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イギリスとオリンピックの深い関係

ON AIR BLOG / 2012.07.25 update
毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION。
毎日新聞外信部、笠原敏彦さんに
イギリスとオリンピックの深い関係について解説していただきました!



Q:いよいよ今週末開幕ですが、現地のムードは?
A:イギリスは大きな国際イベントに慣れているから、事前にはなかなか盛り上がらない。
不安材料は、交通手段。1860年から営業が始まったロンドンの地下鉄は
キャパが狭く、市民には「自宅勤務」を呼びかける始末。厳重なテロ警戒も。

Q:近代オリンピックの始まりはイギリスとの関係が深いんですよね?
A:古代オリンピックの発祥はギリシャだが、クーベルタン男爵は
「近代スポーツとフェアプレー精神」を生んだ英国から近代五輪を始める
インスピレーションを得た。イギリスはサッカーやテニス、ラグビーなど多くの近代スポーツを生んだ。
フェアプレー精神は、中世騎士道の精神が、英国の上流階級の子弟教育へ引き継がれてきたもの。
英国中西部の街マッチ・ウェンロックでは19 世紀半ばから“オリンピック”を開催。パラリンピックの源流も英国。

Q:ロンドンでのオリンピックは今回で3回目ですね。
A:過去には1908年と1948年に開催。
同一都市での3度の五輪開催は史上初めて。過去の2回は急きょ決定。ロンドンは、五輪を救ってきた。
準備期間はともに2年。1948年の大会は、第2次大戦直後の物不足の時
代で、参加選手は食料持参を求められ、宿舎は学校や軍の兵舎だった。
戦前のベルリン五輪が、ナチス・ドイツの政治的プロパガンダに利用された
反省から、スポーツの「政治」からの切り離しがテーマになった。

Q:3度目ですが、日本がロンドン五輪に参加するのは初めてなんですか。
A:日本が最初に五輪に参加したのは、1912年のストックホルム大会から。1948年のロンドン五輪は第2次大戦の直後。
日本は参加を望んだが、英国は拒否。当時の日本は占領下にあり、英国にとっては日本はまだ「敵国」だった。

Q:オリンピックは平和の祭典ですが、世界を見渡すと戦争や紛争が絶えません。
A:クーベルタン男爵が五輪に託した理想の一つは、五輪が「平和でより良い世界」を築くことに貢献すること。
五輪を前に、シリアでは内戦が激化し、アフガニスタンにも平和は訪れない。
日本選手団への応援に熱狂する一方で、世界の実情にも目を向けたいですね。

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