NASA、そして東京工業大学ELSIの研究員、藤島皓介先生が来校!
"火星移住"や"地球外生命体"について聞いていくぞ!!

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『 地球外生命はいる! 』

とーやま校長「さあ、なんと今日の黒板を書いているのは、俺、とーやま校長ではございません!」

あしざわ教頭「そして、もちろんわたくしでもありません! っていうか、いきなりかなりヤバめのことが書いてあるんですよ!」

とーやま校長「これ、完全に言い切ってますけど大丈夫ですか?」

???「大丈夫です!」

とーやま校長「軽い(笑)」

あしざわ教頭「ちょうど今日、『NASAが地球に似た惑星を発見した』というニュースが発表されましたが、今日はこの話も聞けるということなんでしょうか!?」

とーやま校長「今日のSCHOOL OF LOCK!のスペシャル授業のために、NASAが発表してくれたってことでいいんですよね?」

???「間違いないと思います」

あしざわ教頭「すごいな!(笑) 説得力があるから全部信じちゃうよ(笑)」


♪ Dream lantern (English ver.) / RADWIMPS


今夜の生放送教室には、
いきなり「地球外生命体は存在する」と黒板で断言してくれた…
アメリカのNASA、そして、東京工業大学 地球生命研究所(通称ELSI)の研究員!
藤島皓介先生
が、初来校!!!!

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とーやま校長「まず、地球外生命については言い切りでいいんですね?」

藤島先生「研究者なんで言い切っちゃいけないんですけど、やっぱり生徒に夢を持ってもらいたいんで、今日は言い切らせてもらいます!」

とーやま校長「今日は、すごく覚悟を決めて来てくださってるところもあるんですね」

藤島先生「あります!」

とーやま校長「そして、お若いですよね?」

藤島先生「そうですかね…、34歳なんですけど」

とーやま校長「じゃあ、僕らより3つ下なんで……じゃあ、よろしく頼むわ!

あしざわ教頭「なんで上から言っちゃうんだよ(笑) 校長、数字で判断するの良くないよ!(笑)」

藤島先生「よろしく(笑)」

とーやま校長「地球外生命の研究とか、NASAの方とか、もっと年配の方だと思ったんですけどね」

藤島先生「おじちゃん、おばちゃんとかですね。平均年齢は高いんで結構多いですけどね(笑) 僕は若い方だと思います」

とーやま校長「へ〜!」

藤島先生は1982年生まれ。
慶應義塾大学SFCを卒業後、
2011年からアメリカ航空宇宙局・NASAに勤務。
"アストロバイオロジー"の研究を続け、
2016年からは、東京工業大学 地球生命研究所(ELSI)に所属。

現在もNASAの客員研究員を務めていて、
1年の前半は日本、後半はアメリカという生活。
さらに、人気漫画『テラフォーマーズ』の監修も
手がけていらっしゃるとのこと。

とーやま校長「ちょっと難しいな…。でも、『テラフォーマーズ』だったら10代のみんなも読んだことあると思う。その監修もされてるんですね」

藤島先生「そうですね。作家の方(貴家悠さん)と個人的に知り合いで、ある時メールが来て『ちょっと火星のことについて教えてください』とのことだったので、返信したら、そのメールの内容が2週間後に漫画に反映されていたことがありました。そういうことがあって、"あ、楽しいな"って…(笑)」

とーやま校長「(笑) そうなんだ!」

藤島先生「でも、火星編が終わっちゃったので、とりあえず、一旦そこでおしまい(笑)」

とーやま校長「一旦そこでお役御免ですか。もう一回火星に行ってほしいですか?」

藤島先生「火星に行ってほしいですね(笑)」

あしざわ教頭「(笑) 自分の得意ジャンルの方にね(笑)」

とーやま校長「そして、慶応大学を出られていて、研究されているのが『アストロバイオロジー』……っていうのは、"アストロ"の"バイオロジー"ってことですね?」

藤島先生「そうですね。"アストロ(astro)"の"バイオロジー(biology)"なんですけど(笑)」

とーやま校長「俺と同じこと! 正解じゃん!」

あしざわ教頭「まさかの(笑)」

『アストロバイオロジー』とは、日本語で言うと『宇宙生物学』という学問のことで、"宇宙における生命のことを勉強しよう"という学問なのだそう。

藤島先生「"宇宙における生命、生物学とは何か"って話なんですけど、"宇宙のどういうところで、どういうふうに生命が誕生したか"っていう『生命の起源』の研究だったり、"宇宙にはどれぐらい普遍的に生命が存在しているのか"っていう『生命の分布』の研究だったりします。
あとは、『生命の未来』…僕らは今、地球の生命しか知らないので、"僕らが今後、宇宙に出て行って他の惑星に住むようになる時に、技術的にどういうサポートをしていくのか"
そういう学問を全部ひっくるめて、この巨大な『アストロバイオロジー』という学問があります」

とーやま校長「なぜ、その研究をしようと思ったんですか?」

藤島先生「この研究、めちゃめちゃ熱くないですか? 一生かけても答えが出ないんですよ。
その、一生かけても答えが出ない…これを『ビッグ・サイエンス(BIG SCIENCE)』と言うんですけど、本当に根本的な、僕らが小さい頃に抱いた"宇宙ってどうなってるんだろう?"とか"この宇宙に宇宙人はいるのかな?"とかの夢が、実際に学問として成り立とうとしています。
それを、最初にNASAで学んで、ぜひ日本に持ち帰ってばら撒きたい(と思いました)」

とーやま校長「みんなにもっと知ってほしい、と」

藤島先生もっと知ってほしい! 一人でも多くの若手がこういう研究に興味を持って入って来てくれるといいな、って」

とーやま校長「すごく誇り高き信念を持たれてるんですね!」

藤島先生「そんなことないです(笑) 研究していて楽しいからです」

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とーやま校長「いやいや、そうでしょう! …ちょっとひとつ、アホみたいなこと聞いていいですか?
あの…NASAってどうやって入るんですか?

あしざわ教頭「そこね。生徒はめっちゃ気になってると思います」

藤島先生「あの…、僕の入り方が、コネというか…」

とーやま校長コネクション!? それは許せないですわ! だって"入りたくても入れない"って人はたくさんいると思うのに!」

藤島先生入りたいと思っていたら、いずれそこに到達すると思います。門戸は開いてると思うんですね。あとは、自分が"NASAに行きたい!"ってずっと考えて言い続けていたら、叶うでしょう」

とーやま校長「ああ、そういう"つながり"って意味ですね」

藤島先生「はい。きっかけもたぶんあったんですけど、僕がもともと慶応でやってた研究が、『生命の進化』だったんです。"地球上の生命が、どうやってやっと今のような形になったか"とか、"どういう生命システムを持っていて、その生命システムはどこから来たのか"とか、そういうことに興味を持ちました」

DNAという遺伝情報には、タンパク質の情報が書き込まれている。
DNAからRNAというものを介してタンパク質を作るような面倒くさいシステムは、一体どこから来たのか。

藤島先生「でも、結局それって、地球上の全ての生物を調べても、普遍的なルールにのっとって活動しているので、その前にさかのぼらなければいけない。なので、それってもはや『生命の起源』なんですね。
それで、卒業後にそういう研究をしたいと思って色々調べたら、どうやらNASAが『アストロバイオロジー』っていう学問を作ったらしい、と。NASAに行けばできる、と思って、大学を卒業する時に"NASAに行って『アストロバイオロジー』をやりたい!"って言ったら、先輩が"俺、NASAに知り合いがいるから紹介してやるよ"って(笑)」

とーやま校長「そんなに軽く行けちゃうの!? フラっとNASAに入れるんですか!」

あしざわ教頭「遊びに行くような、そんなノリなんですね(笑)」

そして紹介してもらった方が、"クマムシ博士"と呼ばれている堀川大樹さんだったのだそう。

藤島先生「クマムシって乾燥させると何をしても死なない、究極の極限環境生物なんです。芸人さんでクマムシさんっていらっしゃいますけど、あれはそのタフなクマムシを元に名前を付けたってお話をうかがったことがあります」

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とーやま校長「"あったかいんだからぁ"、の! へ〜!
『生命の起源』の研究の他は、どういったことをされているんですか?」

藤島先生「あとは、NASAでやっていた研究の研究室で、ロスチャイルド研でやっている研究のひとつが、『"火星移住"のサポートを微生物を使って行う』っていうものなんです。
どういういことかと言うと、火星って将来的に人類が必ず到達する場所ではあるんですね」

あしざわ教頭「"必ず"なの?」

藤島先生「人類が地球で活動している以上、未知の土地を開拓していったという歴史からいっても、必ず矛先は月面の次に恐らく火星ということになると思うんです」

しかし、火星まではすごく距離が遠いので莫大な輸送コストがかかってしまうのだそう。
そこで、地産地消(その場で作ってその場で食べる)が必須条件となる。つまり、現地生産ができることが大事とのこと。
微生物であれば、何百種類でも乾燥させて運べば数百グラムにしかならないので、色んな役割を持つ微生物を連れて行き、現地で光合成をさせ、二酸化炭素から炭素を取り出し有機物を作ったり、糖分を作ったりできる。

藤島先生「そういう形になってくれると僕らが食えるようになるので、そうやって食料や色んなものを作らせたり、土壌から金属を取り出す手伝いをしてもらったり、色んなことが考えられます。そういう微生物の開発などをしています」

とーやま校長「もうされているんですね」

さあ、今夜は、藤島先生が研究されている、
"火星移住"や今日発表になったばかりの"地球外生命体"などの話を
たっぷり聞かせてもらいます。

今夜はみんなも藤島先生に聞きたいことをどんどんぶつけていきましょう!
質問は学校掲示板もしくはメールで待っています!

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さっそく、生徒から書き込みが届いているぞ!


藤島皓介さん!
声がやさしいですね。笑笑
しかも説明がわかりやすくて、無知でも楽しめます!すごく夢のある研究ですね!!
[ましゅまろ]
女性/15歳/北海道
2017-02-23 22:15




藤島先生「ありがとうございます!」

とーやま校長「『声がやさしいですね』のあとに、高等部をポリポリかいてましたね(笑)」

あしざわ教頭「そういった一面もある、と(笑)」



宇宙
将来は人工衛星、ロケットを造るのが夢です!
いつか藤島先生と一緒にお仕事したいです。いや、しましょう!
宇宙関係のお仕事をしている方々って、優秀な人ばかりですよね!!
自分に甘えずに、これからももっと勉強頑張ります!
変色した卵焼き
女性/18歳/埼玉県
2017-02-23 22:28




藤島先生「将来、一緒に仕事しましょう!」

とーやま校長「10代から目指してる子がいるんですよ」

藤島先生「うれしいですね」



NASAへ
わしも行けるもんならいって研究したいっすね...
宇宙起源
女性/18歳/青森県
2017-02-23 22:25




とーやま校長「"わたし"の『た』が抜けたと思うんだけど(笑) もう、ラジオネームが『宇宙起源』だからね!」

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<黒板を書く音>

あしざわ教頭「ちょっと待ってください。藤島先生が、黒板をもう一枚書いてくださっていますよ」

とーやま校長「今日は黒板を何枚使いですかね」

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『 地球外生命はエンケラドスにいる!? 』

とーやま校長「さっきは言い切ってましたけど今度はクエスチョンマークが付くんですね。
今日の朝方にNASAが発表されましたけど、改めて、そのことについていいですか? これはどういうことが発表になったのか、藤島先生からお聞かせ願ってよろしいですか?」

藤島先生「はい。39光年先の宇宙に、地球によく似た太陽系外惑星が…真ん中に暗い太陽があって、その周りに7つの地球とほぼ同じようなサイズの惑星が見つかったんです。しかも、言い切ってはいないんですが、そのうちの3つに、海(水)がある可能性がかなり高いということを発表しました」

とーやま校長「"海がある"ということは、どういうことなんですか?」

藤島先生「もともとNASAは"Follow the Water"と言って、宇宙に行って生命を探したいんですが、その時に"水がどこにあるのか"っていうことにすごくフォーカスしてるんです。
やっぱり、"水がないところに生命も誕生しないだろう"という前提があるんで、『ハビタブルゾーン』っていう、惑星の表面の水がちょうど液体として存在できる、太陽から程よい距離にあるゾーンがあるんですけど…」

あしざわ教頭「暑すぎると干上がっちゃうし…」

とーやま校長「遠すぎると凍っちゃう」

あしざわ教頭「じゃあ、地球はすごくちょうどいいところにあるってことですね」

藤島先生「これは本当に感謝ですよ」

とーやま校長「ラッキー!!」

藤島先生「そういう『ハビタブルゾーン』に入っている惑星が、なんと3つも見つかったんです!」

とーやま校長「この時点での高揚感は半端じゃないですよ! …それで、『エンケラドス』ってなんですか?

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藤島先生「今回の発表は、僕らの太陽系外にある恒星系で見つかったっていう話なんですけど、実は太陽系の中にも生命がいるのではないかということで、候補地がいくつかあがっています」

たとえば、火星は過去にかつては海をたたえていたと言われているので、過去の火星で生命が誕生していた可能性があるらしい。
また、"氷衛星"と言って、表面は氷だがその中に今でも海をたたえている衛星が、土星と木星の周りにある。
木星には『エウロパ』という衛星があり、そして土星には『エンケラドス』という小さい衛星があるそう。

藤島先生「土星の周りを周っている"カッシーニ"という土星探査機が、2005年にエンケラドスの近くを通った時に、"南極から何かが噴き出るぞ!"、と。どうやら、氷の裂け目を割って海の水が間欠泉のように宇宙に"ビシャー!"って…まぁ、"ビシャー"じゃないんですけど(笑)」

とーやま校長・あしざわ教頭「(笑)」

藤島先生「…と、噴き出しているのを見つけたんですよ」

あしざわ教頭「映像としてとらえたんですか」

藤島先生「とらえたんですよ。で、これは半端ないよ、と。おそらく、中の海の成分が宇宙空間に噴き出ていて、しかもその成分を調べたら、海水の成分である塩とか有機物が見つかって、今、この有機物は何なのかという話になっています。
なので、ひょっとしたら、そこに生命がいるかもしれないんです。あるいは、生命になる途中の何らかの有機物が、複雑になって進化する(化学進化)途中のフェーズにいるかもしれないんです」

とーやま校長「本当にめちゃめちゃ小さい何かがいる?」

藤島先生「かもしれないです。それはでも、実際に行って、採って、調べたいんですよ。今、そういうプロジェクトにかかわっています」

とーやま校長「それは、どれぐらいの年数をかけて、採って研究できそうなんですか?」

藤島先生「探査機を飛ばすと、おそらく(片道)7年ぐらいかかるんですね。だから、7年ぐらいかけて到達して、エンケラドスのプリューム(噴き出ているようす)のサンプルを採って、あわよくばその場で分析して、あるいは、サンプルリターンをして(地球に)持って帰りたいです」

とーやま校長「地球に持って帰ると何がいいんですか?」

藤島先生「詳細に分析できるんですよ。探査機に搭載できる機器は限られているんで、持って帰ればもう少し詳細に調べられます。
ただ、もし仮に生命がいた場合に、それを地球に持って帰る途中に地球の大気で爆発して…"あれ、サンプルなくなっちゃって、しかも、ひょっとしたらエンケラドス生命で地球を汚しちゃった…?"みたいな可能性もあるので」

あしざわ教頭「そんな危険が!?」

藤島先生「これは、"惑星保護(planetary protection)"っていう概念があって、ちゃんとそういうところをどうやって守っていくかっていうのも考えなくちゃいけないんです」

とーやま校長「全然考えたことないところにいらっしゃる!」

あしざわ教頭「こわ〜!」

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♪ Feel So Moon / ユニコーン


とーやま校長「ちょっとすごい話ですね! そういうことも決められてるんだ」

あしざわ教頭「何が起こるかわからないってことですね」

とーやま校長「おもしろい! 今の段階で、どれぐらいの確率なんですか?」

藤島先生「そこはわからないんですけど、確率を出すために、僕ら以外の生命を見つけたいんですよね。結局、今宇宙でわかっている生命って僕らだけじゃないですか。地球生命以外の生命体が太陽系の中で見つかった瞬間に、おそらく、この宇宙は生命で満ち溢れています」

あしざわ教頭「逆を言うと、その最初の1個がなかなか見つからないってことなんですよね」

藤島先生「そうなんですよ。宇宙も広大ですし、地球のような惑星もいっぱいありますから、ひょっとしたらそこで生命が誕生しているかもしれません。ただ、その知的生命になるかどうかって言ったらまた別ですから」

とーやま校長「そうか! そこまでの進化を遂げるかっていうのはわからないんですね」

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かっこいいいいい
すごく分かりやすいしドキドキするし、楽しそうに話されててつられてこっちまで楽しくなってます!!
やっぱり宇宙ってすごいんだなあ…
こういう話、覚えて勉強するってなったら大変そうだけど、今日の授業はひたすら楽しい!!!
いつも見てる星空に、宇宙人?がいる…やばい…!!!
Mの相棒
女性/16歳/埼玉県
2017-02-23 22:52




とーやま校長「冒頭で『地球外生命はいる』と言い切ってくださいましたしね」



火星か〜
校長!!教頭!!こんばばばばばんわ!
今日のテーマを見て、SOLもとうとう宇宙規模になってしもうたか…と馬鹿なことを思ってしまいましたw
僕なりに火星への移住を考えたんですが…無理じゃね?っていうのが、正直な意見です!!理由はいくら隣の惑星だからって、絶対寒いと思うからです。
逆に可能ならばその理由を聞いてみたいです!
ぜひ!宜しくお願いします!!
ミスターバレーボール
男性/16歳/熊本県
2017-02-23 21:36



遥か遠くに。
39光年はなれた宇宙に、地球の仲間が発見されたそうで...。
ふつーの高校生の私には規模が大きすぎてよくわからない話で、映画かなんかのオープニングを見てる気分です。

そういうところに移住、というのは可能性としてどのくらい先の未来の話になるんですか?
やまっさん!
女性/16歳/静岡県
2017-02-23 18:07




ここで、再び黒板を書き始める藤島先生。

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『 2050??

とーやま校長「2050年ぐらいには、移住…住むことができるってことでいいんですか?」

藤島先生「そうなってもらわないと、俺、死んじゃうんで…」

とーやま校長「…は?」

あしざわ教頭「なんだなんだ?(笑)」

藤島先生生きている間に、ぜひ、人類が火星に降り立つところを見たい

2050年と言えば、今から33年後。藤島先生はもう70歳近くなっていることになる。

とーやま校長「ご自分で行くのはなかなか難しいんですか?」

藤島先生「行って死ぬっていう可能性は残っていますよね。アメリカで、イーロン・マスクという『俺は火星に人類を移住させて、最期に火星で死ぬ』って言ってるスペースX社の有名なCEOの方がいるんですけど、まさにそういうイメージですね」

とーやま校長「今聴いている10代のみんなは、まだ全然可能性がある! じゃあもしかしたら、聴いているヤツの中で2050年に火星に住み始めるみたいなことが…起きうるんですか?」

藤島先生「移住ができるかどうかと探査はまた別です。降り立たせて連れて帰ることはできる可能性がありますけど、実際にそこにずっと住み続けることができるっていうのは、ハードルが一個高いですね。
技術的ないくつかのハードル…例えば、"どうやって食わしていくの?"っていう問題、地球から食べ物を送り続けていくこともできないでしょうし、火星で地産地消をしていくっていう技術がちゃんとできない限り、永久的に移住するっていうことはまた難しいでしょう。
けれども、おそらく2050年までに、人類を降り立たせて連れて帰るっていうところまでは、ひょっとしたらいける可能性はあります」

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とーやま校長「そもそも、どうして火星に行こうって話が持ち上がったんですか?」

藤島先生「ひとつは、間違いなく僕らの遺伝子に刻まれているというか、これまでの人類の歴史は新しい場所を常に求めてきました。その理由のひとつが、同じ場所に住み続けていると最終的にそこにあったリソース(資源)を食い(獲り)つくしてしまうから、次の場所に資源を求めに行くっていうことを繰り返していたことです。
今、地球上に存在している物質って有限ですよね。だから、もしこの地球上で生命がどんどん増えて2000億人、3000億人になった時に、支え切れるのかっていう問題がありますね。そうなってくると、地球の外に資源を求めない限り不可能なんです。
今、NASAや企業がやろうとしていることが、小惑星を捕まえて持ってくるとか(笑)」

とーやま校長「ちょっとわからないです。どういうことですか?」

藤島先生「小惑星ハンティングをして、たとえばレアメタルをいっぱい含んでいるような小惑星を地球の軌道の近くまで持ってきて、採掘したりとか、わざと月に落として、そこで掘ったりとか」

資源の少ない小国のルクセンブルクでは、"資源を求め、隣の国へ攻め入るか宇宙に求めるかの二択だったら、自分たちは宇宙に行く"と、今のうちから国をあげて小惑星での資源採掘計画を立てているのだそう。

あしざわ教頭「惑星を持ってくるって…!」

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藤島先生「惑星って言うか、"小天体"ですね。定期的に地球の近くに来る大きい隕石が、結構な数あるんですよ。そういうものの中にレアメタルを多く含んでくれるようなものがあると、"おお、ラッキー! キャッチ!!"となります」

また、火星に移住してもいいのか、人間を送り込んでもいいのか、という問題があるのだそう。

藤島先生「火星は生命が誕生していた可能性がある惑星で、地球よりも小さく太陽から遠かったため、先に冷えたのかもしれないんです。なので、実は先に火星で生命が生まれて、それが、たとえば隕石が降ってきたときに舞い上がり一部が地球に振ってきて地球の生命の起源になったとすれば、大元を辿っていくと、僕らの生命の起源は火星だったかもしれない、と言っている研究者もいるんですよ」

とーやま校長「僕たちは火星出身だった…?」

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♪ Cosmic Explorer / Perfume



話がでけぇ!
あまりにも壮大な話すぎて今の自分の悩みがひどくちっぽけなものに思えてきた
ぱっつぁん2
男性/18歳/大阪府
2017-02-23 23:36



とーやま校長「それあるかもしれないね!」

あしざわ教頭「"こんなことで悩んでる場合じゃないわ!"っていうね」

とーやま校長「僕たちは火星から来ている?」

藤島先生「その可能性はゼロではないってことですね。生命がどこでどう誕生したかという話になるんですけど、結局、生命は星のかけらなんですね。僕らは星のかけらでできているんです。
星が誕生したときの材質の中に有機物っていうものが含まれていていますし、もちろん、星ができてからも星の上でもできるわけで、そうやって考えると、究極には、生命っていうのは、もともとは星のかけらだったんです」

問題は、そういうものがうまく集まって反応して"生命というシステム"ができる場所が、地球だけではなくてそれ以外の場所にもいっぱいあるのではないか、と語る藤島先生。

とーやま校長"僕たちは星のかけらでできている"

あしざわ教頭「映画のタイトルみたいになりましたね(笑)」

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ここで、藤島先生に聞きたいことがある生徒に逆電!

エイリアンの騎士 北海道 18歳 男性 高校3年生

RN エイリアンの騎士は、あさってが受験本番なのだそう。
がんばれ!!

宇宙に興味があり、将来、宇宙の研究者になりたいというRN エイリアンの騎士が藤島先生に聞きたいことは…

エイリアンの騎士大学でどんなことをしたら藤島先生みたいな職業につけるんですか?

とーやま校長「お前が受ける大学はそういうことが勉強できる大学なの?」

エイリアンの騎士「一応工学部で、途中からコース別になるんです。その時に宇宙関連のコースに行こうと思っています」

とーやま校長「藤島先生は、慶応大学の4年間、どういう毎日を送られていたんですか?」

藤島先生「もちろんサークル活動もしていました。慶応のSFCっていう大学は本当に幅広い学問をやっているところで、サークル内でも経済をやっていたり語学をやっていたり世界史をやっていたり数学やっていたり建築をやっていたり(笑)って色んなメンバーがいる感じなんです。そういう幅広い知識を様々な角度で学んで、学問の枠を超えるというか、そういうのがその時に何となく身につきました。まさに僕がやっているアストロバイオロジーなんか、天文学から地球化学とか、生物学、物理、色んなものがクロスオーバーしてる分野なんです。
とにかく宇宙が好きでも、色んな切り口があるんですね。僕は"生物"っていうアプローチで切ってます。だからアドバイスとしては、接し方はいっぱいあるから、エイリアンの騎士君が、宇宙に対してどういうふうに、どういう興味を持っているかを突き詰めて、自分が好きな切り口でアプローチしていけばいい

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とーやま校長「へ〜!」

藤島先生「大学時代は本当に色んな知り合いができると思うんで、とにかくまず、幅広い知識を身に付けるっていうところから、あとはそれの組み合わせで新しい学問が成り立って来るかなって気がします」

エイリアンの騎士「はい」

とーやま校長「じゃあ、全然宇宙とは関係ないことを学んでいた時に、ある時、"あそこのヒントがここで使えるわ!"ってことがあるってことですね」

藤島先生「おっしゃる通りです。"宇宙"って自分のイメージだけで考えちゃうと、意外と尻すぼみになっちゃことが多いです」

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例えば、『宇宙開発』と言えば世間で言われている方へ流れがちなのだが、そうではなく、宇宙は地球の延長であり、地球で起きている学問のほぼ全てが適用できるのだそう。

あしざわ教頭「じゃあ、火星で建物を造らなきゃっていうことだと…」

藤島先生「それは『宇宙建築』っていうジャンルですね。あとは、医学なら『宇宙医学』とか。"人体が宇宙で長期的に過ごすようになった時にどんな影響が出るの?"って。特に目に負荷がかかるらしいです」

エイリアンの騎士「へ〜」

とーやま校長「エイリアンの騎士、すごくいい話が聞けたんじゃないか?」

エイリアンの騎士「すごく鳥肌が立ってます…!」

とーやま校長「エイリアンの騎士は、この4月からやれることがいっぱいあるね!」

藤島先生「逆にフィールドを絞りすぎずに知的好奇心を爆発させて、色んなことに興味を持って勉強してほしいなって思います」

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エイリアンの騎士「わかりました!」

色んなものに目を向けて、興味を持って行こう!
まずは、あさっての入試をがんばれ!!
RN エイリアンの騎士、ありがとう!


♪ ナイトクルージング / フィッシュマンズ


そろそろ黒板の時間。
今日はもちろん藤島先生に書いてもらったぞ。
その間に掲示板を紹介していく!


話のスケールが段違い
話のスケールが大きすぎる
ロマンにめっちゃ満ち溢れてる!
まさタイガー
男性/17歳/神奈川県
2017-02-23 23:41



あしざわ教頭「聴きながら空を見てたら、本当にどこへでも行けると思っちゃうね!」

とーやま校長「向こうから誰かが見てるかもしれないしね」



ぼくの将来の夢
今、将来の夢が決まりました!僕は生物の勉強が好きなのですが、将来生物学者として宇宙開発に乗り込みます!
ドゥルルダラら
男性/17歳/長野県
2017-02-23 23:41



あしざわ教頭「決定しました!」

とーやま校長「2017年2月23日が記念日だね」


藤島先生が書きあげてくれた黒板はこちら!

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『 僕らは宇宙の旅人 これまでも… これからも…☆ 』

藤島先生「昔、中学生の時、父が『Newton(ニュートン)』という雑誌を何も言わずに机の上に置いてってくれて、それをパラパラ眺めていたら、生物の細胞の中の微細な構造とかが載っていたミクロな世界のページの次のページに、いきなり『宇宙の大規模構造』とかが載っていて、ものすごいスケール感だったんですよ。
ここに書いた『宇宙の旅人』っていうところは、今みなさんが、太陽系のイメージを頭の中で想像すると、惑星が並んで止まっている静止画像のイメージがあるじゃないですか。でも、実はそうじゃない。太陽系もいま旅をしていて、銀河系の中心を軸に、常にくるくる周っているんです。
だから、太陽が動いていて、その太陽の周りをさらに7つの惑星がらせんを描きながら飛んでいるんですね。僕たち生命は星の上に誕生した瞬間から、宇宙を旅している旅人なんですよ。
今、僕らは技術を発展させてきて、さらに、僕らはこれから自発的に宇宙に出ていく時代が到来しています。だから、これまでは"地球"っていう宇宙船に乗らせてもらっていたんですけど、そこからさらに飛び立つ時が来ているんです
火星移住もそうですけど、その先まで、今後100年、200年で人類はおそらく宇宙に出ていく。という意味合いを込めて、『これまでも… これからも…』ということです」


♪ prism / m-flo


とーやま校長「壮大な黒板からのm-flo、めっちゃいいですね! これは藤島先生が選曲してくださったんですよね」

藤島先生「はい! この曲自体が、将来人類が自発的に宇宙に飛び出して旅をしていくという曲なんですよ」

藤島先生はm-floがすごく好きで、ラップの歌詞を紙に書き出して練習したりもしていたのだそう。

とーやま校長「でも、俺たちは今めちゃめちゃ大きいところにいるんだなって思いますね!」

あしざわ教頭「そうですね。大きな船に乗っかってるような気がします!」

藤島先生「まさに、"地球"という船に乗って旅をしていますからね」

とーやま校長「周ってますもんね! 今日はおもしろかった!」

藤島先生、今日はどうもありがとうございました!
またぜひお越しください!

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【FAXイラスト】


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RN ラスカルハッピー


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RN ラスカルハッピー


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RN ラスカルハッピー


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RN ちかちゃん。


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RN ふくこっこ


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RN かべっち


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RN スクールオブロックのクマ


SCHOOL OF LOCK!

RN ふでふでりんご


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【逆電リスナー】
エイリアンの騎士 北海道 18歳 男性

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【オンエアリスト】
22:02 Dream lantern (English ver.) / RADWIMPS
22:25 何もできずにそばにいる / 乃木坂46
22:29 サヨナラの意味 / 乃木坂46
22:47 Feel So Moon / ユニコーン
23:13 Get Lucky / Daft Punk
23:14 The Robots / Kraftwerk
23:15 Soft / Washed Out
23:16 Curtain / D.A.N.
23:17 ストラクチャー / サカナクション
23:18 Changes of Life / Jeff Mills
23:19 Spectre / Tycho
23:36 Cosmic Explorer / Perfume
23:46 ナイトクルージング / フィッシュマンズ
23:49 prism / m-flo

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すごい大きなとこにいるんだね俺達!
それがわかった今日はとても良い日だ!
藤島先生、ありがとうございました!

校長のとーやま

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未知な事って本当に面白い!ワクワクしかない!
藤島先生是非また来て下さい!!

教頭のあしざわ

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生放送教室 放送後記一覧

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LOCKS!SCHOOL OF LOCK!の講師陣

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