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毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION。

ON AIR BLOG / 2017.03.29 update


毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION。
今日は、南スーダンPKOから自衛隊が撤収するという話。
解説して頂くのは、毎日新聞社政治部編集委員 平田崇浩さんです!

Q 今朝の毎日新聞朝刊にも掲載されていましたが、
  きょうは南スーダンPKOから自衛隊が撤収するという話。突然の発表でした。
A 5月末までに撤収すると安倍首相が発表したのは3月10日。
 「森友学園」問題が政局の焦点となりつつあった時期なので、
 「森友隠し」などと野党は批判していたが、そんな単純な話ではない。

Q ではなぜこのタイミングで?
A まずは南スーダンPKOの経緯を振り返る。 
  アフリカ大陸の東部にあるスーダンから南スーダンが分離独立したのが2011年。
  再び内戦にならないように国連平和維持活動(PKO)が始まった。
  当時のアメリカはオバマ政権。アフリカ政策に熱心で、
  オバマ政権からの強い要請を受けて日本は陸上自衛隊の施設部隊、
  道路などを整備する部隊を派遣した。2012年1月、旧民主党の野田政権だった。

Q もう5年になるんですね。
A そう。
  もう5年もたつのに、南スーダンでは政府軍と反政府勢力の争いが続いていて、
  昨年7月には首都ジュバで大きな武力衝突も起きた。
  なかなか国づくりが軌道に乗らず、治安がよくならない。
  そんな状況で自衛隊の活動を続けていて、
  隊員が戦闘に巻き込まれて死傷者が出るようなことになったらたいへんだという思いが
  安倍政権にあったのだろう。

Q 国会で稲田防衛相が責められていましたね。
A 昨年7月の武力衝突時、派遣部隊が日報、
  日々のリポートで「戦闘」があったと報告していた。
  日本の法律では、自衛隊は戦闘があるところでは活動してはいけない。
  防衛省が一時、この日報を公開しなかったことで、野党は「隠蔽」だと批判した。

Q 危険な場所だから自衛隊が行くのでは?
A 7月の武力衝突時、自衛隊部隊に日本人救出の要請があったが、できなかった。
  新しい安全保障法制で、そういう人たちを助けにいく
  「駆け付け警護」ができるようになり、
  昨年12月から活動している部隊にはその新任務が付与された。
  駆け付け警護はまだ1回も実施されていないが、武器を使用する危険な任務なので、
  野党は反対している。

Q 駆け付け警護ができる部隊が活動を始めてまだ3カ月なんですね。
A だから唐突だと驚かれた。
  だが、安倍首相は昨年9月に撤収シナリオを検討するように政府内に指示していた。
  軍事の世界では、部隊の派遣より撤収の方が難しいと言われる。
  派遣部隊を安全に撤収させるために、情報管理を徹底しながらアメリカや
  南スーダン政府との調整を極秘に進めてきた。

Q 気になるんですが、いきなりの撤収。アメリカは怒っていないのですか。
A 「アメリカ・ファースト」のトランプ政権が誕生したのも大きい。
  国際協調への関心は薄い。ある意味、絶妙のタイミングで撤収を決めた。
  ただ、南スーダンPKOからの撤収で日本のPKO部隊派遣はゼロになる。
  積極的平和主義を看板としてきた安倍政権として、
  これからどう国際貢献をしていくのかというジレンマもある。

Q でも撤収と聞いて、喜んだ人も多いと思います。。
A 私も良かったと思ったが、
  南スーダンを日本は見捨てるのかといううしろめたさみたいなものもある。
  国際貢献について、考えさせられる。


森友学園の問題ももちろん追求しなきゃですが、
こういう日本の未来を考えた上での大きなニュースが隠れてしまいがちなのは危険。
5月には戻ってくるという南スーダンへ派遣されていた自衛隊のみなさん。お疲れ様でした。

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