『SAKANATRIBE』に来たい12才の生徒の親御さんへの説得逆電

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山口「はい、授業を始めますから、席に着いて下さい。マンガを読んでいる生徒は、マンガをしまいなさい。Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いている生徒は、Instagramを閉じなさい。授業が始まりますよ。先生ね、何かスポーツを始めようかと思っているんですよ。……釣り?(笑) 釣りはスポーツじゃないなー。テニスも先生やっていたので、テニスを始めようかなーとも思うんだけどねー。ライブで「行くぞー!」って右手を挙げすぎて、右肩が常に痛いっていうね(笑)。フェス肩?何て言うの?テニス肘ならぬ、フェス肩(笑)。大変なのでテニスは無理かなって思ってるんですけど。……黒板書きますよ。」

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『SAKANATRIBE』Official Site[⇒コチラ]

「7月17日(日) 23時より、北海道のいわみざわ公園で、サカナクションが主催する野外オールナイトイベント『SAKANATRIBE』が開催されます。このイベント、先生、下見に行って来たんですけど、会場はリフトに乗って上まで行くんですね。雪が無い山のリフトに乗るなんてなかなかないじゃないですか。ステージも2つ用意する事になっていますし、飲み物を飲んだり温かいものを食べたりするようなラウンジが展望台にあって、そこまで吊り橋を渡っていくんですよ。地元の大学生が会場を光で飾るっていうことをやったりして。みんなで一緒に朝日を迎えようってことをやって、普通のフェスとは違うんですけど、楽しい音楽イベントになるんじゃないかなと思っています。できれば、この授業を聴いている10代のみんなにも参加して欲しいと先生は思っています。そんな中、こんな書き込みがありました。」



悲しいです(>_<)
まだ中学生なので、付き添いが必要なので、親に付き添ってもらおうと思ったら、何回も断られました。SAKANATRIBE、行きたかったな。
遠距離通学
女/12/北海道




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「12才ってことは、中学1年生?中1でSAKANATRIBEに来ようと思うなんてすごいですね。SAKANATRIBEは、0才から中学3年生までは、なんと入場無料です!ただし、保護者同伴が必須となっております。必ず親御さんと来なければいけない!……なるほど。じゃあ、先生が直接電話して遠距離通学のお母さんを説得してみようという、最も説得が苦手なロックバンドミュージシャンとして知られる山口一郎ですけど(笑)。」

ということで、まずは遠距離通学、本人に電話します。

山口「もしもーし。こんばんは、サカナクションの山口一郎です。」

遠距離通学「もしもし。こんばんは。北海道、12才、遠距離通学です。」

山口「SAKANATRIBEに行きたいと思ってくれていたんだ。どうして?楽しそう?」

遠距離通学「いろんな広告とかを見て、すごい興味を持ったし、楽しそうだなって。『NF』も北海道にきていないので。」

山口「そうなんだよねー。NFも北海道でやろうと思って動いていたんだけど、間に合わなかったんだよね。ごめんね。音楽に興味があるんだね?」

遠距離通学「はい。」

山口「普段、ライブに行ったりするの?」

遠距離通学「いや、まだ行ったことがないんです。この間、サカナクションのライブに応募したんですけど外れちゃったんです。」

山口「えっと、ニトリ(文化ホール)?」

遠距離通学「そうです。」

山口「残念だったね……ごめんね。でも、ライブに行ったことがないのに『SAKANATRIBE』に来たいって思うんだ?すごいね、かっこいいね。」

遠距離通学「ふふふ。」

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山口「住んでいるのは札幌なの?」

遠距離通学「そうです、札幌です。」

山口「札幌から岩見沢(SAKANATRIBEの会場)に来るってなると、結構時間がかかっちゃうのか。一人で行こうとしていたの?誰か友達とかは?」

遠距離通学「私のサカナクション好きで繋がっている友達がいて、その子のお姉ちゃんが大人なので、「一緒に行くんだ。今、交渉してるんだ。」って話を聞いて、いいなーって。」

山口「そっかー。遠距離通学のお母さんは何て言っているの?」

遠距離通学「夜遅いし、だめかなって。」

山口「お父さんとお母さん、どっちの方がだめって言ってるの?」

遠距離通学「お母さんかな……。」

山口「お母さんか。じゃあ、一郎先生が頑張ってお母さんを説得してみるけど、だめだったらごめんな(笑)。ちょっと、頑張ってみるわ。お母さんに替わってもらえる?」

遠距離通学「はい、分かりました。」

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遠距離通学の母「もしもし。」

山口「もしもし、こんばんは、サカナクションの山口一郎と申します。」

遠距離通学の母「こんばんは。初めまして。」

山口「お母さんですか?あの……娘さんから、野外オールナイトイベント『SAKANATRIBE』というものに、行きたいんだけど行けないなーっていうメッセージが届いたんですね。」

遠距離通学の母「はい……。」

山口「それであの……今、娘さんからお話はお伺いしたんですが、お母さん的には、どういう不安な点や駄目かなと思う点がありますか?」

遠距離通学の母「そうですね、やっぱり中学生なので、夜遅いっていうのもそうですし、朝までっていう……ちょっと、長い……みたいなのもありますし。」

山口「野外で夜中ですもんね。でも、僕が娘さんが素晴らしいなと思うところを少しお話しさせていただきたいんですけど、12才の女の子が夜から朝までにかけてやる音楽イベントに遊びに行きたいと思うその感覚って、決して悪いことではないと思っているんですね。なぜかと言うと、若いうちに音楽を好きになって、自分で行動して何かを体験したいって思うことって、そんなにたくさんの人がそう感じることではないと思うんですよ。」

遠距離通学の母「そうですね。周りにはあんまりいないですね。」

山口「はい。若いうちに、ライブとかそういうことだけじゃなくて、音楽ってこんなに楽しいんだとか、音楽が好きな人ってこんなにたくさんいるんだとか、インターネットとかで擬似的にいろんなことを体験できる時代だからこそ、そういった体験をリアルに、そういった空間で体験してもらうことにすごく意味があるなと思いますし、分かりやすくて簡単な事や楽なことで楽しむことっていうのは、いつでも、どんな年齢になってからでも体験できると思うんですが、難しいけど楽しいとか、そういう風に感じられることを若いうちに体験してもらえるようなことって大事なんじゃないかなって僕は思って、今回このイベントを未成年も参加できるような形で開催する事にしたんです。」

遠距離通学の母「あー……はい。」

山口「実際、僕のようにライブをやったり音楽に関わる仕事をしている人間が感じるのは、やはり、若い子たちって、メディアの表面……テレビで流れてくる音楽だったり、CMで流れてくる音楽だったり、そういったものだけに触れ続けて大人になっていく人がたくさんいるんだなっていうのを感じつつ、世の中にはものすごいたくさんの音楽があって、みんな知らないままいるのはもったいないなって思う気持ちもあるんですね。ふふふ(笑)。」

遠距離通学の母「はい(笑)。」

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山口「お母さんはちなみに、音楽はお好きですか?」

遠距離通学の母「音楽は好きですけど、娘ほどではないかもしれないですね。」

山口「お母さんが12才のときって、音楽を聴いたりしていました?」

遠距離通学の母「12才のときは、たいして聴いてないですね。」

山口「ちなみに、ライブは行かれたりしたことありますか?」

遠距離通学の母「コンサートとかはありますけど……」

山口「どなたのに行かれたんですか?」

遠距離通学の母「佐野元春さんとか、松田聖子さんとか……」

山口「お!佐野さん。松田聖子さん!いいなー。でも、松田聖子さんや佐野元春さんのコンサートに行かれたことがあるっていうことは、お母さんも音楽が好きなんですよね?」

遠距離通学の母「そうですね。やっぱり、引っぱってくれる友達がいると、じゃあ行こうみたいな。でも一人ではなかなか……動けなかったかな。」

山口「そうですよね。心配な気持ちもすごく分かります。」

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山口「でも、僕たちのファンっていうのは、僕が自身を持って言えるのは、すごく真面目で優しい人たちが圧倒的に多いんですね。」

遠距離通学の母「あー、そうですか。」

山口「ライブが終わった後にごみを拾って帰ったりとか、すごくマナーが良くて、ルールをしっかり守る、本当に素晴らしいファンに僕らは支えられているんですね。なので、例えば娘さんがSAKANATRIBEに来て、何かトラブルがあったりしても、絶対にそこにいる人たちが守りますし、僕たちスタッフもたくさんいますし、いろんな対策を練っていこうかなと思うんですけど。」

遠距離通学の母「はい。」

山口「ただ、そもそも保護者が必要な年齢の子や、未成年の子たち、お母さんが一緒に来ても、絶対に楽しめる。お母さんも楽しめるイベントになるはず、なんですよ(笑)。」

遠距離通学の母「はい(笑)。」

山口「娘さんと、思い出を作れるというか。」

遠距離通学の母「はあ……そうですねー。」

山口「若い人たちがいっぱいいて、ご飯を食べたりお酒を飲んだり、娘さんにも新しい友達ができたりとか。そういった、「楽しかったね、お母さん。一緒に朝日見れたね!」みたいな。思い出作りにもなるかな、みたいに……思うんですけど……(笑)。」

遠距離通学の母「ふふふ(笑)。」

山口「僕自身、そういう野外イベントとかで音楽体験をしてきた人間なので、その素晴らしさを体験していて、分かるんですけど。なかなか口で説明できるものではないんですね……。」

遠距離通学の母「でも、ちょっと、今イメージは湧いてきました。」

山口「本当だったら、未成年を呼ぶ必要はないんですね。このイベントって。」

遠距離通学の母「そうですよね。」

山口「ただ、未成年の人に、こういったイベントを若いうちに経験してもらうことで、カルチャーに触れてもらうっていうことが、僕らにとって、新しい音楽が生まれる……未来の音楽に嫉妬できるようなきっかけを生み出す空間になるんじゃないかと思うんですけど。」

遠距離通学の母「はい。娘から話を聞いているよりは、どういう気持ちでそういう風にやろうとしているのかっていうのがすごく伝わってきたので、聞いてとてもよかったです。」

山口「ありがとうございます。僕がイベントをこういう風に考えているっていうのをお母さんに聞いていただけたことで、それを踏まえて、一度娘さんとお話ししていただけたらと思っているんですけど……。音楽キャンプだと思っていただければ一番分かりやすいかなという風に思います。」

遠距離通学の母「はい。分かりました。前向きに、もう一度。」

山口「ご検討、お願い致します。」

遠距離通学の母「ありがとうございます。」

山口「最後に、娘さんとお電話替わっていただけますか?」

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遠距離通学「もしもし。」

山口「遠距離通学?」

遠距離通学「はい!」

山口「先生、頑張ったぞ!(笑) 頑張ってお母さんに、今まで人生でないくらい丁寧な言葉で話したぞ(笑)」

遠距離通学「はい。お母さんもちょっと、納得しました……みたいな感じだったので。」

山口「本当?よかったー。」

遠距離通学「私から言うより、先生から言った方が良かったかなーって。」

山口「そうだよね。でも、もし今回来られなくても、必ず続けるから。あと、もしだめになっても、お母さんと喧嘩したらだめだよ。お母さんは遠距離通学のことを愛しているんだから。心配で心配でしょうがないんだよ。だから、その気持ちもちゃんと理解してあげないと、どっちも救われないからさ。ゆっくり話してみて。」

遠距離通学「はい。本当にありがとうございます。」

山口「とんでもない。こちらこそ、ありがとうございます。じゃあ、またラジオ聴いて。」

遠距離通学「はい。」

山口「友達にもよろしく言っておいて。じゃあ、またね。」

遠距離通学「はい。ありがとうございました。」

そろそろ、今回の授業も終了の時間になりました。

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山口「……来てくれるかなー。来て欲しいなー……。来て、「一郎さん、電話で話した、母です。」みたいになったら、もう……ハグしちゃうかも!お母さんのこと(笑)。ね、泣いちゃうかもしれないよね。うーん。でも、今一生懸命先生は説得しましたけど、その言葉に嘘はないんです。先生も最初クラブに行ったりとか野外フェスに行ったときって、なんか怖かった、正直。でも、一歩自分が踏み込んで、その音楽の世界に踏み込んだときには、自分の聴く音楽も変わったし、音楽の楽しみ方も変わったし……変わったというか、増えたんだよね。そういうのを、未成年であるみんなや、そういう体験をしたことがない大人のみんなにも体験してもらいたいと思う。それをなんとかサカナクションは伝えていきたいし、この『SAKANATRIBE』はその架け橋になりたいなと思っています。」

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