「チャート1位!ベストアルバム『魚図鑑』感想逆電!」

SCHOOL OF LOCK!


今週からSCHOOL OF LOCK! は新年度・新学期に突入。
毎週木曜日は、"音学(おんがく)" の授業、担当はサカナクションの山口一郎先生です。
まずはこの音学という授業について、そして新入生の皆さんに一郎先生から挨拶があります。

山口「はい、授業を始めますから席に着いてください。マンガを読んでいる生徒はマンガをしまいなさい。Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いている生徒はInstagramを閉じなさい。授業が始まりますよ。新入生の皆さん、おはようございます。ご入学おめでとうございます。毎週木曜日は、私、サカナクションの山口一郎が授業をお届けしているんですが、ご機嫌いかがですか?(笑) 生徒の皆さん、いいですか。このサカナLOCKS!は本当に厳しいんだ。私語厳禁だ!宿題は必ず提出するという硬い掟があるんだ。」

「君たち諸君に言っておきたいことがある。君たちはまだ、音楽の表層の部分しか分かっていないと思う。先生は、音楽という荒波を漕ぎ続けて早10年。この先生が音楽の深層心理に迫りつつ、生徒諸君にその浅瀬の部分を伝えていこうとしてやっているんだからな。LとRでステレオなのに君たちはイヤホンを恋人同士で片耳ずつ付けて聴いたりしているんだろう?それは音楽の半分しか理解していない……モノラルにすらなっていないんだ!(笑)そんな僕がお届けする授業は……」

SCHOOL OF LOCK!


「毎週木曜日は、"音を学ぶ"と書いて、音学の授業をお届けしていきます!いっしょに音楽の表と裏を学んでいきましょう。」

「さて、先週水曜日に発売された、サカナクションのベストアルバム『魚図鑑』が、なんと……週間オリコン1位という快挙を成し遂げましたー!!……ありがとうございます、ありがとうございます。アルバム2作続けてのオリコン1位ということで、まだサカナクションはオワコンじゃないということが証明されたかなと(笑)。そして、これはデジタルも1位。ストリーミングやサブスクリプションをやっていながらのベスト盤1位は初めてということでね。これは、ビクターの上から30番目〜40番目に落ちちゃった、サカナクション担当の人も20番目くらいに復活したということでね。僕らはまた皆さんのおかげで音楽を作ることができます。本当にありがとうございます。」

「何年もアルバムをリリースしていないことをごまかしつつ、サカナLOCKS!も続けてきましたが(笑)。ようやくニューアルバムのリリースにも期待が高まっているということでね。今回は、そのベストアルバム『魚図鑑』に関する書き込みをしてくれた生徒に直接電話をして、どうだったかを聞いてみたいと思います。それではいってみましょう。」

山口「もしもし!」

幻SOLファンクラブ会長のテン(以下、テン)「もしもし。栃木県 15歳、幻SOLファンクラブ会長のテンです。」

山口「会長のテン!『魚図鑑』は手に入れてくれましたか?」

テン「手に入れました。」

山口「どうだった?」

テン「でっかかったです(笑)。」

山口「ははは(笑)。どっちを買った?ダンボールに入っているやつ(完全限定プレミアムBOX)?」

テン「入ってないやつ(初回限定版)です。」

山口「あ、本のやつな。中、読んだ?どうだった?」

テン「通し読みしました。普通と違う感じがして……今まで見てきたCDと違うなって。曲の考察とかが載っているのを初めて見て……おもしろかったです。」

山口「よかった。このベストで初めて知った曲もある?」

テン「はい、たくさんあって……中でも気に入った曲があって、「ミュージック」がすごく気に入りました。」


■ サカナクション / ミュージック MV





山口「え?「ミュージック」知らなかった?」

テン「はい。通して聴いているときに、この「ミュージック」と出会ったって感じです。」

山口「そうなんだ。どういうところが気に入った?」

テン「あの…… (曲の後半の) "振り返った季節に立って" って入るところがあるじゃないですか。僕、曲が盛り上がるのがすごく好きで。この盛り上がり方がすごくいいなって感じがして……。」

山口「ライブ映像とか見た?」

テン「見ました!急に暗くなって、パッて明るくなったら、みんなが楽器を持っているのがかっこいいなーって思いました。」

山口「これは……是非ライブに来てね。生「ミュージック」を体験すると結構ワクワクすると思うよ。

テン「はい。」


山口「でも、サカナクションの曲で聞いたことがない曲がたくさんあるっていうことは、新曲みたいな感覚で聴いているってことかな?」

テン「そうですね。」

山口「そっか、そっか。サカナクションを最初に聴いた曲は何?」

テン「それが、「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」なんです。」

山口「おー。それは何きっかけ?」

テン「友達とボーリングに行った時に、音は聞こえないんですけど、上のスクリーンのところに人形が踊っていて……」

山口「ははは(笑)。うん、ミュージックビデオね。」


■ サカナクション / 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』





テン「そうです。で、曲は聞こえないけど、これは聴いてみたいなって思って。」

山口「なるほどな(笑)。それでサカナクションを知って、今回『魚図鑑』を買ってみたんだ?」

テン「そうです。」

山口「2枚組の……<浅瀬>と<中層>の2枚のうち、どっちが好きかな?」

テン「あ……<浅瀬>の方が好きです。」

山口「おー。結構テンションが上がる、盛り上がる曲だからか。」

テン「そうですね。」

山口「それ、頑張って<中層>の方を繰り返して聴いてみて。するとね、結構趣向が変わってくるはずだから。」

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山口「先生の持論を言っていいか?影響を受けるものを自分で選んでいると、都合のいい自分にしかなれないのよ。想像通りの自分にしかなれないんだけど、例えば自分があんまり興味がないなと思うものだったり、手に取るほどのものじゃないなって思うものを、積極的に自分から吸収していくと、想像できない自分に変化できる時があるのよ。<浅瀬>に引っかかったわけだろ、会長のテンは。それをきっかけに<中層>を聴いていくと、なぜ自分が<浅瀬>に惹かれていったのかが分かって、想像のできない自分の感覚にはまれる可能性があるから。だから、頑張って……ちょっと地味な曲が多いけど、繰り返し聴いていくうちに……サカナクションから離れられなくなるぞ(笑)。」

テン「はい(笑)。」

山口「是非みんなにサカナクションの素晴らしさを伝えてください(笑)。」

テン「はい、分かりました。」

山口「勉強も頑張ってな。」

テン「はい、ありがとうございます!」

山口「是非ライブにも遊びに来てください。」

テン「はい。」

山口「じゃあ、またね。」

テン「あ、先生。」

山口「どうした?」

テン僕が考えた挨拶があるんですけど、いいですか?

山口「おう、言ってみろよ。」

テンしたっけねー……つって!

山口「ははは!(笑)おーし、分かった。それでいこうか?」

テン「はい!」

山口したっけねー

2人つって!

山口「(笑)」


山口「校長に毒された会長のテンだな(笑)※。」

(※「したっけー」は北海道のお別れの挨拶ですが、生放送教室で校長がよく使っています)

山口「でもね、<中層>にはまってほしいねー。<中層>ってどういうことかというと、『魚図鑑』を知らない生徒に説明をすると、僕らはベスト盤を3枚組と2枚組の2種類を出しているんです。で、<浅瀬>っていうのはシングル曲とか派手目のものが多くて、<中層>っていうのは初期の頃の曲とか、少しミドルテンポの曲が多いんです。<深海>っていうのはドープな……サカナクションの中でも暗い曲がたくさん入っているんです。会長のテンは、<浅瀬>の「アイデンティティ」とかが入っているやつが好きだっていって聴いているんだけど、<中層>に辿り着いて、こっちのよさに気づいてくれると、好きな音楽がどんどん増えていくと思うのね。だから、聴いてほしいなと思う。そして、<深海>の世界観に惹かれてくれるとね……15歳で<深海>が好きって言う人は、将来性があるからね(笑)。そこにまで行ってほしいなーと思うね。」

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もうひとり、電話をつなぎます!

山口「もしもし!」

マイケル サカナとアクションル(以下、マイケル)「北海道 15歳、 マイケル サカナとアクションです。」

山口「マイケル、『魚図鑑』手に入れた?」

マイケル「はい。」

山口「"魚図鑑"か"魚大図鑑"だったらどっちだった?」

マイケル「大図鑑です。」

山口「お、ダンボール箱に入っているやつ?」

マイケル「はい!」

山口「お!その箱はどうした?捨てた?」

マイケル「いや、とっておいています。」

山口「とっておいてるんだねー(笑)。えらいなー。どうだった?魚大図鑑手に入れてみて。」

マイケル「うーん……まず、本当にCDなんだろうかっていう衝撃で……」

山口「ははは(笑)。めちゃくちゃでかいもんな。」

マイケル「はい。CDが入っているケースも、CDのデザインもクールで、さすがサカナクションだなって。」

山口「いいねー。嬉しいわ。」



山口「3枚とも全部聴いて、どれが一番好き?」

マイケル「うーん……<中層>です。」

山口「おー!何の曲が好き?」

マイケル「明日から」です。」

山口「おー……「明日から」?」

マイケル「一郎先生の歌い方が好きだなって思いました。」

山口「ちょっと気だるい感じに歌ってるやつ?」

マイケル「そうです、はい!」

山口「これはダブリングって言って、同じ歌を2回歌っているのを重ねているのよ。古臭い雰囲気と気だるい歌い方が、曲の明るい感じに対して、テンションが緩いっていうかね。そういうバランスを作っている曲なんだよね。」



山口「マイケルは今、15歳、高校生になるのかー。」

マイケル「はい。」

山口「新しい学校に行って新しい友達がたくさんできると思うけど、周りにきっと、サカナクションが好きな人って居ないと思うんだよ。でも、居なくていいと思うんだよ。先生も高校生の時に好きだったミュージシャンを好きだっていう人って周りに一人も居なかったんだよね。だけど、同じように他の学校とか遠いところに、同じミュージシャンが好きで一人で居る人たちがたくさん居たんだよな。」

マイケル「はい。」

山口「サカナクションのベストアルバムは今回オリコン1位になったんだよ。」

マイケル「おめでとうございます。」

山口「ありがとうございます。マイケルみたいに、他にサカナクションが好きな人が居ないって思いながら、サカナクションを応援してくれている人たちが集まってオリコン1位になっていることはすごく面白いことだなーって思うんだよな。」

マイケル「はい。」

山口「だから、別に周りに共感されなくてもいいから、サカナクションの音楽をこれからも聴いていって欲しいと思うし、自分が好きになったものを他の人が好きって言わないこと……そういうことって、音楽以外にもたくさん出てくると思うんだよ。例えば、ファッションとかもそうだし、勉強したい、学びたいと思うことも含めてな。でも、自分が好きだと思ったら、それをちゃんと信じて吸収していって欲しいと思う。」

マイケル「はい、分かりました。」


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山口「なにか質問あるか?聞きたいことがあったら答えるぞ。」

マイケル「僕がサカナクション先生の中で1番好きなのが「Ame(B)」なんですよ。なんでベストアルバムに「Ame(B)」が入ってないんだろうッて……」

山口「ははは!(笑) これなー……入れなかったんだよなー……。」

マイケル「「Ame(A)」が入っているのに、なぜ「Ame(B)」が入ってないんだろうと思って。」

山口「Ame(B)」を入れるなら、マイケルなら、<浅瀬>、<中層>、<深海>のどこに入れた?

マイケル「<中層>です。」

山口「<中層>かー。一郎先生からしたら、<浅瀬>だったのよ。LIVEでも1曲目に演ることが多かったんだけど、入れるなら<浅瀬>の1曲目かなって思っていたの。でも、ベストアルバムの1曲はもっと代表的な曲にしたいし、「新宝島」にしたかったんだよね。」

マイケル「はい。」

山口「そういう事情で「Ame(B)」っていうのは入らなかったのよ……残念だけどな……。」


山口「でもな、今は便利な時代で、デジタル配信とかで1曲買えるから(笑)。買って、プレイリストの中で「新宝島」の上にピョンと入れてもらえたらマイベストを作れるから!」

マイケル「はい(笑)。」

山口「でも、僕らはこの曲を愛していないわけではないからね。」

マイケル「はい。」



山口「明日、入学式か?」

マイケル「はい。」

山口「不安がらずに楽しんで。」

マイケル「はい。」

山口「入学おめでとう!」

マイケル「はい、ありがとうございます。」

山口「じゃあ、ぜひライブにも遊びに来てください。」

マイケル「はい、分かりました!」

山口「じゃあねー、バイバイ。」

マイケル「バイバイ。」

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今回の授業も終了の時間になりました。

山口「新高校1年生になる子たちが、サカナクションの古い曲を新曲のように聴いてくれるっていうのはすごく嬉しいと思うし、今ラジオを聴いてくれている生徒諸君の中にもきっといると思うんだよね。最近の先生もそういう感覚なのよ。今、古き良き音楽がインターネットで簡単に聴けるようになったでしょう?だから、先生が今聴いている曲は、80年代……60年代、70年代の曲を新曲のように聴いているんだよね。それを、自分の新しい音楽に取り入れようと思っているわけ。きっと、新しい音楽から影響を受けることもあるだろうけど、古き良き音楽も自分のものに取り込んで音楽を作る人たちが増えてくるんじゃないかなって思っています。だからこの『魚図鑑』を聴いて、新しくバンドを始めたいと思う人たちが増えたらいいなって思うし、サカナクションにちょっと興味がある人たちが、さらに音楽を好きになって、新しいミュージシャンに出会うきっかけになってくれたらいいなと思っています。まだ、聴いていない人もいると思うんですけど、いつか気が向いたら、手にとって聴いてもらえたらと思います。」

「さて、来週の授業ですが、生徒の皆さんに新学期の『宿題』をたくさん出したいと思います!……君たち、ここはサカナLOCKS!の音学の授業だ。いっしょに学んでいきたいので、いっぱい出しますよ。」

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