「山口一郎、37歳に向けての目標。」

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★ 一郎先生、お誕生日おめでとうございます!
一郎先生は、私のちょうど20才上なんですが、これからも音楽好きのお兄ちゃんとして私たちにいろいろなことを教えてくださいね。
つづきのはじまり
女性/17/栃木県




山口「20歳上……!(笑) ちょい待て。僕が20歳の時に生まれたのか。……そうなんです。私、山口一郎は、明日9月8日で、なんと……37歳になりますー!つづきのはじまりと20歳差!(笑) ……ということで、黒板を書きたいと思います。」

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今回は、9月8日に誕生日を迎える一郎先生の、37年の目標を発表していきます。
音学室には、たくさんの黒板を用意してあります。好きなだけ目標を書いてもらおうと思います。


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「……目標を語る前に、まず現状の話をしなきゃいけないなと思うんですけど(苦笑)。サカナクションは前回のアルバムを出してから、もう4年……もうすぐ5年経つわけですよ。その間に、(草刈)愛美ちゃんの出産で1年間活動休止もありましたし、日本アカデミー賞音楽賞部門で最優秀賞を受賞したり、シングルも4枚出して、両A面シングルを含めて6曲くらい出しているんですね。なので……何もしていなかったわけではなかったんですけど、アルバムが出なかったと。……正直、私、スランプなのかもしれない。でも、スランプといっても曲が書けないわけではないんですよ。ずっとタイアップとかフェスでのヘッドライナーを務めることによって、外に向けて作る曲……シーンの中のど真ん中の曲を作らなきゃいけないっていうのがずっと続いていたんですね。なんだかそれに慣れちゃっていたんだよね。"あれ……本当に自分が作りたい曲ってどんなのだったっけな" って。ライスワークとライフワークっていう考え方があるんだけど、ご飯を食べるためだけの仕事と、自分の大義のためにやる仕事。その2種類があると思うんだけど……言い方は悪いかもしれないけど、ライスワーク的な仕事……外に向けて届けるためだけの自分の表現みたいなところに特化していたから、どうしたもんかなーって思っていたんです。」

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「今、アルバム制作も始まっていますけど、ちょっと思うのは、こんだけCDが売れない時代になったり、僕たちはアルバムを4年も5年も出していないのに幕張メッセや大阪城ホールでの2DAYSとか、前回のツアーも全部ソールドアウトできたり、フェスでヘッドライナーも務めさせていただけましたし……こんなにリリースしていなくても、こんなに待ってくれている人たちがいるっていうことに対して、セールスとかじゃなくて、自分の好きなものを今の自分の表現したいことや景色、考えていることを、純粋に曲にしようかなっていう気持ちにやっとなれてきました。」

「それも、実はこのラジオのおかげなんですね。サカナLOCKS!の生徒の皆さんもそうだけど、それ以外にも、そういったところで音楽のことを外から見たり、勉強したりする時間がたくさんあって、自分たちがやってきた歴史を振り返ることができたり、自分たちの立場も分かってきたりしたんですよ。やっぱり自分たちってシーンのど真ん中にいる、ドーンとした音楽を作りたいわけじゃないんだよね。それに抗って抗ってオリジナリティを出そうとしてきたバンドなんですよ。10年もデビューをしていると、他のバンドを見て、このバンドってこのバンドの系譜だな……とか、このお客さんの盛り上がり方ってあの時代のあのバンドの雰囲気だなとか……いろいろ分かるんですよね。かっこいいし勢いはあるけど、オリジナルじゃないなって感じがするわけ。バックボーンが分かるっていうかね。で、僕らって、そういった音楽には10代の頃や20代の頃もあんまり手を伸ばしてこなかったわけ。だけど、自分は今そこに存在しているっていうことに、ものすごく違和感を感じているんですよね。僕はずっと"マジョリティの中のマイノリティでいたい" って言い続けてきたんですよ、そういうアルバムをしっかり作らないといけないなって。だから、次のアルバムは本当に暗いし、とんでもないアルバムになるかも知れないんだけど、それが今のシーンに対する、自分たちの "マジョリティに対するマイノリティ" っていう感覚なんだなって。そういうものを作ってみたいなと思っています。」

「アルバムを出す出す言いすぎて、出す出す詐欺みたいになって、いい加減Twitterとかでもふざけんなっていう本気のお怒りのコメントがきたりして(苦笑)。本当に待てない人たちが出てきているんだなって。それはファンだけではなくて、メディアの対応を見てもわかりますからね。だから、派手ではないけど、すごいものを作ろうと思うので。ちょっと難しい作品になっちゃうかもしれない。17歳のつづきのはじまりとか、20歳下の子達からすると、暗いし重いって思うかもしれないけど、つづきのはじまりが僕の年齢になった時くらいに、僕らがこれから作るアルバムを聴いたら、すごい良いアルバムだねって思える作品にしたいと思う。確かに、前回のアルバム『sacanation』って売れたんですよ。ヒットしたの。だけど、そういう期待もビクター社内から薄れてきているっていうところもあると思うから、思い切って自分の作品を作りたいと思うし、自分の近くにいる人が幸せになるような活動をしたいと思います。」

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「でね、僕たちは新しいスタジオを作ったんですよ。作ったって言っても、何億かけて作りました!みたいなものではなくて、何百万くらいの……ビクターもお金出してくれないから自腹でね(笑)。ちゃんとコンセプトを持って全部作ったんですよ。で、そのスタジオを今度、開放しようと思うんです。レコーディングしている様を見に来られるようにしようと思っている。それは、全員は無理だから、1日何人みたいな感じで募集するんだけど。そうやって自分たちのドキュメンタリーみたいなものを見せていけたらと思っているし、頑張っていきたいと思っています。」

「ふと思ったわけ。NFの会社を作って11月で1年なんですよ。パリ・コレクションであったり、音楽に関わる音楽以外の人たちのことを伝えることをたくさんやったり、ラジオもやったり……全部音楽のための、自分が思う音楽の未来のためのことなんですけど。余計なお世話だっていう人もいるけど。で、いろいろやっていて、僕らに足りないのはリリースだけなの(笑)。でも……年内にアルバムを出すって言っていたけど、ちょっともうね……分からん(笑)。」

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「黒板に目標を書こう!ちょっと喋りすぎちゃったので、じゃあ、1枚だけ。」

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「どういうことかっていうと、自分の中の "インサイド" ……心の中でやりたいと思うことと、外に向かって発信したいと思うこと、そのバランスをとるっていうのを37歳の目標にしたいと思う。本当に周りの人に助けられながら、 "アウトサイド" ……いろんなことをやってこられたんですよ。『NF』もそうだし、シングルもたくさん出させてもらったし、映画の劇伴を作って、アカデミー賞を獲るチャンスをもらったり。そういうのをいろいろやらせていただいたので、今度はちゃんと自分のインサイド……内側のものを表現することに向き合ってみようと思う。一回、セールスとかみんなの期待に応えるっていうことを忘れて、いろんなプレッシャーを無視して、ファーストアルバムやセカンドアルバムを作った時の感覚に戻ってしっかりやってみたいなと思う。」

「本当に皆さん、アルバムをお待たせして……それは自分でも自覚しているので、……苦しんでっていうとあれだけど、楽しく、苦しみながら自分の心の雑巾を絞ってしっかりと音楽を作っていきたいなと思います。時間をたくさんもらえそうなので、自分と向き合う時間を……実家に帰ったり、御墓参りをしたり。パーソナルな部分を見つめ直して。昔の自分と今の自分を比べながら、どこが変わってどこが変わらないのかを確かめる一年になったらいいなと思う。そして、素敵な40歳になれたらいいなと思います、40歳のときは東京オリンピックですから。オリンピックの年に一回、答えを出してみたいと思う……サカナクションとしてのね。その時に自分たちのスタイルを確立していきたいと思います。メンバーも今スタジオで頑張っていますので。ちょっとInstagramとかTwitterの投稿が減っていますけど、考慮していただけたらと思います。」

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そろそろ、今回の授業も終了の時間になりました。

「ちょっと長くなってごめん。まあね……みんなにも学校や会社があるように、僕らもそういう自分たちの周りの環境があるわけです。みんなにはなかなか言えない苦しみもあるんだけど、こうしてラジオで話す機会があるっていうのは良いことだと思うし、サカナLOCKS!も今まで以上に音楽の面白い部分を伝えたり、難しい部分を通訳する授業にしていきたいと思いますので、楽しみにしていてください。「こういうことをやって欲しい!」なんてことがあれば、それに対して考えることができるから、メッセージをいただけると嬉しいです。写真も毎回頑張ってるから(笑)。どこか楽しみになっているから、それも期待していただけたらと思います。」

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