「"6.1ch サラウンドLIVE"とは?」

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山口「はい、講義を始めますから席についてください。Twitterを開いている人はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている人はInstagramを閉じなさい。YouTubeを見ている人はYouTubeを閉じなさい。講義が始まりますよ。」

気になる記事を見つけたので今日も発表したいと思います。」

■ 芸能事務所で相次ぐ労基違反 業界の体質と脱法の構図

NPO法人の方の記事なんですけど。"先日、大手芸能事務所に対する労働基準監督署の是正勧告が報道された。いずれもエンターテインメント業界を代表する事務所ばかりだ。"と。つまり、働かせ過ぎだと。普通のサラリーマンだと考えられないほど働いているから、ちょっと気をつけろよと。働いている人からもクレームというかブラックだって声が上がり始めていて、間違っているんじゃないの?っていう意見ですね。僕は音楽側のマネジメントのことしかわからないから、その話しかできないんだけど。……(サカナクションのスタッフの方を向いて)正直、休みないよね?業界の体質っていうよりかは、普通のサラリーマンみたいな業務じゃないっていうことも理解しなきゃいけないかなって思うし、双方に愛がないといけない仕事なのかなっていうところで、今回のこの問題はすごい難しいことだなと思う。」

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「じゃあ、サカナLOCKS! 掲示板の書き込みを1つ紹介します。」


忘れられないの
今回使われなかった149の歌詞はいつか他の歌に生まれ変わりませんか⁇
聴いてみたいな

タマミ
女性/20歳/岐阜県


SoftBankのCM、「速度制限マン」篇が意外とバズっているそうで。(♪「忘れられないの」が流れてきて)……これね。プランナーは電通澤本嘉光さん。映像監督は田中裕介監督で、サカナクションが主題歌を担当した曲なんですけど。これは6月19日にリリースになるサカナクションのニューアルバム『834.194』の中にも収録されます。この曲を書く上で、歌詞を179パターン書いたのよ。CMの部分だけでも150パターンくらい書いたわけね。僕はそういう風にしか書けない人だから、1曲1曲に何パターンもあるわけ。それを他の曲に引用することは、まずないね。完成したものは……もちろん、自分の頭の中にいいリズムとか響きが残っていて、次書くときに思わずそれが出てきたりすることはあるけど、見直して使うとか、そのまま使うとかは絶対にないと思います。僕は、書いて出しちゃうと、その瞬間に古くなっていっちゃうんですよ。だからもう嫌いになっていっちゃうから、書いてそのまま出したい人なんですね。だから引用や他に使うっていうことはあまりしない。だからこの曲の150パターンのデータは消去しますね、多分。」

「それでは本日の講義内容を黒板に書く。」

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「現在、サカナクションは全国ツアー『SAKANAQUARIUM2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session』の真っ最中。300発を超えるスピーカーに囲まれた状態でお届けする今回のライブ。そのサラウンドの効果について講義を行う。これは、6.1chという非常にスピーカーをたくさん使ったツアーで全国を回っております。ただし、今回のライブは、圧倒的に立体音響の中で行われるライブであると。過去にサカナクションはそういったライブをやってきたんだが、アリーナツアーの全公演……つまり、東京と大阪だけじゃなく、地方でも全部。全部のライブをサラウンドでやるっていうのは初なんですね。「サカナクションは、サラウンド、サラウンドってよく言っているけどなんなんだ、わからない!」ということで、今日はラジオを使って2チャンネル(LとRのステレオ)でいろいろと説明していきたいと思う。ラジオは2チャンネルだぞ。」

「みんな、頭の中にイメージしてください。まず、ライブというのは前方にステージがあるよね。その右側と左側にスピーカーが置かれているの、分かる?黒いボッコーンとしたやつが天井に吊るしてある場合もあるし、ステージの上に乗っている場合もあるんだが、それがスピーカーね。これはヘッドホンやイヤホンのLとRと同じように、LとRでスピーカーが置かれているわけですね。これをステレオという。みんなが聴いているFMラジオ……これもステレオね。電話はモノラル。」

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ここからはオンエア上での、ステレオ=LとRを利用した音の実験です。

「まず例えば、ステレオ(LとR)の状態で、ライブ会場の真ん中で音楽を聴くとこんな感じになりますよ。」

<音> 【会場の真ん中でライブを聞いた音像】

*左右の音の定位、楽器・ボーカルなどの音量バランスが良い。

「これは、(音の位置が)センターだよね。右と左がバランス良く保たれている。これが、スピーカーの左側で同じ体験をするとこんな感じになる。」

<音> 【会場の左側でライブを聞いた場合】

*ギターの音が大きい。
ボーカルの音が小さく聞こえる?

「ギターの音がでけーな!(笑) これはなんでかというと、ギター側にあるスピーカーに近いから、そこから出ている音がでかくなるわけ。つまり左側だね。ヘッドホンで例えると、左の方が音が大きく聞こえるってこと。左側にギターの音があるから、ギターの音が大きく聞こえるね。」

「次は、ステージから一番遠い席でライブを体験するとどうなるのか?」

<音> 【ステージから1番遠い席でライブを聞いた場合】

*会場の反響音が大きい。

「ちょっと濁るな。残響音があるね。音っていうのは空気を伝わってくるから、遠いといろんなものにぶつかって滲む。ぼやけて聞こえるし、遠くに飛んで行って抜けちゃっている音もあるね。フェスとかの後ろの方で聴くともっとぼやけていると思うけど、よくわかるよね。」

「サラウンドライブっていうのは、皆さんがいる会場全体を、約300発のスピーカーで囲んでライブを体験するっていうのがサラウンドライブなのよ。なんでそんなことをするかっていうと、左側にいる人も右側にいる人も一番後ろにいる人も同じお金を払っているのに、場所によって違う聞こえ方ってちょっともったいないじゃない。それに、右と左だけで音楽を作りたいと思っても、もっと左の上の方から音を鳴らしたいとか、この音は後ろを通って前にきたいとか、表現したいことがありあまっているけど、LとRしかないと出来ないっていうことがサカナクションは続いたんですよ。だからサラウンドでスピーカーを囲んで、音を回したり、表現する手法を増やそうっていうこともあって、サラウンドっていうのをやってみたのね。」

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「じゃあ、サラウンドだとどんな風に聞こえるのか。ライブに来た学生たちの感想書き込みを紹介していきたいと思う。


SAKANAQUARIUM2019
サカナクション先生2日間のライブお疲れ様でした!
私は初日にプラチナムエリアで6.1chサラウンドシステムを初めて体験しました。音が波のように迫ってきて、それにのって会場がゆらゆら揺れているような感じがしました。映像、光、音、パフォーマンス、すべてに包まれてそのまま吸い込まれてしまいそうでした。こんな感覚初めてです!チームサカナクションの皆さん、素敵な時間を創っていただきありがとうございました!
今年は受験生なので、夏のイベントには行けませんが、次は友人も誘って行きます!

新聞同好会長
女性/18歳/山梨県


「そうなのよ。前からしか音がこないことに慣れていると、サラウンドだと横からバシーンとくるのよ。だから、前、横、後ろっていう音に包まれるっていうことが新鮮になるわけだな。音が波のようにゆらゆら揺れるわ、光がバシバシくるわ、真っ暗にもなるわ……なんかよくわからないな……初体験だな……っていう(笑)。」


6.1チャンネルサラウンドツアー
ライブお疲れ様でした!
幕張メッセでのライブに参加してきました。
今回6.1チャンネルサラウンドを初めて体験してきました。
音に包まれてるだけじゃなく、音が身体中に響いて来て、服が音圧で押されてました!笑
音が移動しているのも感じられて、臨場感がすごくありました。
映像がきれいで、音楽をより盛り上げるものになっていて、すごく楽しめました!
新曲も何曲か披露されて、どれも良い曲だなと思いました。
アルバムの発売日、6月19日が待ち遠しいです!!!!

フルノリ
男性/29歳/東京都


「そう。やっぱりいい音っていうのは、一度体験するとそうじゃない音に気づくんですよ。でもそれは一回体験しないとそう思わないわけじゃないですか。だから、僕らは敢えてこれをスタンダードにしようと思って。(チケットは)ソールドアウトしたけど赤字なんですが、トライしたということでね。」


834.194 6.1chサラウンド
初日参戦しました!
凄く楽しみであれこれ想像して参戦しましたが、僕の想像の遥か上空を行くすんごいライブでした!
今回は前から2列目で今までで一番前で見れたんですが、「.1」スピーカーの多さにまず驚いたし、知ってる曲の中に知らない音があらゆる方向から鳴ったり(意味不明でスミマセン)、映像も光も演出も凄すぎて、汗と涙と鼻水と興奮でぐしゃぐしゃになって燃えまくりました。
前のほうだったので臨場感とかは凄かったんですが、演出全体を見るのに何度も後ろを振り返ってしまうほど、会場全体が見たいところでいっぱいでした。本当に本当に楽しかったです。
ありがとうございました。

てるっぽ
男性/15歳/東京都


「こんな感想が寄せられていますが、これはライブに来ていただいて体験してもらうのが本当に何よりなんです。皆さんの周りを300発以上のスピーカーが囲んでいるということで、他で例えると何なのかな……そうだな……朝起きてシャワー浴びようと思って、蛇口をひねったら壁中からシャワー出る!みたいな(笑)。「おっとととと!」みたいな。洗車みたいな感じだね(笑)。ここから出るだろうと思っていた所以外のところからも出るっていう。だから良い違和感というか、びっくりもあるんですよ。でもそれは良いびっくりで良い違和感であると思うんだが。」

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ここで再び、オンエア上で音の実験をしてみます。

「このラジオは2チャンネルだからサラウンドっていうのを表現するにはバイノーラルマイクとかそういったものが必要になってくるんだが、どういう感じかっていうのを(LとR=2チャンネル)ラジオでやってみるぞ!」

「例えば……」

「(右側から) はい!右側の山口一郎です!山口右郎です。」

「(左側から) はい!左側の山口一郎です!山口左郎です。」

「(後ろから) はい!後ろの山口一郎です!山口後郎です。」

「(前から) はい!前の山口一郎です!山口前郎です。」

「これが、それぞれのスピーカーから流れていて、これがいっぺんに流れるとこうなります。」

「(前後左右、4方位からすべての声が同時に聞こえる)!!!」


「この真ん中でライブを体験している状態です。……分かったかな? いろいろ難しい所もあるんだけど。バイノーラルっていうものを使ったらもうちょっとわかりやすいんだけど、バイノーラルはヘッドホンやイヤホンをしないと体験できないものだから、ラジオでやるのは難しいんですよ。」

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サラウンドっていうのはライブに来てみないとわからないので、是非遊びに来てもらいたいと思います。ラジオでは限界があるので……来たら分かる!今回のライブですが、会場をスピーカーで囲んでいる中で音の聞こえ方が場所によって違うので、チケットは、"プラチナム""スペシャル""レギュラー""スタンド"という風に値段を変えて販売しています。この中でも音の聞こえ方は変わってきます。スタンド席っていうのは端っこだから、「音が回っているのを俯瞰で感じる」感じ。外から音を回っているのを見るっていう感じになるかな。真ん中にいる人は、「音が右行ったり後ろに行ったり前に行ったり」するよね。後ろの方は、「音がものすごく向こうに行ってこっちに戻ってくる」というか。バランスが違うっていう。だけど、どの席も絶対にいい音であるのは間違いない。だってスピーカーの数が違うんだもの。」

「チケットの値段を変えること自体珍しいし、これをやったときには、一時期いろいろ言われたの、お金ない人はプラチナムを取れないじゃないですかって。でも、頑張って続けるから、大人になってお金を稼ぐようになったらプラチナムで来て!っていう……これはね、全員分均等にするのは無理だわ、お金的に。レギュラーで7000円でも、絶対に安いから。もう、ギリギリ赤字になるようにやってるから(笑)。しかもね、グッズが売れないんですよ。グッズが売れないと回収できないし、それくらいやばいくらい赤字だから、是非、グッズも買っていただきたい。ネットでもグッズは買えるので、お願いいたします。」

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今回の講義も終了の時間になりました。

『SAKANAQUARIUM2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session』未来のコンサートとはこういうことだと、みんなに1回でいいから良い音を体験してほしいと思って赤字覚悟でやっているコンサートです。体験しに来てください!この後も続きます。」

「サカナLOCKS!は木曜日に比べるとちょっと長くなったのかな?だからいろんな話もできるけど、新しいコーナーも大人向けなのがいっぱい始まるよ。前回のエロい音楽っていうのもあったし。いろいろアダルティなのからアカデミックなものもやっていくので、楽しみにしていただけたらと思います。」

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