムは一言でいうと"虹"のようだ。

学校が終わって、急いで家に帰って届いているはずのCDをポストから探し出す。透明なフィルムを焦る気持ちを抑えつつ丁寧に破き、アルバムの表紙を触ると思わず笑みが零れた。やっと、やっと聞くことが出来る。

クリープハイプの四枚目のアルバム「世界観」は一曲目"手"の一音目から、一四曲目"バンド"の最後の音が消えるその瞬間まで心臓を掴んで離さなかった。しかも彼らは私の心の一番奥にある、やわらかい大切な場所のすぐ隣で語りかけるように演奏してくれる。アルバムに入っている楽曲を順に聞いていくうちにまるで1人の人生を見ているような気分になり、同時にたくさんの思い出や色々な気持ちが頭の中を駆け巡っていく。まさに私の"世界観"を引き出してくれる存在になると確信した。

そしてこのアルバムは一言でいうと"虹"のようだ。
幾筋もの違った色を持った楽曲が連なって、でもそれでいてそれぞれが混ざらずに輝いている。だからといって一つ一つが独立しているわけではなく、その全てで「世界観」を創り出している。
幸せも、悲しみも、苛立ちも、切なさも。
クリープハイプが、尾崎が持つ全ての感情が言葉になって、音になって、詰め込まれている。だからアルバムを一巡した後に、また最初から聞き直したくなる。人生の中でこんなにも心を動かされるものに出会えたことを本当に素晴らしく思った。
このアルバムの十四曲目、締めくくりとして収録されている"バンド"の歌詞を引用するとまさに、《だから愛しているよ/都合のいい言葉だけど》といったところである。
「世界観」という自らの名前を名付け、ある種の区切りをつけたクリープハイプ。
彼らがこれからどのようにして新しいステージに進んでいくのか、必ず見届けたい。そしていつまでも彼らの音楽に新しい世界を切り開いてもらいたいと強く思った。

未波 18歳 大阪府