解説「なぜクリスマスソングはクリスマスっぽいのか?」2016

SCHOOL OF LOCK!


山口「はい、授業を始めますから、席に着いて下さい。マンガを読んでいる生徒は、マンガをしまいなさい。Twitterを開いている生徒は、Twitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている生徒は、Instagramを一度閉じなさい。授業が始まりますよ。……今日はなんかテンション上がらないのよ。なぜかっていうと、今から黒板に書くけども……本当に、世の中っていうやつはな……」

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「今夜は、クリスマスソングの中に潜むクリスマス感について授業をお届けしていきます!イルミネーションで街が輝き……(棒読み)何だかなあ。赤と白が目立つなあ。……(笑)。そんなクリスマス感ってやつ、去年に続いて2回目の授業になりますが、クリスマスソングに潜むクリスマス感……このクリスマス感っていうのは一体何なのか、それを検証していきたいと思います。もう行くよ?前回大好評だったから今回もやるぞ(笑)。」

「前回は、山下達郎さん「クリスマス・イブ」ね……すんごいね。すごい歌詞だと思うよ。”雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう Sighlent Night “……つまり、雪が降って、音が雪に吸収されて街がデッドな空間になるっていうことを歌詞で表現しているのよ。音響にまでいっているのね。さすが山下達郎さん!……山下達郎さんって音響マニアなのよ。すごい人なのよ。それを歌詞にしているっていうのはね……あれはすごかった。」

■ 昨年の授業のようすはコチラ → [ 2015年12月24日の授業 ]

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「じゃあ、今日は、まずは、2015年12月16日に発売されました、ハウス 北海道シチューのCMソングですね。秦基博さんの「聖なる夜の贈り物」という曲を、勝手に解釈、分析していきたいと思います。それでは聞いてみましょう。」

♪「聖なる夜の贈り物」/ 秦基博




(0’03”)……はいはいはい。ストリングスがふわんときているね。」

(0’30”)……はい、ストップ!(※この授業は気になった箇所で曲を止めながら、授業していきます) ……”寒い冬のおとぎ話"……この一言でクリスマス感出ているね。なんとなく子供の頃からお父さん、お母さんに騙されてきた我々は、おとぎ話としてクリスマスが存在しているよと。そういうことを秦さんは歌っているんだね。」

(1’02”)……はい、ストップ! ”キラキラ街並みに似合わないこの重い空気"……街の中で、なんだか二人の間に漂っている重い空気ね。この解説が次から来るよ。忙しくてすれ違い気味の二人だから、重い空気が漂っちゃってるのね。」

(1’32”)……はい、ストップ! 長いまつげに雪が乗ったの。ふわっとね。それを秦さんは見逃さなかったわけ(笑)。すれ違い気味で素直になれないんだよ。で、いつもこんなに好きなのに、なかなか普段言えないのよ。そんなときに、重い空気が漂っている街の中で、彼女の長いまつげに雪が止まった……さてどうなる?」

(1’44”)……はい、ストップ! つまりね、雪が、空がくれたクリスマスプレゼントだったんだとここで断言していますね。」

「でね、ここが大事なところだよ。”うつむく君も顔を上げた"のよ。うつむいているにも関わらず、まつげに雪が乗っているのよ。ここが大事なところね!うつむき具合の解説になっているからね。思いっきりうつむいていたわけじゃないのよ。軽くうつむいていたのよ、彼女。軽くうつむいていて、まつげに雪が乗るくらいの角度だからね。そこに雪がふわっと乗って、ぱっと空を見上げたの。で、その瞬間、二人は、雪がクリスマスプレゼントだねって感じちゃったのよ……何そのクリスマス!(笑) すごいクリスマスだねー。秦さんの情景描写すごいね。いろんなことをこのまつげに雪が乗ったっていう一言で全てを解説しているのね。ここからも歌詞が続いていくんですけど、どんどん深くなっていくのよ。これはね……秦マジックね(笑)。この間、ミュージックステーションで一緒になりましたけど、秦さんと僕、同い年でしたからね。秦さん……やっぱりすごいね。憧れるね。こういう恋愛の曲をかけるの。素晴らしい景色の情景描写だと思います。……やっぱりクリスマスソングはいい曲がいっぱいありますねー。」

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「じゃあここで、(サカナクションと同じ)ロックバンドが作ったクリスマスソングを解説していってみようか。1992年……先生が12歳の時だな。生徒諸君は生まれていない人も多いんじゃないか?12月2日、クリスマス前に発売された曲。ユニコーン(……みんな、知っているか?奥田民生さんがやっていたバンドだぞ。再結成しているな。)の超名曲だぞ、「雪が降る町」これを恐れ多いですがクリスマスソングとして解釈してみましょう。聴いてみよう。」


♪「雪が降る町」/ ユニコーン


(0’03”)……町の音から始まるね。……はいはいはい。先生、これ死ぬほど聴いたなー(笑)。このテンポ感もクリスマスだね。このキーボードの阿部さんの和音感も良いんだよね。これは実は、クリスマスからお正月までの歌だぞ。これは郷愁感があるな。」

(0’50”)……ここね。”だから嫌いだよ” ってAメロもちょっとだるいでしょう?この裏切られ方ね。これはねー……今、あんまりないね。”こんな日"ってどんな日なんだろうね。この後解説されるね。なんだか、このテンションを感じるよね。だるい感じね。人が用もないのにたくさん歩いていると。」

(1’20”)……大人は実家に正月に帰るのよ。帰るか帰らないかは仕事次第なの。」

(1’35”)……”彼女になんか土産でもどんなもんかな”って、彼女は地元にいるのよ。遠距離恋愛だね。」

(1’49”)……この年末感ね。クリスマスも年末と捉えている。」

(2’03”)……久々に帰る田舎に雪が降るんだって……。」


「…………。」


「……………………。」(※曲に聴き入る一郎先生)


(3’14”)……もうね、良い歌すぎてストップかけられなかったね(笑)。”のんびりして”で終わるのよ。しようね……じゃないのよ。奥田民生さんの素晴らしいところは、最後まで話さない。すごく抜くんだよね。極力説明を少なくしていることで余白持たせるのよ。だから、解釈的には、彼女は田舎にいるのか東京に待たせているのか分からないんだけど、先生の解釈では、田舎にいる彼女にお土産を買っていこうかなって思っているんだけど、東京に彼女を待たせて、田舎に帰ってお土産を買ってこようかなって話かもしれないのよ。ここはその人によって捉え方が変わるのよ。そういう余白を残している。”僕らの町に今年も雪が降る”っていうのは、田舎のことなのか、今自分がいるこの町のことなのか……。これは、12月のクリスマス直後とか、クリスマス中とかね。"あと何日かで今年も終わる"っていう一言で年末感を出しているのよね。それにクリスマスもかかっているの……これはもう、名作だね。これ、よくできているぞ。(こういう曲を)書きたいねー。」

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「先生ね、クリスマスは嫌いじゃないんだよ。先生のクリスマス感を話すとね。街が賑わってみんなが幸せそうにしているのに妬みはない。妬みはないんだけどね……その瞬間に賭ける、クリスマスの瞬間に情熱を賭けている販売店とかが嫌なの、クリスマスを利用しているっていう感じね。聖なる夜って言っているのに、その聖なる夜にビジネスをしているのがね……先生は納得がいかないね。さっきの秦さんの歌……聴いた?まつげに雪が乗ったのがクリスマスプレゼントだって。その感性ね。そういう日本人独特の厳かな情景描写からクリスマスプレゼントを導き出していってほしいと思う。……何を先生は言っているんだ(笑)。……つまりは妬みだな、やっぱり(笑)。」

「……先生もな……クリスマスプレゼントくらい買いたいよ。午前0時にメリークリスマスって言いたいわ。……あったよ、そういう先生の思い出も。前回の放送でも言ったけど、「恋愛すれば良いんじゃないか?」って言われるのよ。先生は憧れるの……クリスマスに憧れの本屋に行きましたと。深夜遅くまでやっている本屋を先生は知っているから。そこに行って、この人の本最近読んでいないなーって手を伸ばしたら、左からパッと違う人の手が触れる……あ、どうぞ。僕はこれ一度読んだ本だから大丈夫ですよ、って。「そうなんですか。」って。本、お好きなんですか?って。「好きなんです」って言われて、じゃあ音楽は?って……そういうな……そこから始まる恋愛なんか、宝くじに当たるよりないぞ!!……宣言するわ、先生はここで。いろいろ恋愛をテーマにしたクリスマスソングが多いから。もし先生が結婚することになったら、結婚を考えるときがきたらこのサカナLOCKS!で必ず発表する。緊急学級会で、生放送で言うぞ。それは約束するから。」

「……でも、好きな人ができたときってやっぱり良い歌ができるんだよなー。だから先生がスランプって言っているときは、先生は恋愛をしていないと思っても良いと思うよ。難しいんだけどなー。でも、真面目にやっているだけでは世の中損することもいっぱいあるけど、真面目にやって実るものもあるんだよ……多分。だから、クリスマスに忙しいって、クリスマスを祝えないっていう恋人がいてもあんまり責めるなよ。そいつはそいつで頑張っているんだから。……そういうことだ。……サカナクションの山口一郎でした(笑)。」

サカナLOCKS! 放送後記

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