みらい図鑑

VOL.240「ポン菓子」

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お米に圧力をかけて、一気に開放し、
ふんわりと膨らませた「ポン菓子」。

やさしくて、昔懐かしい日本のお菓子です。

そんなポン菓子を作っているのが、
愛媛県西条市にある、2010年創業のポン菓子専門店、「ひなのや」。

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きれいな水に恵まれた西条市は、県内有数の穀倉地帯。
地元でとれる質の良いお米をポン菓子にして、
結婚式の引菓子に使うという文化が、古くから受け継がれています。

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「ひなのや」で作られるポン菓子、主原料のお米は全て地元産。
その年の新米だけを使用しています。

パッケージデザインにもこだわり、10種類前後のフレーバーをラインナップ。
これまでの素朴なポン菓子の印象を変える、
現代の新・ポン菓子ブランドです。

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「ひなのや」、店主の玉井大蔵(たまい・だいぞう)さんにお話をうかがいました。

「実家が農業機械の販売店を営んでいまして、
よく言われる、農家さんの高齢化という流れの中で、
30歳手前の頃に、田んぼを高齢農家さんからお預かりして、
お米を作っていた時期があるんですよ。

なにかしら自分で作ったお米を使って、楽しい、面白い商品が作れないかな、
という試行錯誤の中からたどり着いたのが、いま作っているポン菓子なんですね。

愛媛県では、昔から、結婚式の引き出物に使われていたり、
その土地ならではの特徴や個性がありますので、
この先も、ずっと残していきたいなと思ってやっておりますね。」

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できるかぎり地元の原料を使い、
その土地の個性をポン菓子にのせて届ける「ひなのや」の味。

地域の宝物を世界に発信していきたい、
という玉井さんの思いが込められています。

代表商品のポン菓子「伊予柑」や、
キャラメルナッツといったフレーバーに加えて、
来月からは、チョコレート味も展開するそうですよ。

VOL.239「飛騨高山の木製ヘッドフォン」

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山に囲まれ、良質な木材が採れる岐阜県高山市。

古くから、「飛騨の匠」と呼ばれる木材加工技術者が腕を振るっていた、
国内有数の家具産地です。

そんな飛騨高山に工房を構え、
オーダー木製家具や、クラフト小物の製造販売をおこなう、
木材クラフトブランド「noctare(ノクターレ)」。

注目を集めているのが、木製のヘッドフォン「ヒダノオト」です。

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材料は、すべて木。

硬いカエデと、柔らかいヒノキ。
地元の山から伐り出した2種類の木を組み合わせ、
ひとつひとつ、職人の手作業で仕上げます。

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頭に装着するヘッドバンドの部分は、ヒノキの板を曲げて、
小判形の入れ物を作る“曲げわっぱ”の技術を応用。

使い方は、市販のイヤホンをヘッドフォン本体にセットするだけ。

イヤホンから出る音を、木製のイヤーカップ内で反響させることで、
ピュアな音質を楽しめるのが特徴です。

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「noctare」、代表の塩谷英雄(しおたに・ひでお)さんにお話を伺いました。

「木のかたまりをくりぬいて、そこにイヤホンを装着して、
イヤホンの音を、木の中で響かせて音を聴くんです。
これまでにない新しい考え方だと思います。
ヘッドフォンで聴いているのに、広い空間の中で聴いているような臨場感があるんです。
広がりがあるというか。
反響するので、ホールの中で聴いている感じになると思います。」

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匠の技を新しいスタイルで表現することが、伝統の継承につながる。

そう考える塩谷さんには、こんな思いがあります。

「暮らしの中で、人と木が、ずっと良い関係でつながっていけるようなモノを
今後も作っていきたいと思っています。」

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金具などは一切使わず、木の特性を生かした構造とシンプルなデザインで、
飛騨高山の伝統を伝える「noctare」の木製ヘッドフォン、「ヒダノオト」。

時代に合ったプロダクトの開発が、
地域の伝統産業を守る一端を担っているんですね。
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