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ON AIR BLOG / 2017.09.06 update

今日のトピックスは「さようなら、土星の謎を追い続けた探査機カッシーニ!!」毎日新聞 論説委員、中村秀明さんに解説していただきました。

カッシーニについては5月に青野専門編集委員が「最終の任務」を紹介していて、きょうはその続編ですが、いよいよお別れのスケジュールが正式に決まりました。先日、アメリカのNASAが「9月15日に土星大気圏に突入させる」と発表しました。

カッシーニが宇宙に飛び立ったのは1997年10月。実に20年前です。まだLOVEちゃんは中学生?でしたね。そして2004年から土星のまわりを回り続けてきました。これまで土星そのものや土星のリングなどの観測を続け、衛星「エンケラドス」にある海の様子も調べました。そして「エンケドラスには生命が存在してもおかしくない」との分析結果を送ってきました。

お別れは予定通りで、この時期までしか燃料を積んでいないということです。それでも土星に突入させなくてもいいんじゃないのか、「そんなの悲しすぎる」とも思えますが、これがとても大事なことなのです。ごくわずかな可能性ですが、カッシーニには地球にいる微生物が機械のどこかで生きている可能性があります。もし、何かの問題が起きて、さっき言った「生命がいてもおかしくない」エンケラドスなどにぶつかって、地球からの微生物がまき散らされるようなことは避ければならないのです。「土星外生命」の侵入によって、自然や進化に影響を与えてはいけないというわけです。

突入前には大きな任務もあります。最も危険な任務は最後に回しているのだそうです。まず9日、リングへの最後の接近にチャレンジします。物質の密度の濃さや縞模様など、いまだに解明できていない謎に迫ることができそうです。その後、いったん土星から遠ざかり、11日に最大の衛星タイタンに近づきます。タイタンの重力を利用して軌道を変更するためで、NASAは「最後のキス」」と呼んでいます。

そして14日夕方、日本時間の15日早朝に採取した画像やデータのすべてを地球に向かって送信します。この信号が地球に届くまでには、約1時間半の時間がかかるそうです。その後いよいよ土星の大気圏に猛スピードで突入。地球には存在しない化学物質を検出したり、大気内の画像を撮影したりします。これらはそのつど、地球に送信します。NASAの予測では15日朝7時、土星の地表のはるか上空で燃え尽きるとみられています。日本の時間では9月15日金曜日の午後9時くらいです。その直前のデータが、カッシーニの最後のあいさつになります。ギリギリまで土星の大気の様子を伝えてくれるでしょう。「おつかれさま」の気持ちを込めて土星をながめてみましょう。


カッシーニの動画はコチラからCheckできます!

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