2007全夏フェスライヴ!
update : 2007.7.30
2007.7.22_SETSTOCK'07

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前回の「HIGH LINE RECORDS 10TH ANNIVERSARY〜10年目の夏〜」への飛び入りライブのレポートに引き続き、今回は、2007年夏フェスの最初のステージになる、広島「SETSTOCK'07」の模様をリポートしたいと思います。

7/21、22日の2日間、会場の「国営備北丘陵公園」にて開催された「SETSTOCK'07」。今年は2日間とも天候がかなり心配されたのですが、両日ともパラパラと小雨が降ったり、どんよりとした雲が空を覆い尽くす時間が多かったものの、要所要所では晴れ間も顔をのぞかせた、自然の織り成す表情にも小気味良く彩られた、そんな穏やかなシチュエーションに包まれてのイベント開催になりました。「SETSTOCK」のへの出演は2年ぶりとなるBUMP OF CHICKEN。ライブは2日目、22日のEAST STAGEにておこなわれました。この日も会場の天気は、晴れたり曇ったり小雨が降ったりと、コロコロとその表情を変えていました。ただ、会場を埋め尽くした2万人近いお客さんは、それぞれの時間、それぞれのステージで奏でられる最高の音楽に、その移り気な天気をうまくリンクさせて寄り添いながら、自然の空気と音楽とを心から楽しんでいる様子でした。
2日目EAST STAGEのヘッドライナーをつとめる"バンプ"のメンバーは、16時頃に会場に入りました。会場入りしたメンバーは早速楽屋に入って、ライブに向けての身支度を整え始めます。ストレッチをしたり、フェスならではの楽屋フードエリアの豪華ケータリングでお腹を満たしたりと、それぞれにウォーミング・アップを始めています。色々なアーティストが一堂に会するフェスの楽屋エリアは、ライブを前に緊張した面持ちのミュージシャンと、ライブが終わってお役御免になった身軽な酒盛りアーティストが渾然一体となっていて、それはそれでカオスな空間なのですが、そんな中、"バンプ"のメンバーは例年通り、あまり楽屋から外に出歩くことも無く、強いて言えば、ステージを終えフードスペースでいい感じにほろ酔いになっていたDRAGON ASHのメンバーと談笑したくらいで、楽屋での4人の空気/時間に浸っているって感じでした。
フェス用のリハーサルの音源をイヤフォンで聴きながら、自分のパートの演奏を確かめる"チャマ"。同じくイヤフォンを聴きながらラバースネアを小気味良く刻んで感触を確かめる"升"。椅子に腰掛けてギターのフレーズを丁寧に確認しながら奏でている"増川"。そして、アコースティックギターで音階をとりながら発声練習をし喉の調子を整えていく"藤原"。フェスならではの一コマってよりは、自分達のワンマンのツアーでも、ライブ前は同じようなこんな凛とした時間が流れていたんだった、って感じたのです。開演時間が近付くにつれ、楽屋にもより緊張した空気が立ち込めます。そんな中、ふっと席を立ち楽屋を出て行った"藤原"。なんとなく楽屋から出て行った"藤原"を、「そー言えば、"藤クン"居なくねぇ?どこ行ったんだろうねぇ?トイレにしちゃ長くねぇ?」なんて皆がざわつきだした頃に、ひょっこり戻ってきて、「ピロウズのライブ観てきた。すげぇ良かった・・・!」って、トリビュート・アルバムで往年の名曲「ハイブリッド・レインボウ」をカバーした朋友、THE PILLOWSの白熱のステージを楽しんだりっていうフェスの醍醐味も、"藤原"はちょっぴりかじったりもしたのでした。

さて、いよいよ「SETSTOCK'07」の2日目、EAST STAGEのトリをつとめるBUMP OF CHICKENのライブの時間が近付きます。チラチラ降っていた雨もすっかり上がって、なんだか暖かいような寂しいような、可愛いような怖いような、そんな夕焼けが空を染めあげる中、すり鉢状に迫り上がった客席を、人・人・人が埋め尽くし、メンバーの登場を今や遅しと、熱気と興奮で今にも破裂せん勢いで待ち焦がれています。オレンジに輝いていた空が見る見るうちに暮れていき、だんだんと暗がりが会場を包み込んでも、人・人・人の熱気は衰え知らずで、まるで得体の知れない大群が闇に蠢いてるみたいで、すり鉢状の会場のテッペンから見下ろしていると、何だかそら恐ろしくなってくるくらいでした。
そして、ステージ右横に設置された巨大スクリーンに「BUMP OF CHICKEN」の文字が映し出されると、会場全体が大きく波打ち拍手喝采が沸き立ちます。いよいよ、今年の「SETSTOCK」の最後のステージを飾るBUMP OF CHICKENのライブの始まりです。ステージが暗転、いつものSEが流れてメンバーがステージに登場すると怒濤のような歓声と地響きのような騒音が会場を埋め尽くします。約2年ぶりのメンバーとの再会を心待ちにしていたお客さんから、悲鳴にも似た歓声が沸き起こります。そりゃそうですよね。メディアでもなかなかお目にかかれない"バンプ"のメンバーですから、こうやって生のライブでの久しぶりの対面ってなったら、悲鳴の一つもあげたくなるってもんです。でも、こういう歓喜の再会の場面に立ち会う度に、「ああ、このお客さん達は待っててくれてたんだなぁ。メディアやライブで本人達と会えない間も、しっかり曲と向き合い対話をして、じっくりとBUMP OF CHICKENとの関係を育んでいてくれたんだなぁ」と実感するのです。そんな、お客さんとバンドとの尊い関係がこんなにたくさんあるんだなぁって痛感するのです。

そして、いよいよライブがスタート!! アンコールも入れた約40分のステージは、まさにお客さんとBUMP OF CHICKENが創りあげた芸術的な感動の場面がいつくもありました。フェスでは初めての演奏となる『涙のふるさと』のイントロが流れた瞬間の歓声と、「会いに来たよ」のサビの大合唱、『ガラスのブルース』での"藤原"とお客さんの唄声のみの大合唱などなど、「BUMP LINES!」の掲示板でもさんざん、「SETSTOCK」での"バンプ"のライブ体験者の皆さんが書き込んでくれた素晴らしい瞬間が、いくつもいくつもギュッと詰まった、そんな興奮のライブが行われたのでした。"藤原"の「こんな素晴らしいイベントで、こんな素晴らしいミュージシャンがたくさん出演している中に、僕等を呼んで頂いてホントに有り難うございます。そして、僕等のライブを見る為に最後まで残ってくれたお客さん、ホントに有り難うございます!」っていうMCは、このイベントへ出演できた喜びと、この日のライブを一緒に創りあげてくれたお客さんへの心からの感謝と共鳴の気持ちが凝縮された言葉だったように思うのです。

Report: フッキー (TOY'S FACTORY)

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