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ON AIR BLOG / 2018.02.14 update

平昌オリンピック。今日も熱い戦いが繰り広げられました。ただオリンピック、今回は競技以外でも盛り上がっているようです。毎日新聞政治部編集委員 平田崇浩さんに、解説していただきました。

北朝鮮の「美女応援団」の応援は目立っていますね。 金正恩(キム・ジョンウン)氏の妹も韓国を訪問しました。 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は妹の金与正朝鮮労働党第 1 副部長を特使として 送り、金与正氏はソフトな笑顔を振りまき、韓国の文在寅大統領に訪朝を要請しています。 元日に金正恩氏が「平昌オリンピック参加の用意がある」と演説して以降、 韓国に対する南北融和路線、平和攻勢が続いているようです。

Q:核実験やミサイル発射を繰り返していた北朝鮮が 急に融和とか平和とか言うのは不気味な感じもしますね。
A:北朝鮮に対しては、核兵器・弾道ミサイルの開発をやめさせようと 国際社会が経済制裁を加えている。孤立した北朝鮮が韓国を味方に付けようとしている。

Q:韓国側は金与正(キム・ヨジョン)氏を大歓迎していました。
A:日本政府は心配している。 日米韓で連携して北朝鮮に圧力をかけているときに足並みが乱れるのは困る。大 事なことは、国際社会に大きな脅威を与える核・ミサイル開発をやめさせること。

Q:北朝鮮は核・ミサイル開発をやめるとは一言も言っていませんね。
A:だから、安倍総理は平昌オリンピックの開会式に出席し、 文在寅大統領と会談して「北朝鮮のほほ笑み外交に目を奪われてはならない」と 直談判した。しかし、文大統領は北朝鮮を特別扱いしてオリンピックに参加させたり、 国際社会が制裁しているのにいわゆる美女応援団を受け入れたり、 管弦楽団のコンサートを開いたりした。 韓国政府の対応には韓国国内からも批判が出ている。

Q:韓国と北朝鮮が対話すること自体は良いことでは?
A:1988 年のソウルオリンピックを妨害するために前年の 1987 年に 大韓航空機爆破事件というテロを行ったのが北朝鮮だ。 今回の平昌オリンピックも北朝鮮が参加表明するまでは、 テロを恐れて参加をためらう動きがヨーロッパなどにあった。 平昌オリンピックを何としても成功させたい韓国を揺さぶって 譲歩を引き出そうとしている。 平和の祭典であるべきオリンピックの政治利用を許してはいけない。

Q:北朝鮮の南北融和路線はホンモノではないと?
A:信用できない。平昌オリンピックの開会式前日に軍事パレードを行った。 核・ミサイル開発を進めるための時間稼ぎだと日米は警戒している。

Q:オリンピックが終わったら、また危険な状況になるのでしょうか。
A:アメリカのトランプ大統領は 1 月 31 日の演説で、北朝鮮に対して 「最大限の圧力キャンペーン」を展開していると言った。英語の「キャンペーン」はしばしば「軍事行動」の意味合いを持つ。平昌オリンピック・パラリンピックが3 月 18 日に終われば、アメリカは、延期している韓国との合同軍事演習を行う構え。

Q:韓国は嫌がるのでは?
A:北朝鮮は「南北首脳会談をしましょう」と言うだろう。 そのために米韓合同軍事演習を先送りすれば、核・ミサイル開発の時間を稼ぎたい 北朝鮮の思うつぼ。アメリカは北朝鮮に対し軍事攻撃に踏み切る可能性をちらつかせて、 核・ミサイル開発をやめるように迫る。「4 月危機」とも言えるような緊迫した 情勢になるかもしれない。

Q:戦争だけは避けてもらいたいですね。
A:北朝鮮に核ミサイルの保有を許すのかどうか、 平昌オリンピックの裏側でギリギリの駆け引きが行われている。

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