『6.1ch サラウンドLIVEを振り返る』

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山口「はい、授業を始めますから、席に着いてください。マンガを読んでいる生徒はマンガをしまいなさい。Twitterを開いている生徒は、Twitterを閉じなさい。Instagramを開いている生徒は、Instagramを閉じなさい。授業が始まりますよ。」

「今日はまず、以前このサカナLOCKS!でも紹介しました、NF Recordsから11月29日にリリースされる藤原ヒロシさんのアルバム『slumbers』から新曲を初解禁したいと思います。藤原ヒロシさんの存在を生徒諸君はあんまり知らないんじゃないかと思う。知っている生徒はすごくカルチャーに敏感な生徒だと思う。先生たちの世代からすると、藤原ヒロシさんっていうのは、憧れのクリエイターなんです。音楽だけではなくカルチャー全般の"先の人"っていうかね。先生がよく言う、一歩先の人。遥か遠くにいるわけではなく、みんなが理解出来るくらいの一歩先のことを常に見つけて発信していった人ですね。だから僕らの周りにはファンが多い。僕の先生みたいな人です。その藤原ヒロシさんが、僕たちが立ち上げたNF Recordsっていうレーベルから曲をリリースすることになったんですね。これはね……当時高校生だった僕に言っても信じないと思う。「おい、一郎!お前いつかメジャーデビューして、自分のレーベルを立ち上げるんだよ。その立ち上げたレーベルで藤原ヒロシさんがアルバム出すんだよ!」って言っても、「……んなバカな!そんなことないよ。何言ってんの、おじさん。」みたいな(笑)。そのくらいびっくりすると思う。小泉今日子さんに楽曲提供をしていたり、日本のカルチャーにすごく影響を与えてきた人なんです。NF Recordsからリリースすることをきっかけに、藤原ヒロシさんが歩んできた道を知ってもらいたいなと思う。まずは、このアルバムから1曲聴いてもらいたいと思います。」


M WALKING MEN / 藤原ヒロシ


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「ということで、サカナLOCKS! 稀に見るアダルティな楽曲になっております(笑)。みんな、どう?こういう感じの曲、どうかな?”AOR”っていう言葉をみんな知っているかな?日本では、”Adult Oriented Rock”っていうんだけど、海外では、"Audio Oriented Rock"とか、"Album Oriented Rock"って言い方をします。大人な雰囲気で、夜景を見ながらロマンチックなムードで音楽を聴く……っていうようなジャンル感が定着しています。藤原ヒロシさんのアルバムから感じるAOR感っていうのは、主流という幹から枝分かれしていった、その枝の先の音楽っていうかね……それをAORっていうんですよ。だから、その感覚は生徒諸君にも掴んで欲しいと思う。藤原ヒロシさんの『slumbers』っていうアルバムを紹介した理由は、普段触れている音楽と違う音楽に触れるいいきっかけになるかなと。藤原ヒロシさんっていう存在を知って、掘っていくことで、新しい出会いになるんじゃないかと先生は期待している。だからぜひ聴いてもらいたいと思っています。……サカナLOCKS!に藤原ヒロシさんが来るかもしれないからね。」

「それでは黒板を書きます。今日は久々にしりとりとかではなく、専門的な授業になります(笑)。皆さん、ついてきてくださいよ。ちょっといろいろ難しい話になると思うけど、イメージを働かせて……これは”音学"の授業だからね!

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「今回は、先日幕張メッセと大阪城ホールで行った、6.1chサラウンドLIVE(SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around)を振り返っていきたいと思います。」

「まずは、6.1ch サラウンドシステムってどういうことなのかお話ししていくぞ。そもそもみんなは音楽を聴くとき、どうやって聴いてる?ヘッドホンやイヤホンで聴くことが多いと思う。でも、コンポって知っているか?LとRっていう風に、右と左にスピーカーが分かれているんだ。LとRの2つがある……これがレギュラーなんだ。6.1ch……これに、".1"っていうのが存在しているな。これは何かというと、低い音だけが出るスピーカーのこと。ウーハーっていうんだけど、例えば、田舎道で車が低い音を鳴らして走っているのをみかけたことがないか?あれは、ウーハーっていう低音だけ出るスピーカーを車に積んでいるんだ。その低音だけ出るスピーカーを".1"と計算するんだ。なぜかというと、低い音は右から鳴っているのか、左から鳴っているのか、前から鳴っているのか、後ろから鳴っているのかっていう、"定位"を感じにくいんだ。その定位が分かりにくいから、".1"っていう換算になるんだ。サブスピーカーっていう扱いになります。右のスピーカーと左のスピーカー、低音専用のスピーカー、これで、2.1ch。」

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「さらに一番後ろの壁……教室で例えると、ヤンキーの生徒が座っている後ろの窓側の席……ロッカーとか道具箱があるところだな。そこに1つスピーカーがあって、廊下側の一番後ろの席にもスピーカーが1つある。前にある左右2つのスピーカーと、後ろに2つあるスピーカー、そして低音専用、これで4.1ch。」

「そしてさらに教室の真ん中の窓側の席……可愛い子がよく座っている席だ。そこにも1つスピーカーがある。廊下の壁側の、マンガとかが大好きな子が座っていそうな席(笑)。そこにもスピーカーがある。つまり、前に2つ、横に2つ、後ろに2つ、そして低い音だけ出るスピーカーが前にある。それで6.1ch。6つのスピーカーと、低い音だけ出るスピーカーが付加されて、6.1chということになります。」

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「みんな、わかるかな。映画館とかもそうだな。映画館はスピーカーに囲まれているんだ。それと同じなんだね。例え話をすると、英語の授業で先生がラジカセを持ってきて、「今から外国人が何をしゃべっているのかリスニングしなさい。」と、再生したときに、教室の前にいる生徒も後ろにいる生徒も同じくらいきちんと音が聴こえるようにしよう!……っていうのが、今回、6.1chをやろうと思った、ひとつの動機なんです。なんとなく分かるかな?」

「普段は2つのスピーカーでしかライブをやっていないんだけど、それを6つにすることで出来ることが増える。6つのスピーカーから音が出せるとしたら、前のスピーカーの音が、真ん中のスピーカーに行って、後ろのスピーカーに流れていく……とかね。音をぐるぐる回したり、表現方法が増えるわけです。そこで新しいクリエイティブが生まれていくというところで、サカナクションは6.1chを実現したわけです。音に囲まれるっていうのは、普段ライブに行っている人は体験をしたことがあるかもしれないけど、6.1chの臨場感っていうのは、他のライブでは味わえなかったと思う。みんながよく行くような音楽フェス……2万人、3万人、5万人が収容するっていうスペースに対して、前に左右の2つしかスピーカーがなかったら、いちばん前の人と後ろの人で聴こえ方が全然違うじゃない。それを均等に保とうと思うと、スピーカーを足さなきゃいけないわけですよ。だから僕らはスピーカーを足したんだけど、それをすると(LIVEの運営的には)赤字になっちゃうのね。今回の僕たちのライブも、合計6万人ほど入りましたが、なんと……赤字でございます。サカナクションね……「解散」ではなく……「破産」の可能性大(笑)。でもね、やった甲斐があったと思う。これはいずれレギュラー化していきたいと思っています。」

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このライブを体験した生徒からの書き込みを紹介します。



★ 6.1chサラウンド大阪城ホール
サカナクションツアーの大千秋楽行きました!余韻がまだ抜けなくてずっと体がうずうずしてます全方位から自分に向けて音が飛んできて音に溺れる最高の夜でした!鳥肌がずっと止まらなかったですていうかあれはライブとかいう次元じゃない、完全に異世界に連れていかれてしまいました夢だったのかなって本気で思います本当にサカナクション好きになってよかったなって心の底から思います!これからもどんどんやばいミュージシャンになっていってください!応援してます!!春に出るアルバムも楽しみにしてます!あ、新曲めっちゃくっちゃ好きです!わたしもアルバムを楽しみに春まで乗り切ります(笑)
小悪魔ラスカル
女性/20/徳島県




「がんばります!大阪城ホールは、幕張メッセに比べて音がぐるぐる回るのが分かりやすかったんですね。なぜかというと、形状が大阪城ホールは丸いんです。幕張メッセは四角いので、大阪城ホールの方がどこから音がなっているのかが分かりやすいのと、音を吸い込むので反響しにくい。より定位感が分かりやすいんですね。例えば……みんな、引越ししたことあるか?これから大学に行くことになって引越しをする機会もあると思うけど、部屋を見に行くだろ?そこは声が響いてなんだか寂しいって思うこともある。でも、そこにテレビが来たり、タンスが来たり、洗濯機が来たり冷蔵庫が来たりすると、それが音を吸収するんだ。これは「デッドになる」っていう言い方なんだけど、反響しないことで音がデッドになっていく。床が絨毯の部屋に行くと、急に音が締まるっていうか。あとは絨毯の部屋だと反射しない分、人の声が聞き取りやすかったりするんです。」

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「2013年に一度このサラウンドライブをやって、スピーカーの進化もあります。たかがこの4年でも。それによって、よりサラウンドっていうものが分かりやすくなったり、音質や音量が上がっています。だから、前回よりもサラウンド感を強く感じやすかったっていう意見が多かったので、僕たち的にも続けていきたいと思っている音楽体験です。やっぱり、音楽体験もアップデートしなきゃいけないと思う。僕たちも挑戦し続けていきたいなと思います。次のツアーは春だと思いますが、この春でもサラウンドができるように頑張りたいと思います。」

音っていうのは奥が深い……ここで話をし続けると、みんな眠たくなってくるんじゃないかと思うけど、ちゃんとサカナLOCKS!では伝えていきたいと思います。」

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