SCHOOL OF LOCK!
SCHOOL OF LOCK!

震災のあった日のことは今でもよく覚えています。小学校の卒業式を間近に控えた大雪の降った日のことでした。まるで旅客船が転覆するような激しく大きい揺れ、友達の叫び声泣き声、まだ小学6年生でしたがあのときほど死を身近に感じたことはありません。怖くて震え が止まらなかったのも覚えています。幸い私の住む地域は内陸でしたので津波の被害は免れました。しかし停電していたために沿岸部での津波の被害をこの目で確認できたのは震災発生から1週間も後のことでした。友達が津波で亡くなりました。大好きな親戚が被爆しました。

あのときは私も死にたくなるくらい辛かったのに、今では痛みも薄れ、記憶も薄れ、声も忘れ、不自由なく毎日を過ごしています。そんな自分が大嫌いです。どんどん忘れていく自分が大嫌いです。あのときは食事やお風呂だってままならなかったのに。必死に被災地を思って毎日生きていたのに。メディアも嫌いです。風化してしまったのはメディアにも責任はあるのに、忘れさせないためにメディアがどうにかしてくれなきゃ私たちはなす術もないのに。そういうことを思う夜は眠れなくなります。喉の奥が詰まったかのように苦しくて仕方なくなります。でも私たちは生きねばなりません。

苦しくても辛くても明日がやってくることに変わりはありません。2年後には受験をして、そのうち社会人になって、震災から10年が経つ頃にはもう、覚えていることなんてほんの少しかもしれない。でも思うんです。この痛みを背負って生きることが、命の重さを、人生を、しっかり感じて生きていくことが精一杯の供養であり、弔いなんじゃないかなって。

私は音楽に救われました。YUIの大ファンで、震災のときも毎日聴いていました。2011年11月には岩手のライブにも行ってきました。一生忘れられないと思います。YUIの音楽のおかげで私は今目標をもって生きることができています。

私は将来精神科医になることが夢です。亡くなってしまった親戚や友達のためにも私は一瞬一秒も無駄にできません。だからどうか、みなさんも。あの日のことを忘れないでほしい。日本人の心の美しさを誇ってほしい。助け合ったことをこれからも伝え続けてほしい。忘れてはいけないのだ。絶対に、絶対に、絶対に、忘れてはいけない。

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