映画『ONE PIECE FILM RED』から谷口悟朗監督が来校!!!

SOL!

今夜の授業を職員のジェーンが振り返り!

今夜のSCHOOL OF LOCK!は映画『ONE PIECE FILM RED』から谷口悟朗
監督が来校!!!!

谷口監督を迎えておくる授業テーマは……夢の職業シリーズ~アニメーション監督~!!!

将来アニメーション監督や映画監督を目指している生徒と電話をつなぎ、谷口監督に聞きたいことや質問を直接本人にぶつけていってもらいました。


1人目に電話を繋いだ生徒 RN:エレンリブリースコットが谷口監督に聞きたい事は、監督として指示を出すコツや理想と現実のギャップについて。小さい頃から映画が大好きで将来は映画監督(特にSF映画の)になりたいと思っているRN:エレンリブリースコット。現在、高校1年生だという彼は来月9月末にある文化祭で友達とSF映画を作って学校で披露する予定でいるという。その中で自分がやりたい理想と友達がやりたいことがズレてきてしまって苦戦しているので、谷口監督から映画を作るにあたってのヒントをもらいたい!と相談を持ち掛けていきました。


2人目に電話を繋いだ生徒 RN:えりが谷口監督に聞きたい事は、長編映像をお客さんに飽きられずに見てもらう秘訣は?というもの。将来は映像関係の仕事に興味があり、実際に自分でも今年の春から3ヶ月かけて自主製作で1本のMVを作ってみることに挑戦、無事にその作品が出来上がったという。そしてその出来た作品を友達に見せるためリンクを送ったものの「どんな人にどれだけ見られたか?」というインサートを調べたら6分間の映像に対し、後半にかけてあまりみられていないことが判明!! 最近はショート動画や倍速で見慣れている人が多い中、長編を飽きられずに見てもらうにはどんな仕掛けが必要なのか監督の考えを聞きたい!と話を伺っていきました。


映画『ONE PIECE FILM RED』は絶賛公開中!! しかも今夜のSCHOOL OF LOCK!にはルフィ先生も登場してくれました(^ω^)今夜の授業はradikoで一週間聞けるのでぜひ何度でも授業を受けて聴いてください!!

この後記の放送を聴く

聴取期限 2022年08月17日(水)PM 10:00 まで

映画『ONE PIECE FILM RED』から谷口悟朗監督が来校!!!


SCHOOL OF LOCK!


『 RED 』

こもり校長「8月6日土曜日に全国上映された『ONE PIECE FILM RED』。土日の2日間だけで動員数が157万人!
2022年オープニング週末、土日2日間の動員数・興行収入ともにNo.1で、SCHOOL OF LOCK!の掲示板にも“もう観たよ〜”って書き込みがどんどん増えていっております。“初めてONE PIECEの映画観たよ”とか“ONE PIECE自体詳しくないけど、この映画は観たよ”とか」

ぺえ教頭「“観なきゃ損よ”って書き込みがね」

こもり校長「今回、SCHOOL OF LOCK!で×(かける=コラボ)をやらせていただくから、先に観させていただいたんだけど、もうすごかったですよ」

ぺえ教頭「本当はもっと言いたいけどね」

こもり校長「そう。まだ8月10日だから、塩梅が難しい(笑)
ということで、早速、本日のゲスト講師に来ていただきましょう!
今夜の生放送教室には、映画『ONE PIECE FILM RED』で監督を務められた…!
谷口悟朗監督が来校!!!!!

ぺえ教頭「すごいね、校長のラブコールが届いて」

こもり校長「嬉しいです! 僕、めちゃくちゃONE PIECE好きでして、今までもこのSCHOOL OF LOCK!でONE PIECEハラスメントをしまくってきたんですよ」

谷口監督「(笑)」

こもり校長「“観た方がいい”とか、10代の生徒の子たちも“観たことないです”って子が電話に出て来れば“とりあえず観てくれ”って話をしていたら、その愛が届きまして、SCHOOL OF LOCK!と『ONE PIECE FILM RED』が×でやらせていただきまして。
SCHOOL OF LOCKでは普段、ゲスト講師の方を“先生”と 呼ばせてもらっているんですが、今夜はぜひ“監督”と呼ばせてください!」

ぺえ教頭「でも優しそうで安心した。ちょっとドキドキしてたの」

谷口監督「どんな人間だと思ってたんですか?(笑)」

ぺえ教頭「監督さんって怖いイメージだったから」

こもり校長「分かります」

ぺえ教頭「でもすごく朗らかで」

谷口監督「分からないですよ〜。もしかしたら」

こもり校長「(笑)」

ぺえ教頭「あ、そうなの?」

谷口監督「大丈夫です。今日は優しく(笑)」

ぺえ教頭「お手柔らかに(笑)」

こもり校長「映画がもうめちゃくちゃ良かったです」

谷口監督「ありがとうございます」

SCHOOL OF LOCK!


こもり校長「元々、僕はONE PIECEが大好きなので、内容はもちろんのことだったんですけど、ネタバレがどこまでか分からないので、ふんわりした話し方なんですけど、映画の作られ方、そして今回、歌姫のウタが登場するということで、もちろん歌うシーンがいっぱい出てくるんですけど、その表現方法だったりとか、映画の中に出てくるウタのパフォーマンスする様子、僕はダンスをやってるんですけど、“あ、アニメで歌で、ここまでやれるんだ”と思うと、すごくワクワクしましたし、リアルに映像作品の中で歌ったりするのと見比べた時に、芸術としては引けを取らない、“下手したら生身の人間でも勝てないんじゃないかな”って表現の方法があったり、アニメならではの幻想的な瞬間があったりと、内容だけじゃなくて、作られた世界観、総合エンターテイメントってまさにこのことを言うんだろうなって、まさに心を打たれる作品でした」

谷口監督「そんなにきっちり言われたら、嬉しいったらありゃしないです」

こもり校長「(笑)」

ぺえ教頭「愛が止まらないからね」

こもり校長「谷口監督はONE PIECEの原作ファンでもいらっしゃるんですか?」

谷口監督「これは難しいんですよ。私が初めてONE PIECEの監督をやったのは、もう24年前になっちゃうんですけど、その話が来た時は、私ちょうど『JUMP』を読んでなかったんですよね。だから、ONE PIECEって言われてもピンとこなくて“何だろう?”みたいな。
で、そのあとでJUMPを買って、単行本も当時2巻ぐらいまで出てたのかな、買って読んで…みたいなところで、そこから始めて今に至るので、ファンといえばファンだし、でも初めはお仕事の紹介の形から入っちゃってるから、そういう意味では普通の人とは違う出会いになっちゃったってところはあって。でも、あのキャラクター群とか世界観はやっぱり好きですよ」

こもり校長「僕はONE PIECEを話す中で、あまり“どのキャラクターが好きですか?”って質問をするのが好きじゃないんですよ。ONE PIECEのキャラって全部が主人公級に強いじゃないですか」

谷口監督「いっぱい出てきますしね」

こもり校長「もうここまで来ると“好きなキャラクター何ですか?”って聞くことが試してるような気がするというか」

谷口監督「(笑)」

こもり校長「で、“このキャラです”って言った時に“あぁ、あなたそういう人ね”とかってキャラクターで、ちょっと探り合いをするのが嫌で聞きたくないんですが…監督はどのキャラが好きですか?(笑)」

谷口監督「大体この手の質問は来るんですけど、監督という仕事を始めると、どうやっても全キャラクターを好きになる形で取り組んじゃうんですよ。だから、誰が好きとか嫌いとかって、そういう意味ではないんですよね。ただ、あえて言うと、24年前に初めてONE PIECEをアニメ化した時には連載で、ゾロとナミは出てた。で、ウソップが出るとは聞いてたんですよ。“こいつはこんな感じのキャラで…”って尾田さんから聞いてて、“でも、このアニメのこの段階で出すのは微妙かもしれない”ってことがあったから、あの段階で出せなかったんですよね」

こもり校長「うわ〜、その次元の話、おもろい〜!」

SCHOOL OF LOCK!


ぺえ教頭「(笑)」

谷口監督「で、今回は思いっきり出せるから、だから良かったな〜。24年前の宿題じゃないんだけど、引っかかってたところがスッキリ出せて良かったってところがありましたね」

ぺえ教頭「すごい話(笑)」

こもり校長「しかも、どこまでがネタバレか分からないんで話せないですけど、今の話で話したいこと超いっぱいあるんです、正直」

ぺえ教頭「ホントはね〜」

谷口監督「大体、どの変を言おうとしてるのか分かりますよ(笑) 24年も経つと、いろいろありますよ」

こもり校長「(笑)」

谷口監督「ただ、これは言いたいんですけど、実はその24年前の時、まだ尾田栄一郎という人を世間の人がまだあまり知らない時期に、やっぱり尾田さんと打ち合わせするわけですよ。“どういう感じでアニメ化したいか”とか、“どういう感じのところを気にしたいか”とか。
で、その時に、これから先のストーリーの展開だったりとか、どういう風になっていくのかというのを、実は私は教えてもらっているんですよね」

こもり校長「ほ〜」

ぺえ教頭「へ〜」

谷口監督「教えてもらっちゃって。で、でも実際の連載はどうなるのか分からないじゃないですか。で、その通りにちゃんと進んでいくんです」

こもり校長「そうなんですか」

谷口監督「すごいなぁと。ちょっと時間はかかりましたけどね。グランドラインに出たりとかする時に、“あ、やっぱりきちんと最初に決めた通りでやってるんだな”というのがあって、そこはすごいなと思いましたね」

SCHOOL OF LOCK!


こもり校長「なるほど。いやぁ、すごくいいですね」

ぺえ教頭「ちょっと、そろそろいきます? すごく盛り上がってるし、私も遮りたくはないのよ」

こもり校長「あ、思ったよりも…。本来、オープニングで取るぐらいのボリュームじゃないからね。これだったら、終わらないもんね」

ぺえ教頭「そう。校長、まず開校しましょう」

こもり校長「緊張しますね。SCHOOL OF LOCK!、開校です!
ちょっと信じられないです。今のSCHOOL OF LOCK!の声がルフィの声で。うちも16年目を迎えて、いつも毎晩聴いてる声が…あ、あとは、後ほど!」


♪ ウィーアー! for the new world / きただにひろし


こもり校長「いや、すごいことですよ。もうアニメのこの曲ですよ。ONE PIECEは観てないけど、この曲は聴いたらONE PIECEの曲だって分かる生徒はめちゃくちゃいて、24年前の今ごろに、きっとこの曲が流れていたであろうということで。
谷口監督は尾田先生と話して、今後の展開とかというのを聞いているんですか?」

谷口監督「知ってます」

こもり校長「…は! へぇ〜」

谷口監督「知ってますが、私は20数年間、言うに言えないから黙り続けてきたので」

こもり校長「20数年前から知ってるんですか?」

谷口監督「聞いてますよ。だからね、早く連載終わってくれないと思ってて。ずっと黙り続けてなければいけないんですよ」

こもり校長「いやいや。そうですよね。“一生言っちゃダメだよ”というのを一生は守ってなきゃいけないんですもんね」

谷口監督「そうなんですよ」

こもり校長「やばっ!」

ぺえ教頭「とんでもないシークレットだからね」

こもり校長「じゃ20数年前ぐらいから、あらすじ、大きな1本道はブレてないんですか?」

谷口監督「ブレてないですね。“1人1人こういう役割のやつを集めたい。1回集まったら1回バラバラになって離れるんだ”みたいな」

こもり校長「ヘぇっ!」

ぺえ教頭「怖くなってきた」

谷口監督「で、それぞれ別々のルートのところで戦ったりとか、事件を解決したりとかして、もう1回集結していく。その後どうなるかは言いませんけれども」

こもり校長「うわ、ヤバすぎる!」

ぺえ教頭「ちょっと待ってよ。どこまで聞いていいか分からないもん(笑)」

こもり校長「麦わらの一味の誰か1人だけネタバレ聞きたいぐらい…」

ぺえ教頭「それはダメよ!」

こもり校長「もちろんダメなんだけど(笑)」

谷口監督「これはダメですよ。尾田さんとの信頼関係だから」

こもり校長「そうですね(笑)」

谷口監督「でも知ってますよ(笑)」

こもり校長「うわぁ〜」

こもり校長「さっき職員から聞いたんだけども、今日はなんとSCHOOL OF LOCK!のジングルがルフィバージョンになっているということで」

ぺえ教頭「感動しちゃうね」

こもり校長「歴代校長教頭の中でもONE PIECE大好きがいらっしゃいますけども、すみません、歴代の校長教頭、繋げていただいた今が、今になっております。ありがとうございます!
だから、ルフィ先生が今日は来てくれますから、生徒のみんなは楽しみにしてください!
いやぁ、本物のレイリーがここにいる。レイリーっていうキャラクターがいるのね。ゴール・D・ロジャーというキャラクターの副船長が。その副船長はアニメの中で、全てを知った人として出てくるわけ」

ぺえ教頭「あ〜なるほどね」

こもり校長「現実世界にもレイリーがいました」

谷口監督「(笑)」

ぺえ教頭「谷口監督がレイリーね(笑)」

SCHOOL OF LOCK!


こもり校長「さあ今夜、谷口監督と一緒に行っていく授業テーマは…!」

『夢の職業シリーズ!アニメーション監督編』!!!

こもり校長「生徒のみんなが興味のある職業をピックアップして、その専門家を招いてお届けしている、この授業。過去には音楽ライター、ゲームクリエイター、ピアニスト、声優など数多くの専門家の方をお招きしてやってきましたが、今夜はアニメーション監督編ということで、谷口監督に生徒の君から直接質問をぶつけてもらいたいと思います。
将来、アニメーション監督になりたい、アニメーションに関わる仕事をしたいという生徒はぜひ参加して欲しいんですけれども、監督自体はいつ頃からアニメーション監督になろうと思われたんですか?」

谷口監督「実は、高校生ぐらいの時にアニメをやってみたいなと思っていたんですよ。思ってたんだけど、私は絵が描けないから、だからアニメは無理だよねと思って。その後、私は実写の勉強の方に進んだんですよね。舞台だったり、いろいろな形の映画の撮影助手とかもいろいろやったりとかしていて、ある時“やっぱりアニメだけやってないな。ちょっとだけアニメやってみようかな”と思って、アニメ業界に入ったら、何かそのままずっと残ることになっちゃったっていう。そういう感じですかね(笑)」

こもり校長「じゃあ、10代の頃にふと思ったことが、少しいろいろなところを辿ったというのはありますけれども、また原点に戻った感じ?」

谷口監督「そうですね。結局戻ってきたというのがあって」

ぺえ教頭「素敵よ」

こもり校長「ね。だから、今夜の授業テーマは、『夢の職業シリーズ アニメーション監督編』ということで、アニメーションの世界に興味があるという生徒は谷口監督に聞いてみたいこと、質問を送ってきてほしいです。
ちなみに、監督的に“これだけは聞かないで、NG”っていうのはあったりするんですか?」

谷口監督「何にもないです。何一つないです。ただし、その場で“あ、これはまずいな”と思ったらごめんなさい。それは無理です(笑)」

こもり校長「(笑) 生徒の君はせっかくの機会だから、ぶつけちゃいましょう」

<ルフィバージョンの番組ジングル>

こもり校長「しびれるね。こんなパターンがあるんか!」

ワンピース
ヤバい!今
僕が能力者だったら気分が上がりすぎて覚醒していると思います
ハイブリッジ!
男性/15歳/宮城県
2022-08-10 22:25


ぺえ教頭「(笑)」

こもり校長「生徒のみんな、ごめんね。ONE PIECEを知らない生徒もいると思うけど、今日はちょっと、知ってる生徒はテンション上がるというか。その能力が覚醒するというのが、PNE PIECEの設定の中であるのよ。だから、それぐらいテンション上がっている生徒が今日はいると」

ぺえ教頭「あ、なんとかの実とか?」

こもり校長「あ、そうそう。なんとかの実が覚醒すると、何か1段階レベルアップするみたいな。簡単に言うとね」

ぺえ教頭「なるほどね。で、今ハイブリッジが…」

こもり校長「覚醒しようとしています」

ぺえ教頭「テンション上がりすぎてね(笑)」

こもり校長「監督、もう僕はワクワクしっぱなしなんですよ。楽しみで」

谷口監督「(笑)」

こもり校長「この後ONE PIECEの映画の話もいろいろ聞かせていただくんですけど、それもとどんな話が聞けるのかが、ものすごく楽しみというか」

ぺえ教頭「こんな目がキラキラしてる校長見たの、久々かも(笑)」

谷口監督「(笑)」

ぺえ教頭「最近ちょっとお疲れ気味だったから、谷口監督がすごくいい活力を」

谷口監督「せっかくですから、よそではできないようなお話もしましょうか」

こもり校長「(拍手)」

ぺえ教頭「いいの? 私、責任取れないよ」

こもり校長「いいのよ。最悪、俺がどうにかなっちゃっえばいいんだから」

ぺえ教頭「いやいや(笑)」

こもり校長「ということで、映画の話を聞きたいんですけども、改めて、監督からどういった内容の映画なのか伺ってもよろしいでしょうか?」

谷口監督「ONE PIECEの作品世界の中で、ここ1〜2年のところで急激に人気を伸ばしてきた“ウタ”という女の子がいて、その子が初めて“お客さんの前でのライブをやろう”と。そこにルフィたちも立ち会って。でも、その時にそのウタという女の子は、実はルフィの方がお世話になったシャンクスというキャラクターの娘であるということがわかったという」

ぺえ教頭「ほ〜」

谷口監督「さぁ、そこからどういう事件が起きるのか。ルフィたちはどのようにそこに巻き込まれてしまうのか。それに対してどのように対応していってしまうのか。
いろいろなキャラクターが出てきます。“あ、あんなキャラクターがこんなことに”みたいなところをいっぱい仕込んでおります。どんなキャラクターが出てくるのかだけでも、たぶん楽しみにしていただけるんじゃないかなと」

こもり校長「(笑) すごいですよ。あらすじ、今の話聞くだけで、もう超テンション上がるっていう」

ぺえ教頭「私もそんなに知識は深くないけど、今の話だけでも、すごくワクワクしたよ」

こもり校長「そうでしょ!」

ぺえ教頭「シャンクスの娘だったんだ」

谷口監督「そう」

ぺえ教頭「さすがに私もシャンクスは知ってる」

SCHOOL OF LOCK!


こもり校長「分かるでしょ。だからONE PIECEを1巻だけ見たことある人だけでも楽しめちゃう、ワクワクしちゃうっていうところは、もう既に冒険の入り口なんですよね」

谷口監督「実はそこなんですよ。今回の映画のところは、“今までONE PIECEをタイトルは聞いたことある。でも、ちょっと読んだことがないんだ…とか、もしくは、連載も長いし、アニメも長いですから、昔観てたんだけれど、ちょっと離れちゃった…みたいな人とかでも楽しめるように作ろう”と。そうした時に、“みんなが分かるものって何だ?って言うと、シャンクスかな。シャンクスだったら、1回ぐらいは聞いたことあるんじゃないのか?”というのがあって、今回の“シャンクスの娘”という形の設定になっていたというのがありますね」

こもり校長「これって、監督がオファーをいただいた段階では、もうそこまでの物語で作りたい、だったんですか?」

谷口監督「最初にオファーもらった時だと、私の方としては、今までのONE PIECEの映画があるから、その流れで作って欲しいということかなと思って、アクション映画として組んでいこうと思ったんですよね。ところが、打ち合わせをしている時に、原作の尾田さんから“あのー、実は伝説のジジイ書くのもう飽きちゃったんすよ”って」

こもり校長「(笑)」

谷口監督「“いやいや、それは先に言ってくれないと。伝説のジジイが出てきて、アクションするってのを前提にいろいろネタ考えたのに”みたいな。で、伝説のジジイの代わりにババアってわけにもいかないし、代わりに何か足さないといけない、となった時に、いくつか最初の時にあったアイデアの中で、歌を歌う女の子のお話というか設定があって、“あれをうまくもっと膨らませて持ってこれませんか。その時に、原作でのシャンクスの年表のところで、ちょっと尾田さんがポロっと言ってた、シャンクスの過去のところとうまく重ね合わせて…というところで、相談してやらせてくれないですかね?”というのがあって、今回の映画になった」

こもり校長「それって、作っていく中では、シャンクスを物語の主軸に置く。で、結局“レッド”という名前になって世の中はザワつくわけじゃないですか。“シャンクスが来るぞ”、それによってものすごい世の中が渦巻く。現に僕も“へ? レッド? シャンクス?”ってなった1人なんで。そこって、プレッシャーみたいなものはなかったんですか?」

谷口監督「そこはもう全くなくて。ただ最初、私と脚本の黒岩さんとかプロデューサーチームとお話していたのは、ウタという女の子は出しましょう、それでルフィたちとでお話を組んでいこう、と。それはやっぱりシャンクスってすごく大事なキャラだから、原作者もすごく大事にしているのが分かるから、勝手に脚本に書いちゃって、“出しちゃいました”とはいかないんですよね。だから、(シャンクスを)出すわけにはいかずに何とか作っていこうとしたんだけれども、どうもお話がうまく流れないんですよ。どこかつっかかっちゃって。
で、全体の会議の時に尾田さんのところに“これでシャンクスが出せるといいんですけどね〜”言ったら、“いいですよ、出して”っていう(笑)」

ぺえ教頭「意外と?(笑)」

谷口監督「サラッと」

こもり校長「えぇ〜」

谷口監督「本当に軽く」

こもり校長「やっぱ尾田先生って豪快な方なんですね」

谷口監督「“あ、出しちゃっていいんだ、みたいな。じゃあやれるよ”と」

こもり校長「へ〜」

谷口監督「で、黒岩さんの方ともお話して、“だったら大丈夫ですよ。それでいきましょう”ということで、今回のところで組むことができたっていうのがあったので、プレッシャーとかというよりは、“出せて良かった”ということの大きいですね」

こもり校長「映画を作っていく中で、バトル漫画ではないなりにこだわった点だったり、他とは違う、こうしてやろう、みたいな点って、何だったんですか?」

谷口監督「バトルの要素を減らすという形の可能性があるとすると、それだと今までの映画に対してマイナスになっちゃうだけなんですよね。お楽しみが減っちゃうだけになっちゃう。お客さんの方は、映画館に、やっぱりいろんなアトラクション的なものも込みで、楽しみに観に来ているというのがあるじゃないですか。アクションはその中の1つだから。
じゃあ、“歌の要素を大きく引っ張り上げて、歌の部分を大きく見せていくところを作っちゃおう”と。その時に最初悩んだのが、“ONE PIECEの世界にまず電気はあるのか? たぶん、室内の照明としての電気はない。でも、電気がないと成立しないような表現もいくつかある。だから、一般人は使っていないけど、電気はあるのだろう”。そういったところを考えながら、いろいろ組んでいくわけですよ」

こもり校長「出てくる舞台もまた、いい塩梅のところなんですよ」

谷口監督「で、ちょうどいい形の使いやすい場所のところが、いい感じで“ライブハウス”というか会場としてやらせていただいて」

こもり校長「そう。地形も合わせていいところで(笑)」

谷口監督「俺も、“ともかく、これはライブとして完成させないといけないから、まず振付師さんに頼もう”と。“我々が考えるんじゃなくて、本当にライブをやるとしたらどうなるんだ”ということでで、MIKIKOさんという振付の有名な方がおられて、その人のところに相談に行って、“もしもこれをライブでやるとしたら、ライブ演出としてどういうものをやりますか…っていうところも込みで、ちょっと1回見てくれませんか”ということで、曲が上がるたびに打ち合わせをして、振り付けを考えて振り付けたら、今度はそのダンサーさんの動きをモーションキャプチャーして、CGで取り込む必要があったんですよね。
で、さらにややこしいのが、CGで取り込んで、そのCGの取り込んだ映像をそのまま使っちゃえればいいんだけど、それだけじゃ色気が足りないんですよ」

ぺえ教頭「そうなんだ〜」

こもり校長「あ〜〜」

谷口監督「だから、それはあくまで動きの“当たり”として出してもらって、それを元に作画さんが描くという」

こもり校長・ぺえ教頭「へ〜」

谷口監督「最初からCG使えばいいじゃんと言われれば、それまでなんだけれども、でもそれだと色気が足りないってことになっちゃうんで。
そういったすごく複雑な作業工程を経て、なおかつ撮影監督の方に、“照明としてのライト効果だったりとかも、できるだけ大きく入れたい”と。通常のライブとかでは、レーザービームによる演出だったり、いろいろあるじゃないですか。そういうのもできるだけ取り込みたいと」

ぺえ教頭「すごく難しいことをしてる」

こもり校長「でも、俺は観たから分かる。そこまで言っている意味と、だから、あんなことになっちゃうんだっていうのも分かるんで。
ちょっと今、余りにも僕の熱量が高くなってきたので、“もう映画観たよ”って生徒は、あのシーンを思い出してほしい。で、“観たことないよ。まだこれからよ”って生徒は、想像を膨らませてください。
アニメーションのあのキャラがあれだけ動きます…ってことで、ちょっと1曲、このまま聴いていいですか?」

谷口監督「はい」


♪ 新時代 - ウタ from ONE PIECE FILM RED / Ado



こもり校長「生徒のみんな、すごいでしょ。もう俺ワクワクしっぱなしよ。この曲を歌っているのが、映画の中で登場する世界の歌姫ウタの歌唱パートを担当してるAdo先生
今回、実はそんなAdo先生からSCHOOL OF LOCK!にコメントが届いてます!


Ado先生「こもり校長、ぺえ教頭、そしてSCHOOL OF LOCK!の生徒のみなさん、こんばんは、Adoです。
私は『ONE PIECE FILM RED』に登場する歌姫ウタの歌唱キャストを担当しております。
今回、主題歌、そして劇中歌全7曲を歌わせていただいたんですけれども、Adoとしてではなく、“歌姫ウタ”の歌声として自分の声、歌が皆さんの耳に届くというのは、なんだか不思議な感覚で。
私も作品を鑑賞して、改めて思ったことなんですけど、“自分の声だな”っていう感じはあるんですけど、でもウタがそれをものにしていて、なんだか知らない自分を見ているっていうんですかね。個人的にウタは自分と真逆の存在だなと思っているんですけど、“新しい自分、もう一人の自分”みたいな感覚っていうんですかね(笑) でも、それぐらい不思議な気持ちにさせてくれる経験でしたね。

そして、本日8月10日にニューアルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』をリリースしました。本当にありがとうございます。
このアルバムは先ほどと同じく主題歌、そして劇中歌7曲が聴けちゃう特別なアルバムとなっております。
まさかアルバムが出るなんて。というか、そもそも何ですかね。1つの映画作品で、主題歌含む7曲が出てくるなんて、映画としても、なかなかない試みをしたなって思いましたし(笑)、しかもそれがアルバムになっちゃうだなんて、もう私は驚きですね。
このアルバムは主題歌をはじめ、ラップを歌っちゃったり、ロックを歌っちゃったり、バラード歌っちゃったり、もういろんなジャンルの楽曲が詰まっておりますので、ぜひたくさんリピートして、いっぱい聴いてくださいということです。

最後に、まだ映画を観ていない生徒さんもいらっしゃると思います。ONE PIECEという作品を知らない方も、中には、もしかしたらいらっしゃるかと思います。そんな方でも絶対楽しめると思います。
それは音楽、歌が楽しませてくれるっていうのはそうなんですけど、それ以上に、この『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』という作品そのものが、あなた自身をすごく楽しませて、いろいろな気持ちにさせてくれると思いますし、登場するウタも、“ONE PIECEを知らない方でも好きになっちゃう”と言ったらちょっとあれなんですけど、本当に可愛らしい女の子なので、ウタがいろいろなところに皆さんを連れて行ってくれると思います。
それから、ONE PIECEの大ファンという方も、もちろん絶対に楽しめます。ちょっと私の口からは何も言えないんですけど…何かネタバレになってしまいそうなので(笑) でも、絶対に期待して損はないです。“楽しみ!楽しみ!”って気持ちでいっぱいになって、劇場へ足を運んでください。
ちなみに、こもり校長はもう映画を観てくださったんですよね。主題歌の感想を5秒でバシッとお願いします。
それでは校長、感想をどうぞ!



こもり校長「俺の口から話すには、言葉が薄すぎるので、マジでこの曲を聴いてくれ。以上です!」

ぺえ教頭「これが感想ね(笑)」

こもり校長「Ado先生のコメントにもありましたが、本日8月10日、Ado先生がニューアルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM REDA』をリリースされました。おめでとうございます!
劇中歌の7曲が収録されているアルバムでございます。全部いい。正直、もう本当に全部いいけど、『風のゆくえ』という曲が、僕の大好きな秦基博先生の作った曲で。
音楽をやってる身としては、映画で7曲全部を綺麗にかけるって、俺はほぼ不可能だと思う。ただ、今回の映画では、全曲が良い風に聴こえるようにかかっている。すごく欲しい時にかかる。で、その曲のイメージがしっかり付く。監督、これは最高でした」

谷口監督「ありがとうございます。最初からすごく計算して、プロット段階のところから、特にどういう曲を作るかということで、黒岩たちとも相談しながら作った甲斐がありますよ」

こもり校長「いやぁ、狙いすまされた感じがある。ホントにそれぐらい興奮するから、まだ観てないよっていう生徒も、観たけどもう1回観たいよって生徒は、このアルバムをチェックしつつ、映画をもう1回2回3回4回観てもいいんじゃないかなと思います。ぜひ劇場に足を運んでもらいたいなと思います」

SCHOOL OF LOCK!



♪ 新時代 - ウタ from ONE PIECE FILM RED / Ado


こもり校長「もういいだろうと思う生徒の人はたぶんいると思うの。毎回、ルフィ先生のSCHOOL OF LOCK!ジングルを聴いて、校長がいちいち“ワーッ”とかいいでしょうと思ってる人もいると思うんだけど、無理だね。反応しちゃうね。テンション上がる」

ぺえ教頭「私は、そのテンション上がるあなたを待ってるよ(笑)」

SCHOOL OF LOCK!


<ルフィ先生「SCHOOL OF LOCK!」>

こもり校長「わ〜!!」

ぺえ教頭「いいの? こんな使っちゃって(笑)」

こもり校長「俺も思った。嬉しすぎる」

ぺえ教頭「もったいないというか、貴重だから」

こもり校長「いやぁ、これは”出航だ!”って言われたら、やっぱり麦わらの一味も“おぉ〜!”って言うわ」

ぺえ教頭「すごいパワーだよね」

こもり校長「僕も、一味と呼んでもらえませんか、なんつって。
監督、10時台には、ONE PIECEの話から映画の話から、たくさんさせていただいて。もう時間が足りないの一言に尽きる」

谷口監督「(笑)」

こもり校長「正直、本当はめちゃくちゃ聞きたいこともあるんですよ。音楽がどういう風に作られていったのかとか。今回、楽曲提供もものすごく豪華じゃないですか。どうやってオファー、お願いをしたのかなとか、ちょっとだけ聞いてもいいですか?」

谷口監督「それはもう、まず尾田さんと、あと集英社の高野さんという音楽にすごく詳しい編集さんがいて、そのお2人のところで話をしながら、尾田さんが“この辺の人たちにお願いしたいな”みたいな」

こもり校長「尾田さんもやっぱり言われるんですか?」

谷口監督「ええ。今の音楽の人達に関して、尾田さんは詳しいんで。いつも仕事しながら聴いてるんですよね。だから、その中のところで、今回の楽曲に向いている人とかを話しながら、“あとはプロデューサー頑張って”って」

こもり校長「いやぁ、その一言しびれますね」

谷口監督「“プロデューサー、交渉してみて。お願いします!”っていう形ですよ。まあでも、本当によくこれだけのメンバーが揃ってくれました」

こもり校長「本当に豪華すぎます。1つ僕ちょっと気になっているんですけど、何もなければ何もないんでいいんですけど、ワンピースの中で“新”って結構キーワードになるじゃないですか、“新世界”とか。で、中田ヤスタカさんが作った曲って『新時代』じゃないですか。これって何か意図があってワードを投げているのか、それともヤスタカさんの感受性が高すぎて、このワードを出してきたのか、どっちですか?」

谷口監督「このワードに関して、脚本の段階のところから、もうある程度決まっていて、“できれば中田さんのところに関しては、このワードをベースにしてやってほしい”と。で、中田さんもそのつもりでいたというのもあって、なぜそのワードなのかは映画を観ていただくと分かるわけですよ」

こもり校長「(笑)」

ぺえ教頭「ずっとさっきから校長がこれを聞きたいと(笑)」

谷口監督「これは、ある時代に対しての、“こちらの時代ですよ”という」

こもり校長「これはまだ映画で観てもらうしかないですからね(笑)
ワクワクする話ばかりですが…。
さて今回の授業テーマは、『夢の職業シリーズ!アニメーション監督編!』
谷口監督に生徒の君から直接質問をぶつけてもらおうと思います」

ぺえ教頭「質問がたくさん来ています」


谷口監督こんばんは。
私はアニメが大好きで、いつかアニメに関わる仕事をしたいと思っています。
でも、アニメが好きなだけでアニメについての知識などが全然ないので不安です。
今できることや知っておいた方がいいことを教えてください。
メイビー
女性/15歳/埼玉県


谷口監督「まずアニメに関しての知識は、今はなくていいですよ。全く問題ないです。
どうしてかというと、私がアニメに関しての知識は何にもないところでアニメ業界に入ってしまっているので。アニメ業界で働きながら『アニメの作り方』という本を読んでいたぐらいですもん。本を読みながら、勉強しながら、実際に働いていたという形だったので。
今勉強する必要ないですよというのは、やっぱりアニメ業界って日進月歩で技術が変わっていくんですね。CGが入ってきたりとか、いろいろな形のところで変わっていたりとかするから、結局、その時代時代のところで必要とされる技術って違うんですよ。
ということは、今できることとかやってほしいことは、“遊ぶこと”です」

こもり校長「ほ〜」

谷口監督「全力で遊んでいてほしい。それは、別に歌を聴いてもいいです。ネットのところでいろいろ見たりとかしてもいいです。自分に今、興味があることを、今のうちに全力をあげて遊ぶという経験をしておいて欲しいですね。
遊ぶというその経験が、いずれ自分がその職業に就いた時に、自分を支えてくれる大事なものになるんですよ。勉強なんていつでもできる。でも、その歳でしかできないことあるんだ。この歳でしかできないことをやってほしい。それがプラスになる

SCHOOL OF LOCK!


ぺえ教頭「いいメッセージだね(笑)」

こもり校長「聴いてる? ちょっと今、全力で生きちゃおうよ。楽しんじゃおう。遊んじゃおうよ」

おなかいっぱい!
何かをゼロから作るときって当たり前だけど大変じゃないですか。日々生活してる上で意識していることがあったりしたら教えてほしいです!!
ONE PIECE FILM REDをSOLの試写会で見て、めちゃくちゃ心打たれました。映画を観終わって、余韻がすごくて、ここはこうで、あそこはああいうことだったのか〜!と考える時間もまた、とても楽しかったです!
また、みたいです!!!!!てか、みます!!
おなかがすいてる双子葉類
女性/16歳/神奈川県
2022-08-10 20:00


谷口監督「お願いします! 映画館で観ていただくことによって、より膨らむと思うんです」

こもり校長「でも、日々生活している上で意識されていることみたいなのって、あるんですか?」

谷口監督「これまで私が大先輩から教えもらったやり方があるんです。それは何かというと、テレビだったりとかすると、CMを見ろって言われたんです」

こもり校長「なぜですか?」

谷口監督「CMといったものは、別にテレビだけに限らず、WEB上でもいいんですよ。CMというのは、その時代時代のところでのセンスだったりとか、お客さんに求めるものが一番凝縮されているんですよ。30秒なり1分なり。そうすると、長い作品をいっぱい見るぐらいだったら、CMを見た方が、短い作品で、その時代のエッセンスがガーッと手に入るんです。それが一番早い」

ぺえ教頭「確かに。時代とともに変化するもんね」

谷口監督「だから、そのCMを見ていくと、結果的にはその時代時代のところで求められているものが何なのかっていうのが分かるようになってくるんです」

こもり校長「すげー。確かにそうかもな」

ぺえ教頭「少し前の時代からのCM、見返したいよね(笑)」

こもり校長「分かる」

谷口監督「それと同時に、そういった時代を超えて受け継がれていく小説だったりとか、もしくは昔からの映画とか舞台だったりとか、そういうのを、できればここ数年じゃなくて歴史10年20年30年40年、そういったものを乗り越えてきた作品も一緒に見ていくというのが大事ですね。そうすると、今の時代を知ることもできるし、長い時代を経た上でどういった作品が生き残るのかといったことも知ることができて、いいと思いますよ」

こもり校長「めっちゃリアルだな」

ぺえ教頭「全て素晴らしい、回答が(笑)」

こもり校長「これはちょっと直接、質問ぶつけちゃおう」

SCHOOL OF LOCK!


エレンリブリースコット 大阪府 15歳

こもり校長「学年は?」

エレンリブリースコット「高1です」

こもり校長「今、どんな夢を持っているのか、ちょっと聞いてもいいの?」

エレンリブリースコット「映画監督にはなりたいと思っています

谷口監督「いいですね」

こもり校長「谷口監督に聞きたいこと、直接質問があれば聞いてみようよ」

エレンリブリースコット「文化祭で、僕は映画を作ることになって、監督をさせてもらってるんですけども、自分の中の理想があって。でも、(演技などを)人に頼むじゃないですか。その人に頼んだ時に、自分の中の理想とのギャップが生まれる。そのギャップをできるだけ縮めるための人に頼む技術と、理想と現実っていうのは、やっぱりズレは生じるのは仕方ないことだと思うので、そのギャップを妥協する線引きを聞かせてもらえると嬉しいです」

谷口監督「これは実際におそらく映像を作り始めたりすると、どんな人でも必ずぶち当たる悩みだと思うんですよね。で、これはまずこう思った方がいいです。どんな作品であろうと、どんな人であろうと、100点満点の作品というのはないです」

エレンリブリースコット「はい」

谷口監督「つまり、100点満点を出してしまったら、その作り手はもう引退するしかないんですよ。これはいかなる人であろうと、どこかに悔いが残るんです。私自身もそうだし、私の先輩方もそうだし、もしくは実写の私が知ってる監督さんたちもみんなそうです。
で、今あなたが目指しているところでの作り方で言った時に、より自分の中に完璧なビジョンがあって、その通りにやりたいんだとするのであれば、昔の映画監督で小津安二郎という人がいます。この人は、画面の1つ1つ、机のテーブルの位置からして、“ちょっと少し下げて!”とか、“うつむくのは3秒間。心の中で数えたら、そのまま振り向いてくれ”とか、そういう芝居の仕方をやったりして作っていった人なんですね」

エレンリブリースコット「は〜」

谷口監督「でも、実はそれでも、その作品が常に100%計算した通りになっているのかというと、そうじゃない場合もあるんですよ。
例えば天気ですよね。実写だったりとかすると、きれいな天気ってなかなかずっと待ってても来なかったりします。雨の具合もうまくいかなかったりとかもします。
その時に必要なのは何かというと、他のスタッフの意思とか意欲を否定するんじゃなくて、あなたがそのシーンで必要なことは、優先順位はどれかを決めることです」

エレンリブリースコット「は〜」

谷口監督「で、優先順位の大体1番目から3番目目がなされたら、それで良しとするんですよ。それ以外のことは、他の役者さんがやってくれたこと、スタッフがやってくれたことをプラスアルファで盗んじゃうんです、あなたが。そうした方があなた1人が考えているものよりも、より大きく膨らんで、よりスタッフもやりがいが起きて…ってことになるはずなんです」

エレンリブリースコット「は〜」

谷口監督「つまり、あなたがもしもスタッフの方と多少ギクシャクしちゃうんだったら、やってほしい優先順位がうまく伝わってないんですね。“俺が一番やりたいのはコレなんですよ。できれば次にこれができて、これもできれば言うことないんだけどな”みたいな。優先順位を決めて、“これやってほしいんですよ”ということを伝えると、もう少しうまく回っていくようになると思います」

SCHOOL OF LOCK!


ぺえ教頭「すごい(笑)」

こもり校長「ちょっとマジでスーパー具体的なアドバイスをもらって、相当うなずいていたけど、どう?」

エレンリブリースコット「これすごいですね。本当にこんなに欲しい答えというか、すごくスッキリしました」

こもり校長「的確だったよね。だって、俺でさえも目から鱗だったもん。文化祭はいつ?」

エレンリブリースコット「9月の末です」

こもり校長「じゃ、もうすぐだ。だから、今アドバイスいただいたことで、自分がどういうことをしたいのかっていうビジョンも、今かなり膨らんだんじゃない?」

エレンリブリースコット「はい!」

こもり校長「だから、今の熱量を持って、向き合いながら、人との人との作り合いだから、大変なこともあるだろうけど、9月末の文化祭にむけて、“100%じゃない自分の100%”みたいなものを探しながら、ちょっと全力で頑張って!」

エレンリブリースコット「はい、頑張ります!」

ぺえ教頭「頑張ってね〜」

谷口監督「頑張ってください。期待してます」


♪ 私は最強 - ウタ from ONE PIECE FILM RED / Ado




こもり校長「“私、最強、俺、最強”って、 エレンリブリースコットがなった瞬間というか、あいつが歌った感じがした」

ぺえ教頭「リンクしたね(笑)」

こもり校長「リンクしたというか、マジで エレンリブリースコットの曲だ」

ぺえ教頭「彼の曲になってるね(笑)」

こもり校長「主人公になった。やべ、俺超テンション上がっちゃった」

谷口監督「(笑)」

ぺえ教頭「でもホントそうね」

こもり校長「勇気をもらえるな」

えり 長崎県 17歳

こもり校長「学年は?」

えり「高3です」

こもり校長「えりの今の夢って聞いてもいいの?」

えり「はい。映像化作品に関わる人になりたいです

こもり校長「その上で、監督にちょっと聞きたいことというのはあるの?」

えり「長編の映像作品を作る時に、観客の方に飽きられないようにする秘訣を聞きたいです」

谷口監督「なるほど。私が主にやってるのはアニメーションの方になってしまうから、もしかしたら、あなたが関わろうとしているところとは、少しズレちゃうかもしれないけれども、おそらく映像という部分においては変わりがないと思うので、そこで聞いてくださいね。
まず、映像といったものは音楽と同じです」

えり「はい」

谷口監督「音楽と同じ。つまり、あなたはたぶん編集とかもやられてたら分かると思うんだけど、編集のところで同じテンポをずっと刻んでしまったりとかしていません? 自分の好きなテンポだったりとか。それをやってしまうと、実はお経を上げているのと同じことになるんですよね。その途中のところで、例えばちょっと長い間を作ってあげるとか、たまに短くパパパッと作ってあげると、音楽的な大きな流れができてくるわけですよ。
その次に大事なのは、お客さんは1回受け取った情報というのは、2回目を受け取ると、たるく見えるということなんです」

えり「はい…」

谷口監督「これは具体的にどういうことかというと、今、公開中の『ONE PIECE FILM RED』を観ていただければ分かると思うんですけど、冒頭にライブシーンがあります。実はそのライブシーンというのは、1曲ずつ演出スタイルをちょっと変えているんですね。
それは、同じ形の派手なところで、“じゃあ全部派手にやればいいじゃないか”という考えもあると思うんです。でも派手に全部やってしまうと、2曲目3曲目で客は飽きてしまうんですね。そうすると、1曲目のところで受ける刺激の情報と2曲目のところで受ける刺激の情報を、3曲目、もしくは4曲目で変えてあげる必要があるわけですよ。そうすると、お客さんは違う情報、違う刺激を受け取ったということで、楽しんで見てくれるようになるわけです。それを映像的な流れで言うと、音楽的なテンポ…例えば歌で置き換えてくれてもいいわけです」

えり「うん」

谷口監督「Aメロから始まりました。これBメロです。場合によっては、これCメロちょっと入れようか。ここでサビ前のところで少しちょっとブレイク入れてみようみたいな感じだったりとか。そういう形の大きな流れがあったりすると、お客さんの方としては、より情報が整理されて見やすくなってきます。
そういったことをちょっと頭の端っこの方に置いて構成をしていくだけで、“ここが一番山場だ”とか、“ここはまだ前奏だからちょっと抑えておこう”とか、そういった発想ができるようになってくると思います。それが、だんだん長い映像だったりとかを持っていくための良い方法だと思いますね」

えり「はい」

谷口監督「おそらく、あなたも今まだ始めたばかりだとするんだったら、まず一番いいのは1分半ぐらいから始めてみましょう。90秒」

えり「はい」

谷口監督「1分半というのは何かというと、ほとんどのアニメーション作品のオープニングの尺が90秒です。実際は89秒なんですけど、音楽のところのノンモン(無音)という、音楽がない隙間が必要だから、この90秒という尺があったら、結構なことが表現できます。
この90秒、まずあなたは自分のものにすればいいと思います。それが倍になれば、次に3分です。その3分を倍にすれば6分です。そういう形のところでだんだん延ばしていけると思います」

ぺえ教頭「すごいヒントよ」

谷口監督「これがたぶん、現実的な映像のところで持っていく時の一番いいやり方だと思いますね」

こもり校長「監督。そこまでの技術全部教えてもらって本当に良かったんですか?

谷口監督「この技術のところは全然、皆さんにいくらでも教えますよ。プロというのは、さらにここから先のところで数段階あるわけですから(笑)」

ぺえ教頭「確かにそうよ(笑)」

えり「(笑)」

こもり校長「えりは自分で作品とかも作ってんの?」

えり「はい。高3の4月から3ヶ月ぐらいかけて、脚本とかロケハンとか編集を全部ワンオペでやって、MVの自主制作で作らせていただいて」

こもり校長「それがどれぐらいの尺なの?」

えり「それが6分なんですけど」

谷口監督「長いな〜(笑) 相当苦労したでしょ?」

えり「はい。それで“どんな人が見てくれたのかな?”とか、“どこが盛り上がってくれたのかな?”とかを見たら、最後にかけて見てる人が少なくなっていくことが見てとれたので、やっぱりまだそういう力がないなって感じて、聞きたいなって」

谷口監督「おそらく、その6分の映像は、同じような刺激が何度も来てたりとかもしちゃってると思うんですよ。
でも、とにもかくにも1回完成させたのは立派なことです。こういう仕事をやっていこうとか、こういったところで考えた時に本当に完成させられない人が多いんだ。夢だけ抱いてて、脚本の勉強をずっとやってるんですよとかと言いながら、完成した脚本がないとか。
そうじゃなくて、やっぱり大事なのはまず1回完成させることなんですよね。完成させることの、この繰り返しによって次第に出来ていく。
例えば、漫画家志望の人とかに関しても、やっぱり一番いけないのは、ずっと描いているだけで、いつまでも完成しないことなんですよね。どんな形でもいいから、まず完成させる。これは映像もそうだし、全てにおいて言えることなので、まず完成させることができたあなたは、もう明確に第一歩を踏み出しているわけです。そこに自信を持って、次のステージに向かってみましょう」

SCHOOL OF LOCK!


えり「はい。ありがとうございます」

ぺえ教頭「嬉しいね」

こもり校長「今どき、radikoっていうアプリがあって聴き直せるのよ。だから、今の監督が言ったやつをradikoとかで聴き直して、まずは90秒から作ってみてってアドバイスもやって。で、1個作れたっていうその一歩、監督に言ってもらったことも、これは現実だと思うから、それをちょっと自信に思って。諦めずにやってほしいですよね」

谷口監督「確かに、ここから先、辛いところもあるし、苦しいこととかもあると思う。でも、それを乗り越えた先にすごく楽しい世界が待っているから」

えり「はい」

こもり校長「ちょっと頑張ろうな」

えり「はい!」

こもり校長「いろいろありがとね」

谷口監督「頑張ってください。期待してます」

えり「ありがとうございます」

こもり校長「ちょっとめっちゃ前向きになれる。どうしよう。俺が勇気湧いてきちゃった(笑)」

ぺえ教頭「相づちも忘れちゃってたもんね」

こもり校長「(笑)」

こもり校長「時間が足りないな。マジで」

ぺえ教頭「ホントよ」

こもり校長「ここまで映画の話を聞いて、ここからまた2時間、生徒との話したいぐらい。4時間制やりたいよね」

ぺえ教頭「必要です」



今日の黒板


SOL!


『ONE』

谷口監督「ONE PIECEのONEでもあるんですね。O.N.Eこれは、これから先、皆さんはいろんな形で世の中に出ていこうとすると思うんです。

表現をしたいって人もいるかもしれないしそのサポートをしたいという人もいるかもしれない。そうじゃない形で自分なりの人生を探そうとする人もいると思うんです。

そうしていったときに、あなたはもうすでにあなたというだけで特別な存在なわけです。これはどういうことかというと同時代に生まれた人たちって意識すると思うんですよね。スポーツ選手とかもすごい人がいたりとかして、やっぱり同時代であんなスーパーヒーローには自分はなれないと思っちゃうかもしれない。

でもねこう考えてほしいんです。同時代で生まれたあなた、でもそれは生まれた場所が東京かもしれない、愛媛かもしれない、福島かもしれない、北海道かもしれない。その場所によってすでにあなたはその土地でしか手に入れられないものを手に入れている。

次に、周りにいる友達たち。その友達たちというのは、あなたがその時代でしか多分手に入れることができない人間関係なんだ。その環境、その生まれ育った環境だけを大事にして、みんな色んな人たち、それはONE PIECEの尾田栄一郎先生もそうだし、私もそうです。その自分にしかなかったその環境だったりとかを大事にして、それを1つの武器にして、それだけは他の人には誰も持っていない私だけの武器であるという形のところで今までやってきているってのがあるわけです。

ということは今このラジオの前にいる皆さん、1人1人に関しても、もう既にあなたはあなただけですでに、もうその1つの特別な環境を手に入れてるわけです。うまくいかない事もあるかもしんない、友達との関係もうまくいかないかもしれない。でもね、それが将来役に立つんだ。今はきついかもしれないけど、いずれ来るんだよ。そういう時が。

それをいずれ、花開く日を楽しみにして大事に日々を過ごしてくれると嬉しいです」


♪ 風のゆくえ / Ado


こもり校長「SCHOOL OF LOCK!、そろそろ下校の時間です!」

ぺえ教頭「感動しちゃった」

こもり校長「俺、普通にくらった」

ぺえ教頭「(笑)」

こもり校長「だからこそ、監督の作品を改めて観たいなと思ったというか、また、そこに言葉じゃない答えがある」

ぺえ教頭「もっともっとと話を聞いていたかったです」

こもり校長「本当に全然足りなかったです。またぜひ、何かあった際は遊びに来てください」

谷口監督「こちらこそよろしくお願いします。大変楽しかったです」

こもり校長「ありがとうございました。SCHOOL OF LOCK!はが明日夜10時に再び開校!」

ぺえ教頭「起立! 礼!」

こもり校長・ぺえ教頭・谷口監督「また明日〜〜〜〜〜〜!!!!」

SCHOOL OF LOCK!




こもり校長の放送後記

今日の俺はただの”ジョイボーイ”だった。


ぺえ教頭の放送後記

新時代を切り開く
私は最強なのよ

この後記の放送を聴く

聴取期限 2022年08月17日(水)PM 10:00 まで

Music 2022.08.10PLAYLIST

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『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督「出せてよかった」大事なキャラクターとは

アニメーション監督の谷口悟朗さんが、8月10日(水)放送のTOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」にゲスト出演。監督を務めた公開中の映画『ONE PIECE FILM RED』について、今回のストーリーで制作することになった経緯など、パーソナリティのこもり校長とぺえ教頭の質問に答えました。

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