みらい図鑑

VOL.270「虫喰い楢材によるプロダクト」

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虫に喰われて、穴が空いた木材。

その多くは使われることもなく、
山に放置されたままになっているのが現状です。

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そんな木材の中から、あえて虫喰いの木を使って、
さまざまな木工製品を作っている会社が、富山県・朝日町にあります。

創業70年を超える、「尾山製材」。

富山に暮らすプロダクトデザイナーと一緒に、
「RetRe(リツリ)」、というブランドを立ち上げました。

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この会社が虫喰いの木に着目したのは、
地域を悩ませていた害虫問題が背景にありました。

健康な楢の木を喰い荒らし、穴に卵を産み付け、
ふ化した幼虫とともに幹の内部で越冬することで、
楢の木が台無しになってしまうのです。

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使い物にならなくなった、
大量の楢の木を目の当たりにしたことで、
地元の里山再生を目指そうとスタートさせたのが、「RetRe(リツリ)」。

ラインナップは、フラワーベースや掛け時計、けん玉、フォトフレームなど。
どれもが、虫喰いの楢材生まれの一点物です。

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「尾山製材」の代表・尾山嘉彦(おやま・よしひこ)さんにお話を伺いました。

「世の中で見たことのないような模様や表情が、
材面に走るところが面白い部分だと思っていて、
それは、木が朽ちていく過程で、
菌によっておかされる現象から生まれる模様でもあるんです。」

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地域に広がるのは広葉樹。
国産の広葉樹は、山の中の環境によっていろんな育ち方をするため、
まっすぐではない、様々なタイプの木目が生まれます。

「尾山製材」で使う虫喰いの楢材は、
そのうちのひとつ、「墨流し杢(スポルテッドウッド)」。
材面に墨が流れたようなに面白い杢目が特徴です。

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「木の表情を面白いと感じてもらい、
その木に興味を持ってもらえたらな、と思っています。」

そう語る尾山さん。
“独特の柄”を味方につけた商品展開で、
木、そのものへの関心をはかろうと考えています。

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これまで、使えないと考えられてきた虫喰いの楢材に、
新たな命が吹き込まれた「RetRe (リツリ)」のプロダクト。

ひとつとして同じ模様がない自然の個性、
じっくり眺めるのも楽しそうですね。

VOL.269「木のおもちゃ」

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世界有数の森林大国、ニッポン。
そのなかでも、84%という最も高い森林率を誇るのが高知県です。

そんな森の国で、20年間、ひとつひとつハンドメイドで、
木のおもちゃを作っているのが、安芸市にある工房、「山のくじら舎」。

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ここで使用される木材は、高知県が誇る「土佐ヒノキ」。

芯の鮮やかな赤みと強い香り、そして、たっぷりと脂分を含んでいるので、
年月を経るごとに光沢が増していくのが特徴です。

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本来であれば、山に残すはずの切り株や間伐材を主に使うことで、
土佐ヒノキに新たな息吹をもたらしている「山のくじら舎」。

代表の萩野和徳(はぎの・かずのり)さんにお話を伺いました。

「木の魅力は、なんといったらいいんでしょうね。
自然が生み出す素材なので、
資源自体が、森からどんどんどんどん生まれてくる感覚なんですね。
そういう素材を使って、木のおもちゃ作りを出来ているのは幸せですね。」

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ベストセラーは、「山のくじら舎」が最初に作ったお風呂で遊べるおもちゃ、
「おふろでちゃぷちゃぷ」という商品。

高知の海にいる魚たちが11匹と、
すくい網がセットになって箱に入っています。

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お風呂で魚をすくったり、魚屋さんごっこをしたり、
つみ木やパズルのように遊んだり・・・。

子どもたちのひらめきを広げていく木のおもちゃについて、
萩野さんはこんな想いを抱いています。

「作り手としては、
木肌の感覚や木のぬくもりを感じてもらいたい、というのもあるんですが、
あくまで、子どもたちの成長のお手伝いをする、
ひとつの道具になれたらなという想いで作っています。」

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肌に吸い付くような、土佐ヒノキの質感や美しい木肌、
そしてやさしく広がる香りは、天然資源のおすそ分け。

このおもちゃを楽しむことが、
高知の豊かな自然を守ることにもつながっているんですね。
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