「エロい音楽」

SCHOOL OF LOCK!


山口「はい、講義を始めますから席についてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている人はInstagramを閉じなさい。YouTubeを見ている人はYouTubeを閉じなさい。講義が始まりますよ。」

「ちょっと気になる記事があってね……」

■ツーブロックはダメ?校則に疑問の声 学校「高校生らしくない」

西日本新聞の記事。簡単に言うと、ツーブロックっていう髪型が学校で禁止だと。なんでツーブロックがダメなの?っていうことがこの記事に書いてあるんだけど。髪型って、先生たちの時代からすると、金髪、リーゼントは絶対にヤンキーみたいな(笑)。女子も夏休み終わると茶髪にしてきて、先生に「お前ちょっと……」って。そういうのはあったけど、今の子たちってそういうのないですよね、多分。……あるのかな。だから、高校生になったから高校生らしくしてほしいみたいな学校の要望に対して、高校生にとっての高校生らしさみたいなものが変化しているのに、学校側がその倫理についていけていないっていうところですよね。僕が思うのは、国公立はもう自由でいいのかなって、逆に。私立だとお金を払ってわざわざそこに行くわけでしょ。だったらその学校のブランディングに付き合わなきゃいけないとは思うけど。だけど、国公立は比較的自由で……あと、先生とかがどういう人たちが多いのか僕は知らないけど、「あいつちょっと最近おかしくなってきたな」とか、「態度が悪くなってきたな」「茶髪にしたな……ちょっとお前、大丈夫か?」って、その合図としての服装の変化と捉えるのか、ファッションでやっているのかっていう空気を感じ取れなくなってきているんだな……っていうのを、この記事を見て思いましたね。」

「それでは、本日の講義内容を黒板に書く。」

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「学生諸君、高校生もまだ隠れて聴いているかもしれない……だけど、ほぼ大人の時間帯ということで、竹に例えるとだな……今までの君らは竹の子だったんだ。……もう、竹だ!(笑) だから、今日はエロい音楽という講義を真面目にやってみたいと思う。

音楽とセックスについてまず話す。みなさん、音楽を聴くことでやる気が起きたり、リラックスすることってあると思う。匂いでもあるよね。例えば、家に帰ってきてラベンダーの香りがするとほっとするとか、お風呂の入浴剤とかもそうじゃない?音楽も匂いも目に見えないけど、人間の気分をコントロールするものとしては同じ効果が働くものだと思います。そういう部分で、音楽を聴くということで感情をコントロールすることができる……つまり、エロい気持ちになる。そんな人もいると思うし、そんな音楽も存在する。しかし、それはあなたが他の誰かよりも、どエロいということではない。音楽によってそういう気分になってしまう……そういうことはしょうがないことだと。」

「昔ね、本当にナンパが大好きな同級生がいたの。彼の家に行くと、必ずダウンライトでNujabesのジャズが流れていて(笑)。「こいつエロいな……!」って思ったわけ、先生は。」



「……それは正しいか正しくないかはわからないが、そういう演出として女の子を家に招いた時に、そういう演出をしているという部分で音楽を利用していたわけね。実際、一説には音楽を聴いて感動する時に働く脳の部位と、セックスによって快楽を感じる時に働く脳の部位が同じ部分という……そういう研究結果もある。でも、音楽には人を性的に興奮させる作用があるとも言われている。例えば、(踊る方の)クラブで女性が開放的な気分になったりするのは、低音が女性の子宮を刺激することで気分が開放的になるんじゃないかっていう話もある。だから、女性がクラブミュージックが好きだっていうのはそういうところもあるみたい。」

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今回は実際に音楽でエロっていうものを表現しているものをいくつか聴きながらお話ししていこうかなと思います。まずね、実はとんでもなくいやらしいことを歌っている洋楽……ふふふ(笑)。英語だと、歌詞は英語をわかる人はわかると思うけど、知らず知らずのうちに僕らにインストールされているどエロい音楽があると。特報班から情報が入ってきたから(笑)。それを聴いてみようと思う。」

「例えば、昨年日本でもさまざまなストリーミングチャートで洋楽チャート年間1位をとったこの曲。聴いたことがある人も多いと思う。Ed Sheeran「Shape Of You」という曲ですね。」

■Ed Sheeran - Shape of You [Official Video]



「グルーヴとしては気持ちいいし、言葉のリズムもいいし歌い方もメロウだよね。これは洋楽に詳しくない人も聴いたことがあるんじゃないかな。こんなお洒落な……ポンポコポンポン、ポンポン……っていっている曲の歌詞!要約すると、"バーでショットを飲んで、君はそんなに軽い女の子じゃないかもしれないけど、こっちにおいでよ。僕が体を触ったりするのは変かもしれないけど、腰に手を当ててついておいでよ。"……ポンポコ、ポンポンみたいな曲ですよ(笑)。こんな歌なんだなー。でも、そんなにエロくはないけど、露骨だよね。日本人の歌でもギリギリこれくらいのものはあるかもしれないけど、日本だとやっぱり露骨な歌詞だとちょっと嫌悪感があるよね。でも、海外だと結構そういうのはある。」

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「続いて紹介するのは、ブルゾンちえみさんの35億のネタで有名になった曲。なので、聴いたことがあると思う。Austin Mahone「Dirty Work」。」

■Austin Mahone - Dirty Work (Official Video)



「(サウンドは)ちょっと90年代の感じ、音はバッチリだね(笑)。"Dirty Work"っていうのは、"残業""汚れ仕事"っていう意味で訳されるんだけど、この"Dirty"っていうのはダブルミーニングで、"いかがわしい"っていう意味もある。だから、"いかがわしい仕事"とすると、これが何を指すのか。歌詞の中で、「君のために毎日残業しているよ」というのを見ると、よく働くパパのイメージなんだけど、「君を喜ばせるために毎日いかがわしいことしてるよ」という風に捉えることもできる、と。多分、両方の意味を込めて歌うんだけど、このサウンド的な要素……90年代のダークでミニマルな感じ。」

(曲のフレーズに合わせて)
「ドゥンドゥン、ドゥドゥン、ドゥドゥン、"Dirty"
「ドゥンドゥン、ドゥドゥン、ドゥ、"いかがわしい" (笑)」

「ちょっといかがわしい要素もサウンドの中にあるんじゃないかっていうね。ダブルミーニングとはある種……隠喩しているってことやな。」

「歌詞の中にエロスを匂わせるっていうことは日本人もやる。桑田佳祐さんとかは露骨に「マンピーのG★SPOT」とかやったりしますけど……ある種、それはコミカルな要素として使うっていうことがあって、露骨にエロさをストレートに作るのは……ジャニーズの曲とかではたまにあるかな。そういう匂いがちらっとするものは、たまにある。だって、Sexy Zoneってユニット名とか、Kis-My-Ft2ですよ。そういう匂いがユニット名からあるわけだから。」

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「続いて、MVを含めて直接的にエロい曲を聴いてみましょう。去年グラミー賞を総なめにしたBruno Mars。2012年にどエロい曲をリリースしていました。「Gorilla」という曲です。」

■Bruno Mars - Gorilla (Official Video)



「MVはストリップ小屋でポールダンスをしている女性がいて、官能的な映像が入ってきて……もう下着になっちゃったよ。後半ではその女性がBruno Marsと車の中で、………ですよ(笑)。歌詞も簡単に言うと、"ゴリラみたいに激しく愛し合おう"ということを歌っていると。他にも、歌詞の中にドラックとかも出てくるので、この歌詞を日本人が歌ってMVを作ったとすると日本でヒットするかと言われたらヒットしないだろうなと。ある意味、炎上するかもしれないね。知名度がある人だと余計に炎上してしまうんじゃないかと。日本の曲の中にあるエロスっていうのはこういう直接的なものではないかなと思うけどね。」

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じゃあ日本の曲の中にも何かエロスを感じるものがないかというと、有名な曲にありました。これは先生も知ってるよ。忌野清志郎さんがボーカルを務めていたRCサクセションというバンド。1980年にリリースした「雨上がりの夜空に」という曲。知っている人も多いと思います。いろんな人がカバーしているすごく有名な曲です。」




「これは一見、自分の車の調子が悪いことを歌っているように聞こえるんだが……例えば、"雨にやられてエンジンいかれちまった 俺らのポンコツとうとうつぶれちまった"とか、"バッテリーはビンビンだぜ""こんな夜に おまえに乗れないなんて""こんな夜に 発車できないなんて"……これを、車じゃなくて恋人とのセックスに置き換えると全く違った曲に聞こえますよね、っていう話。それを歌っていないんだけど例えている。違うものに置き換えているんじゃないか……っていう話もある。真相は、当時RCサクセションがセールス的に伸び悩んでいた時期で、CHABO(仲井戸麗市)さんっていうメンバーの方と、これからもっと行こうぜ、ぶっとばして行こうぜっていう意味を込めてつくられた歌だったんですよ。だけど、捉える側の気持ちによって、そういう風に捉えることもできる曲だと。極めて日本的ですよね。あと、ロック的であると。そういう気持ちを隠し持っているというか。僕はこれは素晴らしい日本の音楽だと思いますね。

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「ということで、いくつか楽曲を紹介してきたんですが、今回は歌詞の内容を中心に紹介してきました。エロスっていうのは音楽の題材にしやすいかっていうと……先ほどの話じゃないが、君たちが社会人になって、初めての一人暮らしをしている人もたくさんいると思う。同じ会社の社員といい感じになって、「うちに遊びに来る?」って女の子を呼んだり、彼女が「うちに遊びに来ない?」って呼んだ時、無音は耐えられないじゃない。ちょっと空気を作ろうと思ったら、音楽流すじゃない。その時「どんな曲を流す?」って話になるじゃない。その先に進みたかったらこういう曲かなとか、とりあえず第一段階、突破するためならこの曲かなとか……わからないが、先生はそういう卑猥なことは。いろいろ考える上での音楽っていう手法はあると思うんだな。だから、そういう需要はある。その需要に合わせて音楽はつくられているということもありますな。先生がエロスをテーマに曲を作るとしたら、もう少し現代詞的な感じになっちゃう気がするし、新しいアルバムにもそういう……エロじゃないけど、隠れテーマを持った曲があるの。だから、いろんなものをテーマにしてみようと思う。」

先生が音楽で表現できない、絶対無理だなって思う感情は、"恐怖"。目で見えて感じる恐怖に音だけで勝つことは難しいね。しかも、それをエンターテイメントにするのは難しい。怖いっていう感情よりは、エロいとか官能的っていう方が多分作りやすいんじゃないかと思う。きっとみんなそういうことを歌にしていると思うけどね。だから皆さんが普段聴いている曲の中にもこういうのがあったんだよっていうことと、普段音楽を聴く時、好きな人が家に来る時にどんな音楽をかけますかっていうところのお話でした。」

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「今回の講義のエンディングテーマは、1975年にリリースされたディスコ・ミュージック、Donna Summer「Love To Love You Baby」という曲です。これはダンス・ミュージック界では超有名な曲なんですけど、聴いていただくとわかるんですが、女性の喘ぎ声がどんどん大きくなっていくんですよ。喘ぎ声が曲の中に入っているものは多い。特にダンス・ミュージックでは多いんですよ。だから、ダンス・ミュージックというものの機能性として、そういった要素が強いと考えられているところもあるのかなと思うね。別に僕はこれをいやらしいとは思わないけど……(曲に耳を傾けると喘ぎ声が聞こえる)……いや、いやらしいね!(笑) いやらしいわ!いやらしいけど、こう……煽るっていう気持ちはあるんじゃないかと思う。歌詞もここで言うのは恥ずかしいくらいだから、調べてみたらいいと思う。でも、音楽っていろんな使われ方をするので、こういったものもあるというのをサカナLOCKS!の生徒にも知ってもらいたいと思いました。」

「ちょっとね……UNIVERSITYのサカナLOCKS! は、アカデミックなことをやっていくので、こういった過激なものもあるけど、親と聴くのが恥ずかしかったら、ヘッドホンで聴いちゃお!ふふふ(笑)。」

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