ON AIR BLOG

毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION

ON AIR BLOG / 2017.06.07 update


毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION。 今日のトピックスは「もしかしたら来年にも憲法改正が行われるかもしれない?」 毎日新聞 政治部編集委員 平田崇浩さんに解説していただきました。

Q もしかしたら来年にも憲法改正が行われるかもしれない?
A 安倍首相の指示で、自民党の憲法改正推進本部が今年中に憲法改正案をまとめることになった。来年前半の通常国会で可決して発議し、来年中に国民投票にかけるスケジュールが検討されている。

Q 日本の憲法は70年間改正されてこなかったのに、なぜ今?
A 「東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と安倍首相が宣言したから。自分が首相をしている間に憲法改正を実現したいということだろう。

Q 安倍首相は憲法改正に熱心ですね?
A 「戦後レジームからの脱却」。戦後の占領期に押しつけられた憲法や教育などの制度をつくり直したいという気持ちが強い。

Q 憲法のどの部分を変えようと?
A 憲法9条の条文はそのままに自衛隊の存在を定めた条文を付け加えようと言っている。

Q 憲法9条といえば、平和憲法の重要な条文ですね。
A 大事なところなので読み上げる。9条1項「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。戦争放棄を定めている。そして9条2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」。戦力の不保持、つまり軍隊を持たないということ。第2次世界大戦の反省をもとにした憲法の3大原則の一つ、平和主義を定めたのが9条だ。

Q 自衛隊は憲法に書かなくても今、存在しているのでは?
A 9条2項を普通に読めば自衛隊は持てないが、自分の国を守る自衛のために必要最小限度の範囲であれば、9条2項の禁じた戦力に当たらないという憲法解釈で、自衛隊は合憲だとされてきた。安倍首相はもともと9条2項を削除して他国と同じように軍隊を持てるようにすべきだと主張してきた。自民党としてもそういう憲法改正草案をつくっている。

Q 安倍首相は主張を変えた?
A 9条を改正して軍隊を持ちたいと言い続けても、公明党や野党が賛成しない。憲法改正案を国会が発議して国民投票にかけるためには、衆議院と参議院で3分の2以上の賛成が必要。自民党と公明党に日本維新の会などを加えて、憲法改正に前向きな改憲勢力と言われる。現在、衆参両院で改憲勢力が3分の2を占めている。

Q 公明党が賛成できる案で妥協しようと?
A 来年末が衆院議員の任期。次の衆院選で改憲勢力が再び3分の2の議席をとれる保証はない。第2次安倍政権の発足からすでに4年半たつが、与野党の間で具体的な改憲論議は進んでいない。「3分の2があるうちに」という焦りもあるかもしれない。

Q 自衛隊を書き込むだけなら問題ない?
A どういう条文にするか、その書きぶりによる。現在の自衛隊は自衛のための必要最小限のことしかできないから、外国を攻撃してはならないし、そのための武器も持てない。「自衛隊を憲法に書き込んだら普通の軍隊と同じように戦争できることになった」というような改正であれば、憲法の平和主義を根本から変更することになる。

Q 自衛隊のあり方が変わるかもしれない?
A それは変えないと安倍首相は言っている。しかし、すでに首相は3年前、9条の憲法解釈を変えている。自衛のための必要最小限だから、米軍を防衛する集団的自衛権に基づく武力行使はできないというのが政府の憲法解釈だったが、限定的であれば行使できるように変更して安保法制を制定した。

Q 憲法改正をせずに解釈を変えたわけですね?
A 今、自衛隊が憲法違反だと言う人はほとんどいない。だが、北朝鮮のミサイル基地を攻撃できるか、集団的自衛権を行使できるかという議論になると、意見が分かれる。自衛隊をただ書き込めばいいというものではなく、自衛隊のあり方、日本の外交や安全保障政策の方向性にかかわる問題。期限を区切って改正を急ぐのはどうかと思う。


「期限を区切って改正を急ぐのはどうか?」

ここがポイントです。
北朝鮮の問題や、中国の東シナ海の海洋進出など 領土を脅かすような不安もある。 その反面、世界に誇れる平和憲法を変えていいのか? まさに日本がどういう国になっていくのか?を決める重要な憲法改正。 国会では時間をかけてしっかりと議論してほしいし、 私たち国民も国会の議論を受けて周りの人とじっくりと議論をする時間が欲しい。
毎

Page TOP