「音楽にまつわる職業『プロモーター』(第6回) - リモートプロモーション」<後編>


SCHOOL OF LOCK!



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聴取期限 2020年6月5日(金)PM 11:27 まで




山口「あの、緊急事態宣言が解除されましたね。」

職員(カヲル先生)「されましたね。」

山口「基金のこともようやく働きかけが実り、来月の頭とかには実現できそうなんですね。」

職員「これは、政府うんぬんとかじゃなくて、音楽業界がやっているやつ?」

山口「そう。僕は、基金を一本化したほうがいいって話をしていて、それを業界団体が調整してくれてようやく実現できるようになって。それに伴いどんなことをやっていこうかっていう話し合いをしているんですけど……それが達成したっていう安堵感がありつつも、そこを達成したからには今度それにお金をどう集めようかとか……冷静になってきたというか。で、この間Instagram LiveでNFのロゴを開放するっていう話をしたんですよ。NFっていうサカナクションのファンクラブの名前であり、イベントとかもやってグッズも作ったりしていたんですけど。そのNFを、今後使うのをやめて新しいものを立ち上げよう、っていうことを言っていて。自分たちでハンドリングできる金額というか、責任も含めて自分たちで取れるような新しいマーチャンダイジングの組織を作ってリスクを自分たちで背負えるっていうところで。それを立ち上げようと思って、NFのロゴを開放して物を作る人はそれで勝手に作って販売したお金でライブに来たりすればいいよねって。僕らはそのプラットフォームだけ作ってやれたらいいなって話をしたんですよ。そしたら、NFのロゴの権利は僕たちだけが帰属していると思っていたら、(所属事務所の)HIP LANDにも(所属レコード会社の)ビクターにもあって……お前何勝手なこと言ってんだよって感じですげー怒られて(笑)。」

職員「怒られたのね(笑)。」

山口「この非常事態宣言の時って頭フル回転で、音楽業界に対して自分ができること、仲間に対してできること、リスナーに対してできること、作曲するためには、って周りを振り回しながらやってきたんですよ。非常事態宣言が解除されて、自分がこの1ヶ月半の間にやってきたことを振り返っていたらめちゃくちゃ不安になっちゃって(苦笑)。ものすごい量のことを、これから日常を取り戻しながらやっていかないといけないなって。自分は少年のように、思いついたことをバンバン発信して、もちろん、それでうまくいったことや成功したこともあったんですけど、やっぱり周りに迷惑かけたらだめだなって。だからここでちょっと落ち着いて整理整頓しないと。今まで言ってきたことでやれることと次にやっていく目標とかを、チーム全体で山口一郎の暴走した結果を綺麗にマスタリングしようっていう(笑)。」

職員「すごい量だと思うよ、多分。」

山口「そうなんですよ。なので、一旦みんなと情報共有して、しっかり謝罪して、テンション戻りましたよっていうのをみんなに伝えながら……サカナLOCKS!の生徒たちにも、いつもの一郎は非常事態宣言が解除されたことによって帰ってきますっていうのを(笑)。」

職員「一郎くんはもう解除されたということでいいでしょうか?(笑)」

山口「そう(笑)。ちゃんとリミッターがかかるようになりました。自分からも、大人からもね(笑)……という報告をします。」


という一郎先生の近況から、今夜も授業スタート。先々週に引き続き、音楽にまつわる職業を紹介していくシリーズ、「プロモーター」の授業、6回目です。


山口「それでは、授業を始めますので席についてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いている生徒はサカナLOCKS!のインスタアカウントをフォローしてください。写真もなかなか撮れていないので、早く戻ってきたいですね。それでは、授業が始まりますよ。本日のサカナLOCKS!も引き続きリモート授業をお届けしていきます。今回は、前回の授業に引き続き「プロモーション」の授業をお届けしたいと思います。」

山口「各レコード会社のプロモーターは、現在在宅勤務になっていたりと、なかなかいつものようにCDをプロモーションすることができていません。そんな中でプロモーターたちがどのようにプロモーションするのか……これを、私の生まれ故郷である小樽にあるエフエム小樽の山口ディレクターとなってね……FMおたるは実在するんですけど(笑)。勝手に使わせていただいています。そして、在宅勤務中のレコード会社のプロモーターからプロモーションを受けたいと思います。」

前回の授業はコチラ → [ 2020年5月15日の授業 ]

ということで、在宅でリモートワークしている山口一郎先生、改め、山口ディレクターのところに、レコード会社の方がリモートでプロモーションにやってきます。

山口「さあ、プロモーターは今日も来てくれるかなー……こういう時にプロモーターが来てくれると非常にありがたいんだけどな。小樽というこの街にあるローカルラジオ局にはやはりプロモーターはオンラインといえども来てくれないかな……うーん……」

??「あ、すみません……山口さん、ちょっとお時間よろしいでしょうか?」

山口「あ!来てくれた!もちろんです。来てくれてありがとうございます。」

鈴木「初めまして、ワーナーミュージックの鈴木と申します。」

山口「ワーナーの鈴木さん、よろしくお願いします。」

鈴木「よろしくお願いします。」


鈴木「今回、ザ・コインロッカーズという新人のガールズバンドのプロモーションをさせていただきたいんです。」

山口「これは女性バンドなんですか?」

鈴木「はい。女性バンドで、ちょっと簡単に説明させていただきますと、秋元康さんがプロデュースをしているガールズバンドプロジェクトでして。」

山口「おー!」

鈴木「楽器未経験のことか、バンド未経験の子もいるんですけど、オーディションで最初40名ほど選ばれまして、そこからライブ武者修行といって、ずっとライブを週末に行って、150公演くらいやってきたんですけど。去年の6月にデビューをして、そこからやってきて40名だった体制が今年からメンバーを一掃して13名になりまして。新体制でいこうということで。で、5月27日に新体制になって初めてのシングルをリリースしたという感じでございます。」

山口「40人だったのが13人になって……今、メンバーは13人いるガールズロックバンドなんですか?」

鈴木「ロックに限らずなんですけど……バンドなので、今回でいうと、ドラムが3名いたり……」

山口「え!3人でドラムを叩くってこと?」

鈴木「はい。叩いたりとか……」

山口「(笑)」

鈴木「ふふふ(笑) なんで笑ってるんですか?(笑) その……すごく不思議な体制で。」

山口「うん、不思議ふしぎ。」

鈴木「キーボードも2人いたり……ギターは4名おります。」

山口「ギター4人いる!?」

鈴木「で、ベースは1人です。」

山口「そこは1人!(笑)」

鈴木「で、ボーカル2人という……すごい面白い体制なんですよ。」

山口「なるほど。ここまでのプロモーションを受けて、僕がどう受け取ったかというと、"秋元康さんがやっているから、めちゃくちゃ良いからかけてくれ"っていう……秋元康パワーを感じたんですけども(笑)。」

鈴木「(笑)」

山口「もう少し何か……僕はやっぱり、権力には屈したくないんですよ。どちらかというと。」

鈴木「そんなつもりはないですよ(笑)。」

山口「このエフエム小樽はね、やはりエフエム小樽の番組を楽しみにしてくれている10代の人たちに聴いてもらいたいか、聴いてもらいたくないかっていう判断でね。もう少し楽曲や本人たちのストーリーに寄り添った上で判断できたらなと思うんですけど、何かエピソードとかね、そういうのがもうちょっとあると心が揺れるかなと……」

鈴木「そしたらですね……」


鈴木「メンバーが1人STAY HOMEでいろいろとプロモーションさせていただければと思いますので、ちょっと繋がせていただいてよろしいでしょうか?」
山口「はははは!(爆笑) え!?マジで?」

鈴木「はい。本人から直々にプロモーションを……」

山口「え!ちょっと待ってください。今のこの会話を聞いていたってこと?」

鈴木「ふふふ(笑)」

(オンラインプロモーションを受けている一郎ディレクターのPC画面上に、メンバーが登場!)


SCHOOL OF LOCK!


山口「わー!!(笑)」

船井「……すみません、失礼します!今ご紹介いただきました、ザ・コインロッカーズ、13名でガールズバンドをさせていただいています。ボーカルの船井美玖です!よろしくお願いします。」

山口「よろしくお願いいたします。初めまして、わざわざありがとうございます。」

船井「いえいえ、こちらこそありがとうございます。」

山口「ザ・コインロッカーズっていうバンドは今2年目なんですか?」

船井「そうですね、2年目になります。」

山口「オーディションから始まったとお聞きしたんですけど、自ら応募して今活動されているわけですよね?」

船井「はい、そうです。」

山口「ミュージシャンになりたかったんですか?」

船井「はい。私はボーカルをさせていただいているんですけど、私は歌うのが好きっていうだけで応募させていただきました。」

山口「ほー。応募する段階からこのザ・コインロッカーズっていうプロジェクトだっていうことは分かっていて応募したんですか?」

船井「いえ、全然知らなかったです。オーディションをして受かった次の日に、Zepp Tokyoでお披露目があったんですけど、その時に42人いてびっくりしました。最終審査かと思いました。」

山口「あ、ここからさらに絞られるんじゃないかって思うくらいだったんですね。その時ボーカルは何人いらっしゃったんですか?」

船井「ボーカルが……ざっくり20名くらいはいたと思います。」

山口「えー……!!その中の1人だったわけですよね?」

船井「そうですね。活動していく中では、シングルと、カップリングに参加させていただいているボーカルは5人だったんですけど、歌える子はいっぱいいたので、誰がボーカルになるかっていうのは分からなかった感じです。」

山口「楽曲は秋元康さんが作っていらっしゃるということで、実際に秋元さんが作られた楽曲をお歌いになったり、ライブで披露されたりするわけじゃないですか。僕ら世代の人間……日本国民全員だと思うんですけど、秋元康さんっていう存在はこの業界の中では非常に大きい存在ですし、やられてきた歴史も素晴らしいものじゃないですか。自分がその秋元康さんが作られた音楽を披露したり歌ったりするっていうことはどういう気持ちなんですか?」

船井「私は、秋元康さんの手がけられたグループのずっとファンだったので、歌詞をすごく理解して歌おうっていう風に心がけていて。ザ・コインロッカーズにこの歌詞が回ってきた理由とか、深いところまで追求して歌うように心がけています。」

山口「掘り下げているんですね。自分たちになぜこの歌詞を書いてくれたのかっていうところとか。」

船井「そうです。」

山口「ザ・コインロッカーズはバンドなんですか、それともアイドルなんですか。」

船井「そこは、私たち自身バンドで話し合った結果としては、バンドでありアイドルであるので、どちらも共存できるような、等身大の女の子や男の子、幅広い世代の方に憧れられる存在になりたいなという意味で、ガールズバンドアイドルというコンセプトでやっています。」

山口「なるほどね……ガールズバンドアイドル……」

船井「もう、いいとこどりで!」

山口「(笑)」


山口「ちなみに、好きなバンドっていますか?」

船井「私は、個人的にきのこ帝国さんが好きです。」

山口「はー!そっち!それはすごくぐっときますね。」

船井「本当ですか?」

山口「きのこ帝国さんも、ボーカルの方が女性で、結構オルタナティブで、見た目とは違う世界観を醸し出している良い違和感のあるミュージシャンじゃないですか。ガールズバンドアイドルであるザ・コインロッカーズも、ある種そういう違和感みたいなものを良い違和感として提供していきたいっていう志があるっていうことがなんとなく……きのこ帝国の一言で受け取れました。ライブにはよく行かれたりするんですか?」

船井「そうですね。結構頻繁に行かせていただいています。」

山口「目標はどこ?例えば、僕らバンドからすると、目標は武道館とか東京ドームとかあるんだけど……」

船井「はい。今、おっしゃられた日本武道館っていう場所を……私たちが再編成で大幅リニューアルということで、13人になった時に、目標を2年後に日本武道館という風に掲げました。日本武道館を目標に頑張っています。」

山口「いやー……お話を聞いて興味が湧いてきました。レコーディングはどうなんですか。実際に演奏しているんですか?」

船井「はい、しています。もちろんです。」

山口「おー。それはバンドですね。」

船井「バンドです!」

山口「なるほど……じゃあ、うちのラジオ局でもしよろしければオンエアさせていただきたいと思います。」

船井「ありがとうございます!!」

山口「ここまで来ていただいて、オンエアしないわけにはいかない空気が(笑)。」

鈴木「ありがとうございます!」

山口「これはもう、本当に……ワーナーの鈴木さんに1本とられたということでね。」


ということで、ザ・コインロッカーズの「僕はしあわせなのか?」をオンエアしました。
ザ・コインロッカーズの「僕はしあわせなのか?」はコチラ





山口「これはずるいね、ずるい!」

船井「えー!」

山口「ずるいっていうのは良い意味で。僕、個人的な意見なんですけどアイドルを好きっていうことって抵抗がある人と抵抗がない人って分かれると思うんです。その中で、ザ・コインロッカーズってガールズバンドアイドルって立ち位置だから、アイドルが好きっていうことに抵抗がある人も好きって言える。楽曲も、これはずるいって言った理由のひとつなんですけど……よくできてる。正直、13人が演奏しているっていう風には聞こえないけど(笑)。ライブを観たらどう思うのかってところですけど、よく編曲できている感じがしますね。」

船井「ありがとうございます。」

山口「いやー、わざわざ来ていただいてありがとうございます。」

船井「いえいえ、ありがとうございます!」

山口「なんかオンライン会議の画面に出てくる人数が多いなって思ったら、こういうことだったんですね(笑)。」

鈴木「ははは(笑) 異様に多いですよね。」

山口「多過ぎますよ!しかも、鈴木さんがずっとちょっとニヤニヤしてるから、何かあるのかなって思ったら、こういう切り札を持っていたんですね。」

鈴木「持ってました(笑)。」



■リリース情報■
[ ザ・コインロッカーズ ]
New Single「僕はしあわせなのか?」2020.5.27 ON SALE


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今回の授業も終了の時間になりました。

山口「今回はちょっとずるいよね、かけないっていう選択肢はないじゃない。ただ、ディレクター業としては、こういう戦略を日々受けているんだと思う。ある種、プロモーターの戦略だし、なんかテレワークだと得しちゃった感があるじゃない。それはね……あのね……かけちゃうよね。しょうがないんだ、それは。そういう手法も、テレワークプロモーションの技として歴史に残っていくんじゃないかと思います。でも、これでオンライン時代のプロモーションテクニックっていうのをサカナLOCKS!で発見できたというのはよかったのではないでしょうか。」


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