『ゲームミュージックの世界』 w/岩寺基晴

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さあ今回は「ゲームミュージック」についての授業!なんと3週連続で、サカナクションのギタリスト岩寺基晴先生が登場。ゲームが大好きな岩寺先生が、コンピュータ・ゲームのために作られた音楽の魅力や歴史などを紹介していきます!と、その前に……

山口「突然ですが、授業の最初から生徒の皆さんに新しい宿題です!!」

「……フフフ、ビックリしたろ。宿題を出すのは、いつもエンディングだと思っていただろ?……そんな事、無いです。今日はオープニングから宿題を発表します!今回は、作詞の宿題です!!」


『「ストラクチャー」の歌詞を考えよ』

今回は作詞の宿題です。サカナクションのニューアルバム『sakanaction』に収録されている「ストラクチャー」── この曲の後半部分「ラララ」で歌われているメロディーに歌詞をつけて提出してください。(8小節の繰り返し) 一番良かった生徒の歌詞を、サカナクション先生が実際に歌ってくれるぞ!

■「ストラクチャー」のメロディーは [ コチラ ] で聴くことができます。

「これは結構、難易度が高いんじゃないかと思いますが、サカナLOCKS!が始まって1年、生徒たちも成熟してきたかと思いますので、ここら辺で一度、作詞の宿題を出してみようかなと思います。」

「この曲のタイトルは「ストラクチャー」で、日本語にすると "構造" という意味になりますが、そんな事は気にせず、曲を聴いてひらめく詞を送って来てください。いちばん良い歌詞は、サカナクションのメンバーが実際にスタジオで歌ってきます。その音源をこの授業でオンエアしたいと思います!」

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「なぜこの宿題を出したかというと、今回のアルバムの曲は、すべてオケ(バックトラック)ができてから歌詞を書いたので、最初はメロディーを「ラララ」で歌っていました。そこから歌詞を書くのが、すごく大変だったんですね。この大変だった思いを、生徒諸君と共有しようと(笑)。さらに、実際に自分が書いた歌詞で歌われるとどう聞こえるのかっていうのを体感してもらえると面白いんじゃないかと思っています。このサイトでも「ストラクチャー」を試聴できるようにしたので、宿題の提出、よろしくお願いします。」


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それでは、ゲーム・ミュージックの授業いきましょう。まずは、3週連続で登場のこの方です。

岩寺「どうも、サカナクションのギター、そして、副担任の岩寺基晴です。」

山口「(大袈裟に) どうも!サカナクションのギター、そして、副担任の岩寺基晴です!」

岩寺「もう、3回目!(笑)」

山口「ははは(笑) もう、3週に渡って、岩寺先生には登場していただいているわけですが、今夜はモッチ先生を迎えて、ゲームミュージックの授業をお届けしたいと思います。」

岩寺「はい。」

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山口「モッチ先生は、ゲームがすごい好きで、ツアー中もゲームばっかりしてるじゃないですか。」

岩寺「ゲームばっかりしてますね。」

山口「1回、僕怒った事ありましたよね。楽屋でゲームすんな!って。」

岩寺「あ、何年か前にね (笑)。あった、あった。」

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山口「本番前の楽屋でもゲームしてたくらいですからね。」

岩寺「本番直後もしてくらいですからね (笑)。」

山口「そのくらいゲーム好きな岩寺先生ですが、ゲーム好きにとってゲームミュージックとは、どれくらい重要なんですか?」

岩寺「最近のゲームに限っては、ぶっちゃけていえば、そこまで重要じゃないかもしれないです。」

山口「でも、音楽のゲームとかあるじゃないですか。」

岩寺「あぁ、ゲーム音楽じゃなくて『音楽ゲーム』っていうのは最近、流行っていますからね。」

山口「太鼓とか、ボタン押したりとかね。」

岩寺「ゲームミュージックは発展してきて、最近ではCDと変わらないような状態になって来ているので……。でも、"ゲームミュージック"と言って想像するのって、ピコピコ音じゃないですか?」

山口「僕らの世代はね。でも、今の若い子は違うよ、きっと。」

岩寺「そうだね〜、知らないかもね。」

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山口「でも、ゲームの中にある音楽で、ゲームに集中したり、叙情的な音楽だったりすると、その景色に溶け込んだりするわけじゃないですか。」

岩寺「そうだね。」

山口「そういう意味で、映画音楽と一緒で、雰囲気を盛り上げるものだったりしますよね。」

岩寺「うん、映画音楽にはすごく近いかもしれないね。」

山口「さっき、昔のゲーム音楽が好きだって岩寺先生言ってましたけど、それはファミコン(ファミリーコンピュータ)ってこと?」

岩寺「ファミコンよりもうちょっと前くらいからかな。ゲームミュージックの歴史は結構浅くて、まだ30年ちょっとくらい。」

山口「ファミコンは?」

岩寺「ファミコンは、1983年だから、今年はちょうど30周年なんだよ。」

山口「そうなんだ。……なんか、音楽よりゲームのほうが詳しいんじゃないの?」

岩寺「あはは(笑)。」

山口「それはなんか、ちょっと、問題じゃないの?」

岩寺「大丈夫?これからもっと詳しいところを出すけど(笑)。」

山口「おぉ……。」


岩寺先生のゲーム好きが筋金入りだということが解ったところで、ここからは岩寺先生がオススメするゲームミュージックを聴きながら、その楽しみ方を学んでいきます!

岩寺「まず、いちばん最初のゲームミュージックといわれているものですね。ゲームミュージックと言っても、音楽とは何かっていうところまでさかのぼっちゃうんだけど……いちばん最初のゲームは、音楽も無くて、効果音だけだったんです。」

山口「ピュンピュン!とか、ドキューン!とか?」

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岩寺「そう。本当にそれだけ。それが、ゲームの途中にものすごく短いメロディがある一定の状態のときに訪れるっていうものが現れます。でも、それがゲームミュージックかといわれると、そうじゃない。ということで、"ゲームをやっている後ろで流れ続けているもの" として初めて登場した原点が、『ラリーX』っていうレースゲームですね。」

『ラリーX』
参考資料:ニューラリーX(XBOX LIVE arcade)


岩寺「これは、もともとは、アーケードゲーム(ゲームセンター)にあったゲームですね。」

山口「ファミコンでもないの?」

岩寺「ファミコンに移植されてるけど、最初はゲームセンター。当時は「音楽が流れてるよ!」ってものすごい衝撃だったらしいよ。」

山口「へぇ〜!」

♪ インゲームミュージック / NAMCO SOUNDS (『ラリーX』より)

岩寺「このメロディが永遠とループするっていう。」

山口「へぇ、単純なメロディ。」

岩寺「これが、最初に生まれたゲーム音楽です。」

山口「ゲーム考古学的に?(笑)」

岩寺「そう、音楽歴史上初の、ゲーム音楽を生んだのが『ラリーX』。これをきっかけに、結構namco(現、バンダイナムコゲームス)のゲームを中心に、ゲーム音楽っていうのがドンドン増えていくんですよ。この『ラリーX』も、翌年には『ニューラリーX』ってなって、音楽も、1音だけだったのが2和音になって、さらにメロディアスになったりとか。こういう風に、ちょっとずつ発展していきます。」

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山口「……今、ゲーム音楽の起源を話してくれたけど、ロックの起源って分かる?」

岩寺「ロックの起源……。歪(ひず)んだギターっていうのをロックの起源だとすると、1958年とかに録音されたギターが初めて歪んでた……らしい(笑)。」

山口「うわ〜(笑)。それを説明できて良かったよ。ゲーム音楽の起源を分かっていて、ロックの起源を分かってなかったら、先生、ちょっと、悲しい……。」

岩寺「悲しいよね(笑)。」


続いて紹介するゲームは……

『ゼビウス』
参考資料:ゼビウス(Wiiバーチャルコンソール)

岩寺「『ラリーX』もそうだけど、昔のゲームの音源って、アナログで、複雑な事ができない音源を使っていたんだけど、それがちょっとずつ進化していって、その音源自体がパワーアップするんですよ。1980年くらいから、使える音が増えてきます。代表的なのが『ゼビウス』ですね。」

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山口「『ゼビウス』……聞いた事ある。」

岩寺「これも、『ラリーX』と同じような、シンプルなループの音楽なんだけど、ちょっと音源がパワーアップしているので、その辺の違いを聞いてみてください。」

♪ インゲームミュージック / NAMCO SOUNDS (『ゼビウス』より)

岩寺「これが、永遠にループです。」

山口「え、これ、パワーアップしてるの?(笑)」

岩寺「これは、音楽だけだけど、これにいろんな複雑な効果音がドンドン混ざってきます。」

山口「へぇ〜。じゃあ、時代とともにゲーム音楽は進化してるってこと?」

岩寺「そう、時代とともに、音源自体がパワーアップしているから、使える音が増えています。」

山口「じゃあ、テクノロジーの変化によって、ゲーム音楽も進化しているってことかな?」

岩寺「そう、だから、ゲームミュージックって、シンセサイザーの歴史と密接に関わっているんですよ。」

ちなみに、この『ゼビウス』は、発売当時も音楽が話題で、細野晴臣さんプロデュースの音楽作品『スーパー・ゼビウス』(SUPER XEVIOUS)もリリースされたぞ。


岩寺「83年になってくると、ファミコンが出てくるんだよね。だから、ファミコン音楽について触れていきたいと思います。」

山口「……じゃあ、お願いします (笑)。」

岩寺「ファミコンになると、(同時発音できる) 和音が3和音になるんだよね!」

山口「……なんかさ、イキイキするのやめてもらっていい?」

岩寺「ファミコンは、ゲームとしてロール・プレイング・ゲームっていうのが新しく出てきます。」

山口「RPGってやつ?」

岩寺「そう。アクションゲームではなくて、コマンドを入力しながら、(ゲーム中の物語のキャラクターとなって)進めていくやつです。この場合、結構音楽が重要な役割を持ちます。」

山口「ストーリーがあるからね。」

岩寺「そう、いろんなシーンがあるから。ここで、RPGの代表的なゲームを紹介します。」

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『ファイナルファンタジー』


岩寺「『ファイナルファンタジー』シリーズは、今に続いているゲームなんですけど、その、第1作目の「オープニングテーマ」っていうのを聞いてみましょう。」

山口「ドラマでいう、主題歌だ。」

♪ オープニング・テーマ / 植松伸夫 (『ファイナルファンタジー』より)
(『ファイナルファンタジー I・II全曲集』より)

山口「……これ、ステレオ?」

岩寺「うん、ステレオだね。左右に、ベースと旋律で分かれているんだよね。こんな感じで、さっき聞いた、『ゼビウス』とか、『ラリーX』に比べたら、どんどん複雑になってる。」

山口「テクノロジーの進化によって、ゲーム音楽も進化している、と。」

岩寺「そう。ゲーム音楽自体が重要視されて来ているから、曲を作る人も、昔はゲームを作る人がそのまま作っていました。それが、ちゃんと作曲者を入れて、音楽を作るようになる。『ファイナルファンタジー』だと、植松伸夫さん。」

山口「へぇ〜。」

岩寺「もうひとつ有名な『ドラゴンクエスト』も紹介しましょう。『ドラゴンクエスト』だと、楽曲はすぎやまこういちさんが担当してますね。」

山口「すぎやまこういちさんの名前は聞いた事がある。」

『ドラゴンクエスト』

岩寺「ということで、すぎやまさんが作曲した、ファミコンならではの音楽も聴いてみましょうか。ドラクエ?の戦闘シーンの音なんだけど、ファミコンって3和音しか同時に出せないの。だから、複雑な音階を表現するためには、同時にジャンって弾けないから、それをバラバラに、連続で音符を流す……アルペジオみたいな感じで表現していて、それがどんどん細かくなって、どんどん複雑な表現になっていきます。これは、ファミコン独自の音の進化だったんだけど、その代表的なものを聴いてください。」

♪ 戦闘のテーマ / すぎやまこういち (『ドラゴンクエスト?』より)
(『「ドラゴンクエスト」ゲーム音源大全集2』より)

山口「これ、ハット入ってんじゃん!」

岩寺「そう。これノイズ音も出せるようになってます。」

山口「へぇ〜、なるほどね。」

岩寺「超複雑だね。」

山口「なんかこう……急かされるね。」

岩寺「シーンによった音楽だからね。これは、戦うときのシーンだから、結構切迫感があっていい曲ですよね。」

山口「ストーリーがあるゲームには、いろいろな音楽が必要になってきたってことですね。」

岩寺「そうですね。多種多様なゲームに対して、ゲームミュージックも進化していっている、と。」

山口「今はCDみたいな音だもんね。」

岩寺「うん、CDと変わらない。CDみたいに、録音したものをそのまま出せるからね。」

山口「それに、声も録音できる。しゃべってる声とか。」



そろそろ今夜の授業も終了の時間になってしまいました。

山口「今夜の授業はゲームミュージックということで……、今日はそのモッチのゲーム愛が伝わったわ!……多少。」

岩寺「本当?(笑)。でも、ゲームは、やるより、その知識を得るほうが好きなんだよね。ゲームについて調べるのが好き。」

山口「ゲームって、モッチにとって何なの?」

岩寺「そうね……。頭使うためにやってるって感じ。パズルとかを本でやったりする人と同じように、頭の体操をやっているような気持ちでゲームをやってる。そこに達成感だったり、開放感がついてくるって感じ。」

山口「じゃあ、そこで柔らかくなった頭で実際に音楽を作ったりするわけでしょ?そこに活かしてるってこと?」

岩寺「うん。頭の回転は、ゲームのおかげでグルグル速いと思うよ。」

山口「じゃあ、ゲームが無いと、音楽も作れない……?」

岩寺「そこまでは行かないね(笑)。」

山口「じゃあ、楽屋でゲームやらないでもらっていいですか!」

岩寺「わ〜(笑)。でも、最近やってないよ。」

山口「うん、それだけは、ちょっと……、お願いします。」

岩寺「はい。」


岩寺先生、3週連続での登場、ありがとうございました!
また、ぜひよろしくお願いします!

<オンエア曲>
M インゲームミュージック/『ラリーX』より (NAMCO SOUNDS)
M インゲームミュージック/『ゼビウス』より (NAMCO SOUNDS)
M オープニング・テーマ/『ファイナルファンタジー』より (植松伸夫)
M 戦闘のテーマ/『ドラゴンクエスト?』より (すぎやまこういち)

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