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ON AIR BLOG / 2018.02.28 update

先週、閉幕したピョンチャンオリンピック。3月9日からは、パラリンピックが始まります。今日は、そんな「平昌オリンピックのアナザーストーリー」。毎日新聞 論説委員 中村秀明さん、解説していただきました。 

まずは開会式の入場行進で世界をおどろかせた南太平洋の小さな国トンガの旗手、ピタ・タウファトフア選手(34)。氷点下7度の中、上半身裸のスタイルにココナッツオイルを塗って寒さ対策し、民族衣装を着てニコニコしながら行進していました。彼はリオ五輪でテコンドーに出場し、今度はクロスカントリースキーに転身して出場を決め、15キロレースに登場。119人中114位でした。 実は彼、単なる話題づくり、お調子者の選手じゃないんですよ。トンガでは貧困や虐待に苦しむ子どもを支援する活動をしていて、そんな逆境にある子どもたちに「必死に何かに取り組めばオリンピックに出ることだってできるんだよ」ということを示したくて、トレーニングに励み続けたのだそうです。2年後の東京オリンピックには、「水に関係した競技でまた出場したい」と言っています。

日本人最年長はジャンプの葛西さんの45歳でしたが、ドイツ人の女子スピードスケートのベテラン、クラウディア・ペヒシュタインさんは大会中に46歳になりました。7度目の五輪で、これまで金メダル5個、銀メダル2個、銅メダル2個の結果を残していて、今回は3000メートル、5000メートルの2種目に出場しました。その上を行く人もいます。9日からのパラリンピックには61歳の日本選手が出ます。パラアイスホッケーのゴールキーパーの福島さんです。すごい!

そしてピョンチャン五輪は「歴史に残るオリンピックだった」と言われています。ゲイであることを公表した初めての金メダリストが登場したからです。フィギュアスケート団体戦に出場したカナダのエリック・ラドフォードさんです。彼は「誇らしくて爆発しそう」とコメントし、オリンピック委員会のある委員は「私たちが五輪の価値として求める多様性への力強いメッセージになる。ファンタスティックなことだ」と言っています。

実は40年以上も前、オーストリアのインスブルック大会で英国代表のジョン・カリーさんが男子フィギュアで優勝しています。当時は自らをゲイだと公表していなかったが、優勝から間もなくドイツのタブロイド新聞に暴露されて傷ついたという事件がありました。同性愛者だと公表すれば仕事を失ったり、ひどい目に遭うのではないかと恐れる人たちにとても意味があることだと思います。

金メダリストがカミングアウトするは、今回が初めてだったというのは意外です。五輪懸賞にもあるように人種だったりマイノリティだったり、いろんな壁を超越できるところがスポーツのいいところ。

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