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ON AIR BLOG / 2017.01.18 update


今日解説して頂くのは、毎日新聞専門編集委員、青野由利さんです。
今日は、15日の小型ロケット打ち上げの失敗について。
 
なぜ失敗したかはちょっとおいておいて、まず、どういうロケットだったか。小型といわれ
るくらいなので、もちろん小さいわけですが、高さが9・54㍍。世界最小の打ち上げロケ
ットで、「電柱と同じぐらい」とも言われます。  重さは2・6㌧。

日本のロケットというと、去年、気象衛星「ひまわり9号」を打ち上げたり、2年ほど前に
は「はやぶさ2」を打ち上げた実績を持つH2Aが有名。こちらは全長が53㍍。289㌧。
今回の小型ロケットは、H2Aに比べると、長さが5分の1、重さが10分の1程度という
ことになります。

衛星打ち上げロケットとしては初の試みです。ただ、実は原型はあって、弾道飛行を行う2
段式の観測ロケットです。それに、3段目を追加して、小型衛星を打ち上げられるようにし
たものなんです。なぜ、こんな小型ロケットを開発したかと言えば、それは、とても小さく
て、安く作れる超小型衛星の需要が増えると予想されるので、それに対応するため。H2A
だと、打ち上げる衛星の重さは、たとえば「ひまわり9号」だと3・5㌧。今回の小型衛星
に搭載されていた衛星は「TRICOM-1(トリコム-ワン)」という名前で、重さは約3㌔でし
た。

H2Aでは超小型衛星はあげられない?かといえば、これまでも、大型衛星を打ち上げる時
に「相乗り」という形で超小型衛星をあげてきましたが、それだと、打ち上げ時期や軌道は
大型衛星任せということになってしまいます。打ち上げコストも大型ロケットは高い。今回
の小型ロケットは、安い民生部品を使って作られていて、開発と打ち上げ費をあわせても約
5億円で、桁違いに安い。

なぜ、失敗したのかという疑問、
第1段ロケットは正常に飛行したんですが、ロケット側から地上に送られてくるはずの情報
が送られてこなくなってしまったので、第2段エンジンの点火を中止したんです。今後、も
ともと、このロケットは、1回だけ、技術を実証する意味で行う計画だったので、現時点で
は次の打ち上げ計画はありません。でも、今回の失敗をよく検証して、また挑戦してもらい
たいですね。

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