SCHOOL OF LOCK!
SCHOOL OF LOCK!

-できる人がいるなら、本にしてほしい-

僕が通学に利用している橋の除染作業がやっと終わりました。この震災を1人の人間が語りきることはできないでしょう。世の国務大臣でさえ発言に気を配る問題です。

だからこそ、そんな難題に大人数で挑戦するこの企画が僕は好きです。僕の周囲には、農業関係者、漁業関係者、原発関係者、いずれもいません。震災特番など見ない限り、思い出すことも少なくなってきました。僕が震災で受けた直接的な被害なんて、お皿が数枚割れたり、当時部活の屋外活動制限がついたり、その程度。知り合いに亡くなった方はいません。今となってはまるで震災なんてなかったかのように不自由のない生活をしています。ただ他県の方から変な目で見られているだけです。震災を1人の人間が語りきることはできない。

しかし、これはなにも震災に関係しない、僕が住む福島県に言える、重要なことです。

-福島県を10人で語りきることはできない。

これは私の推測ですが、実際はもっと多くの人数を要するでしょう。福島県には気候が全く異なる3つの地方、大きく異なる職種、人によって考え方もかなり違います。雪が1メートル積もって当然の地域もあれば、雪なんて滅多に降らない地域もあります。そのなかで、「土地を持って生きる」という考え方が避難区域出身の方に多いのも事実です。私が通う高校には、私が知っているだけで2人の先生が、避難区域出身です。

私の中で震災は、国会の中のことです。これは他県にも言えることでしょう。宮城は?岩手は?茨城は?青森は?千葉は?東北の日本海側は?都道府県ではなく一個人では?果たして何人いれば、この震災をより強く記せるでしょうか。この企画がその答えに最も近いはずです。だからこそ、どうかこのままでは終わらせないでください。1つや2つの記事では「私たちの声」ではない。伝わりにくいし、想像さえ難しい。是非、生徒の声を集約し、世間の大人たちに見せつけるような場所を、そのチームを。

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