The SALOVERS

2011年1月17日(月)。くるりと対バンライオット2日目。
この日のくるりの対バン相手は、閃光ライオット2009に出現した希有な才能「The SALOVERS」。

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開演時間のすいぶんと前から、リハーサルのために下北沢シェルターに到着した4人の若武者たち。彼らの持ち味と言えば、10代とは思えぬ独特の色気とクールな雰囲気と、そのアンニュイさの中に、周囲をゾクっとさせる刃を忍ばせる "妖艶さ" が魅力なのだが、この日は、いささか違った。
それは、まるで伝説の雷魚を目撃するために、静かな湖畔のほとりで佇む少年のよう。
野望もあれば、恐怖もあり、ドキドキもあれば、ソワソワもしている。
それもそのハズである。彼ら4人の瞳に映っているのは、最上級の憧れを抱く「くるり」の姿。
しかも、至近距離で、いわば目前で、くるりが音を出し、リハーサルをしている。

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少なからずとも、少しのスキルを持ち合わせている者でしか解かり得ない、本物のスキル。
リハーサルというウォーミングアップのレベルで、既にその格差に直面している様子が、部屋の空気から伝わってくる。
「じゃ、続いてサラバーズさん、お願いします。」
その声に押されるように、リハーサルのステージに上がる4人。
もし、「緊張の糸」というモノが肉眼で見えるのならば、止まった蝶々がその羽をハラリと落とす程、極限にまで張り詰め、鋭利に光っている。

昨晩は一睡も眠れず、本番当日は、一食もとれなかったというボーカルの古館。
その「緊張」に拍車をかけるように、くるりのメンバーが4人のリハーサルを終始見つめている。
ギターの一音が振るわすビブラートが、手の震えからなのかと誤解させる気配すらある。
「こなす」という感覚でリハーサルを終えるも、その実、もう覚悟を決めたような眼差し。
「だんしーーー!(男子って感じだなー!)」と、サラバーズのリハの感想を笑みで交わすくるりのメンバー達。全てのリハーサルが終了。いよいよ、世代を越えた才覚が、ぶつかる。

湯気が立つ。

会場のドアが開く。
アッという間に200人余りが一気に会場を埋め尽くす。
スタッフですら身動きがままならないほどの超満員。

熱気が立つ。

教頭のやしろの狼煙が上がる。いつも通りのゆるくも、きめ細やかなマスター・オブ・セレモニー (MC)。執拗なコール&レスポンス祭り (笑)。音楽IQが高めのオーディエンス層を、充分過ぎる程沸かしてオープニングMC終了!

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「まずは、コイツらから!」
教頭のかけ声と引き替えに、4人の若武者がステージに上がる。



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